相談現場から-22 有給休暇付与日数の算定

宿直勤務・深夜勤務の所定労働時間は様々です。所定労働時間以外は休憩時間なのか待機時間なのか仮眠時間なのか明確になっていると辛い深夜勤務も事故なく過ごせます。そうではない場合の相談が寄せられました。

【相談内容】

1.警備・ビル管理会社の契約社員です。1年契約を反復更新しています。
2.勤務は17時出勤、翌朝8時退勤。
3.会社はこの勤務時間で仮眠6時間、休憩1時間が含まれるとし7時間を控除します。
  そして、実動は8時間と説明します。
4. 給与は日給月給で、日給はこの8時間に対して、8000円です。
5.但し、雇用契約書には仮眠時間・休憩時間の記載はありません。
  「17時出勤、翌朝8時退勤」の記載のみです。
6.本人の勤務はこの宿泊勤務のみ。
7.会社は有給休暇の付与日数算定の際、2日で8時間なので、週30時間未満になるとし、
  短時間労働者として計算しています。
8.会社のこの計算は正しいのでしょうか。
9.仮眠時間にも殆ど勤務が発生し、休憩時間も取得することは困難です。

【以下のようにアドバイスしました】

1.有給休暇の不付与日数算定は雇用契約に定める所定労働時間によります。
  勤務実績ではありません。
2.ご本人の雇用契約書には休憩時間、仮眠時間の記載がありません。
  特段の指定がないのであれば労基法に定める休憩時間が想定されます。
  6時間以上に就き45分以上、1時間以上に就き60分以上が休憩時間の定めです。
3.ご本人の場合、15時間拘束なので、7.5時間拘束が2回と考えるのが妥当です。
  そして、それぞれ45分の休憩が付与されるとするのが妥当です。
4.よって、勤務は15時間拘束13.5時間の実労働となります。
5.本人の泊まり勤務は10回を超えるのが通常としています。
  10回として計算すると、月20日を勤務日として算定できます。
  すると年間240日以上の勤務日が生じます。
  すると、フルタイム労働者としての処遇が有給休暇付与日数算定時には必要となります。
6.勤務時間の観点からみても2日勤務で13.5時間です。
  月20日であれば135時間が月の労働時間として算定できます。
  すると、週30時間は超えているので、これも同様にフルタイムとしての処遇が必要です。
7.賃金の関係では、8時間として8000円としているので時間給1000円。
  5.5時間の時間給及び深夜時間帯の手当の不足分が発生しています。
8.会社の過ちは大きく、きちんとした話し合いが必要です。

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相談現場から-21 乱暴な解雇が増えてきた!

年末を迎えます。毎年この時期は乱暴な解雇が増えます。労働者の中には「そんな解雇をする会社には愛想をつかし他社へ行く」と割り切る方も増えてきました。でも、本当に不合理な内容で解雇を告げられたならば、最低限の白黒は付けるべきでしょう。そんな相談が寄せられました。

【相談内容】

1.10月29日、月曜日に会社から解雇を通告された。
  通知書面に記載された理由は有給休暇取得に不正があるとのこと。
2.不正内容は、有給届出用紙の理由欄に「私事」としか記載せず、何度注意しても改まらず、
  詳細な理由を報告しないため、とされていた。
3.残有給が20日あるため、11月27日まで有給消化とし同日付で退職とした。
4.昨日、離職票が送付されたが退職理由が自己都合・一身上の都合によると記載されていた。
5.会社から解雇通知書があるのに自己都合退職とはならないのではないかと考えるがどうか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.そもそも解雇理由としては成立しない。解雇権濫用。
2.有給休暇の理由を報告しないことを解雇理由とはできない。
2.有給休暇取得に理由申告を条件とすることも取得妨害、労基法違反。
3.本人は、解雇無効を申し立てることができるし勝訴の確立はかなり高い。
4.また、会社都合解雇の離職票取得のみに絞るのであれば、解雇通知と離職票を持参し、
  ハローワークで異議申し立てすれば問題ない。
  100%変更になる。ハローワークの職権で発行する場合もある。

心を折らさず、一人で悩まず、相談してみましよう!

