5月17日最高裁第1小法廷で建設現場でアスベストを吸い健康被害を受けた元建設作業員・遺族らによる4件の損賠請求訴訟に対して統一判断が示されました。国と建材メーカーの賠償責任と「一人親方」とされる個人時事業主を救済対象として認定しました。CUNNメール通信NO.1945が連合通信・隔日版の報じる内容を配信しました。以下のとおりです。
◎ CUNNメール通信 ◎ N0.1945 2021年5月20日 1.(情報)〈建設アスベスト被害救済を!〉原告ら「基本的に勝利」/ 4訴訟統一見解/初めての最高裁判決 210520連合通信・隔日版 建設アスベスト訴訟で、最高裁は5月17日、初の判決を示し、国と建材メーカー の責任を認めた。原告らは「基本的には勝利判決」と評価している。判決は、労働者 ではない「一人親方」(個人事業主も含む)に対しても国家賠償法、労働安全衛生法 上の補償対象とした。一方で、屋根工など屋外作業者に対しては大阪高裁(大阪1陣、 京都1陣)の判決を覆し、国と建材メーカーの責任を否定した。原告らは「明らかな 誤判だ」と強く抗議している。 建設現場で建材に含まれたアスベスト(石綿)を吸い込み、肺がんや中皮腫など重 篤な病気になったとして国と建材メーカーを相手に争う、建設アスベスト訴訟。最初 の提訴から13年が経ち、原告は約1200人に上る。最高裁の判決は初。先行する4 訴訟(神奈川1陣、東京1陣、京都1陣、大阪1陣)について判決を言い渡し、統一 見解を示した。 判決は国に対して、危険性についての適切な警告表示、現場掲示、防じんマスクの 着用の義務付けを怠った(規制権限不行使)とした。これにより石綿規制が強化され た1975年10月1日から、含有量1%を超える石綿建材製造を禁止した政令改正が 施行される前日の2004年9月30日までを補償期間と認定した。 建材メーカーに対しては、配管工や電工など建材取り付け後に加工作業する職種 (従事者)も含めて、警告表示義務を怠ったとして、責任を認めた。建材メーカーに 連帯責任を負わせる、民法の「共同不法行為」を認定。不法行為の範囲は、石綿含有 建材の製造期間を調べた国のデータベースや、建材ごとの市場占有率によって推認が 可能とした。 屋外作業者については、風などで換気され、粉じんの濃度が薄められることがうか がわれるとし、二審判決(大阪高裁)を覆して責任を否定した。 今回の判決で京都1陣訴訟が確定。残る3件の訴訟については、国とメーカーの責 任を否定した判断の見直しと、賠償額の算定のため、東京、大阪の両高裁に差し戻し た。 判決を受け、国は1人あたり最大1300万円の和解金を支払う方針。裁判を起こ さなくても、被害者が慰謝料を受けられる基金制度の創設に向け、5月18日には原告 らと「基本合意書」を交した。 ●〈メモ〉画期的な判決内容 労働基準法や労働安全衛生法の保護範囲から外れる一人親方や個人事業主が、国の 責任対象として認定されたのは画期的だ。判決は「安衛法57条の趣旨は労働者に該当 するか否かによって変わるものではない」との判断を示し、労働者でなくても補償す べきと踏み込んだ。 もう一つ画期的なのは、建材メーカーの責任を「共同不法行為」として認定したこ と。裁判では個別(建材メーカーごと)の責任を立証するのが一般的だが、病気の潜 伏期間が数十年と長く、建設現場を渡り働く建設従事者が「いつ、どこで、どの建材 に含まれているアスベストによって病気になったか」を立証するのは事実上、不可能 だ。原告には「大きな壁」だったが、認められた意義は大きい。検討されている基金 制度の創設で、建材メーカーに必要な責任を果たさせることが求められる。 国に対して、石綿含有建材の製造・使用禁止が遅れた責任を認めた大阪高裁判決 (大阪1陣)が確定したことも大きな意味がある。大阪訴訟の村松昭夫弁護団長は 「最高裁では言及がなかった。大阪高裁の判決が生きたということ。今後の被害者救 済はもちろん、災害時の復興作業や周辺住民を含む石綿被害にも救済の道を広げる可 能性がある」と話している。 …………………………………………………………………………………………………………………………………… コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク (発行責任者:岡本) 136-0071江東区亀戸7-8-9松甚ビル2F下町ユニオン内 TEL:03-3638-3369 FAX:03-5626-2423 https://cunn.online E-mail:shtmch@ybb.ne.jp ……………………………………………………………………………………………………………………………………
北海道内でも施設管理業務・ボイラー管理業務の方でアスベストを吸いこみ中皮腫被害に罹り結構な人数が亡くなられています。今後、これらの方々も救済の対象となる可能性があます。13年という長い裁判で当事者・ご遺族の方々には無念の感が強いとお察しします。それでも、今後の救済に大きな光が差した判決だと思います。