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外国人技能実習生の実態から考えよう!

11月27日、入管法が衆議院を通過しました。民主主義国家の行動とは思えない強引さです。法務大臣、与党議員及び首相・閣僚には外国人労働者の今の実態を正確に知ろうとする気概が見えません。制度を決める前には、制度適用となるところの現状がどうなのかということを検証する必要があります。今、外国人労働者を強く求めているところ(業態)の真の狙いは何なのかということです。それは今までの労働法制で問題視されているところと同じで、「安く」「早く」「簡単」であることです。安い賃金で働く人を早く集めることができて、目的を達成すれば簡単に解約できる、これが狙いです。そして、その被害は外国人技能実習生の中に根強く続いています。ここを見て議論する必要があります。この度、外国人実習生の調査をもとにしたセミナーが開催されます。必見です!詳細は以下のパンフレットをご覧ください。

12月10日「あなたの隣の外国人 ~ 在留ベトナム人に関する調査から見えてくるもの ~」 のパンフレットはこちらです。

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60歳以上の賃金ダウンの歯止めは必要!

北海道労働局は「平成30年「高齢者の雇用状況」集計結果(6月1日現在)」を公表しました。北海道内の従業員31人以上の企業6,180社の高齢者の雇用状況をまとめたものです。65歳までの高齢者雇用継続確保の状況は65歳定年の企業が増加し順調であるとしています。また、雇用年齢を70歳以上とする企業や定年制廃止企業も増加する等、希望者の雇用の場確保が満たされつつあるとしています。ただ、この調査では賃金労働条件については明らかにされていません。今、60歳定年が主流であるなか、年を経るごとに無条件に賃金を減額することが、半ば当然とされています。果たしてそうでしょうか。定年制の延長の中で業務内容・職責が変わらず勤務する、しかし、賃金は2割~3割カットは当たり前、5割でも良しとすべし、との提示に合理性はあるのでしょうか。年齢による賃金差別となるケースも相談されています。実態について声を上げ不合理は改善しよう!

北海道労働局が平成30年11月19日に公表した 平成30年「高齢者の雇用状況(6月1日現在)」集計結果 の内容はこちらです。

不払残業指導3億2,168万円 82企業へ 北海道労働局 平成29年度

11月8日北海道労働局は平成29年度中の監督指導による賃金不払い残業の是正結果を発表しました。是正企業数は前年を24上回る82企業、支払われた割増賃金の合計額は3億2,168億円に達し、前年を1億3,520万円上回りました。取り組み事例では、会社PCのログ記録から残業時間を算定した、持ち帰り残業について労働者へのヒアリングから確定した等が紹介されています。このような執念的姿勢が指導実績の増に結び付いたのでしょうか。プレスリリースの内容は以下の通りです。

2018年11月8日北海道労働局が発表した平成29年度の監督指導による賃金不払残業の是正指導の結果はこちらです。

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労働相談現場から-20 派遣労働者の受難は止まぬ!

「無期契約でも1カ月間仕事を探しても見つからなければ退職」

派遣会社はしたたかだなぁ~、こう思わせる出来事が報道され、労働相談にも寄せられました。11月20日、日本経済新聞は派遣社員の「雇用安定措置」である「3年ルール」の無力化を強行する派遣会社の実例を紹介しました。派遣期間が3年を経過した場合、無期契約に切り替えるものの、会社が当該社員に業務を1カ月間提示できず、その旨通知して30日経過すると退職になるというものです。厚労省からは注意喚起の呼びかけがネット上に流されました。

中途解約も依然横行しています。

労働相談では中途解約の事例も寄せられています。派遣先・派遣元が一体となって進めています。法律を学ぶ、守る、活かすという姿勢が欠如しています。

【相談内容】

1.派遣労働者。業務は不動産会社のデーター更新業務。
  勤務時間は9時~17時、1時間休憩。
2.3カ月の派遣契約。10月1日から派遣先不動産会社で勤務している。
3.11月19日に更新の件について話し合いたいと派遣元営業から申し出があった。
4.本人は次の内容を理由に断った。派遣契約の際に提示が無い業務がどんどん追加され、
  野外・社外でのデーター収集業務も加わっているため。
5.この発言と共に派遣先管理者の顔が険しくなり派遣元の担当営業の顔色も変わった。
6.そして、その直後、11月末をもって派遣期間を終了すると言われた。
7.これは、法律違反ではないのか。どうしようもできないのか。

【以下のようにアドバイスしました】
1.派遣法で禁じている「中途解約」です。
2.本人には11月末以降12月末日までの賃金請求の権利があり会社には支払い義務が
  あります。是非請求しましょう。
3.また今回の派遣契約には派遣元・派遣先会社による契約不履行(契約外業務の強要)が
  あるので退職について慰謝料請求(解雇予告相当)が交渉によっては可能です。
4.組合対応を前提に検討してはどうですか。
5.行政担当窓口は北海道労働局の雇用環境均等部、又は職業安定課需給調整事業室です。

雇用安定措置の無力化は「無期雇用転換」の申請時にも見られます。「無期雇用転換」により正社員同様の就業規則が適用となった結果、地方への転勤・配転の対象となる、みなし残業手当支給の対象となり長時間労働を命じられる、そして定年制の対象となり60歳で定年を余儀なくされ以後1年毎の契約社員に転ずる(無期雇用転換前は定年の定めなし)等です。これじゃ何のための法律改定議論をしたのかわかりません!

それでも諦めずに皆で相談しながら働きましょう!

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相談現場から-19 退職時の違約金請求はビビル! でも…

1年以内に退職したら「研修料」としてお金を支払え、採用経費を支払え、雇用契約書に書いてあるだろう! と迫られたことはありませんか?こんな請求は応ずる必要はありません。一旦その場を離れることだけを考えすぐに労働基準監督署や労働組合に相談しましょう。今日もこんな相談が寄せられました。

【相談内容】

1.某エステサロン勤務。現在契約社員。1年間を研修期間とし終了すると正雇用となる。
2.現在勤続7カ月目。月給制。賞与(夏冬)、燃料手当・決算手当は無い。
  正社員雇用後は支給とのこと。
3.店の開店は10時から22時。出勤は開店1時間前、退勤は閉店1時間後。
  実動8時間だが、それ以外は社内研修と称した指導又は自習。
4.しかし、大半は、業務の補助。この指導・自習の時間帯は賃金なし。
5.逆に研修期間中の退職は研修費用の弁済金20万円の支払い義務を負うとされている。
6.本人は長時間拘束や研修期間中の暴言・パワハラが苦痛で退職したいと考えている。
7.ただ、20万円の支払い義務は本当に負うのか聞きたい。

【以下のようにアドバイスしました】

1.労基法第16条では賠償予定の禁止を定めています。
  退職するなら違約金を支払え等、労働契約の不履行に対する違約金を定めて
  損害賠償額を予定する契約は禁止しますというものです。
2.また、このエステサロンの研修はどう見ても社内の独自研修で業務に関する指導の範疇
  です。研修費用は発生しません。会社のぼったくり又は恫喝といえるもので悪質です。
3.逆に研修期間中の時間は残業手当として請求が可能です。
4.それでも、請求期間中は会社と交渉状態になるので接触の可能性はあります。
5.労働組合に相談してはどうですか。

職場の中であんな風に「違約金払え」といわれたらビビりますよね!でもちょっと勇気をもって我慢し相談してみましょう!

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諦めない!不利益変更の決定プロセスをチェックする!!

11/17第2回組織研修会に参加して感じました。

11月17日の札幌地区ユニオン第2回組織研修会の記事の続報です。参加組合員(個人加盟)から次の感想が寄せられました。「組合が会社と妥結した内容はどうにもならないと思っていました。私は、企業内組合に加入資格がないため非組合員です。しかし職場では組合員正社員が過半数以上を占めています。組合と会社は非組合員の賃金・労働条件・就業規則の内容までも決めています。この度59歳以上の非組合員は基本給が25%カットとなります。正社員(組合員)と同比率とのことでした。ただ、私は非組合員ですが、他の方々と採用経緯が異なるため、手当比率が高く設定されています。私の場合、これを機に手当をゼロとして、基本給を25%カットするということになりました。労使合意とのことです。私は、労使合意・労働協約では極一部の特例者までは網羅できないのだろうと諦めていました。」「しかし、この研修会で、いくら労使合意・労働協約で合意に至ったものでも、①その内容が特定の者に著しい不利益を与え、これを甘受させることが、内容的にも、手続的にも著しく不合理である場合には、その規範的効力を否定すべきと解される ②本件協約の締結に当たって、交渉経過の報告は各組合員になされていたものの、主として組合の執行部が交渉に当たり、執行部の権限で妥結に至ったことが認められ、交渉及び妥結の過程において、組合大会が開かれたり、対象者の意見を個別に聴取するなど、本件協約の規範的効力を対象者に及ぼすこともやむを得ないような手続的背景はなかったと推認できる。〔中略〕本件協約が、被告の従業員を代表する組合を一方当事者として締結されたとしても、これをもって直ちにその規範的効力が原告らに及ぶと解するのは相当ではなく、むしろ、本件協約は、その内容自体が不合理でこれを正当化する理由に乏しく、かつこのような重大な内容であるのに、これに見合った手続的正当性も不十分であるというべきであって、本件協約の規範的効力を原告らに及ぼす根拠はないというべきである、との判決が得られるということを知りました。」「これからは、諦めず、決定プロセスをチェックし今加入している組合の皆と相談して取り組みます」との感想をいただきました。

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労働条件不利益変更を学ぶ!

11/17札幌地区ユニオン第2回組織研修会夜半まで

札幌地区ユニオンは11月17日18時より今期2度目の組織研修会を開催しました。会場となった札幌地区ユニオン会議室には4単組24名が参加しました。今回の講師は山本書記長が担当し、労働契約法第8条・第9条・第10条に関連する判例から単組事情に合致した課題を取り上げ議論しました。特に、変更後の雇用契約書に押印してしまった、同意してしまった等の場合であっても同意に至るまでのプロセスを良く検証し諦めてはいけないとのテーマでは大いに議論が盛り上がりました。20時終了退館の予定が大幅に延長となりましたが、一人の退席者もなく今後も引き続き研修活動を続けることを確認し閉会しました。また、現在札幌パートユニオンでは解雇に関連する不当労働行為審査事件(ニッコー保障不当労働行為事件)を申立て中ですが、来る11月29日の審問に備え、公開の模擬審問を開催することも決定しました。

熱心な議論に夜が更けていくのも忘れる組合員各位でした。

きちんと議論しよう! 外国人労働者受け入れ

CUNNメール通信 N0.1495 2018年11月13日 181113連合通信・隔日版

「安い労働力ではない」/介護分野での外国人労働者/受け入れを考えるシンポ

 11月9日、公益財団法人介護労働安定センターは「介護労働シンポジウム」都内で開催しました。同シンポジュウムでは介護分野の外国人労働者受け入れを進める立場から、直面する課題について議論が交わされました。CUNNはこの内容についてメール通信NO.1495で配信しました。以下のとおりです。

CUNNメール通信 N0.1495 介護分野での外国人労働者受け入れを考えるシンポジュウムの内容はこちらです。

 札幌市内の介護事業者にも外国人労働者受け入れを早急に求める声があります。事業者側の都合だけで進めるべきではありません。私たちは介護保険導入時から、介護に従事する労働者の環境改善は介護を仕事として確立していくためには早急に取り組むべきだと主張しています。最近ようやくこの議論が出始めたものの、とても浅い議論で結論は出ていません。そのような中での外国人労働者受け入れは、結局安価な労働力確保で落ち着いてしまいます。利用者のため介護事業のためにも良くありません。きちんと議論しましょう。

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