5月29日参院本会議でパワハラ防止の義務付けを含む改正労働政策総合推進法が成立しました。各紙朝刊が一斉に報じています。ただ、具体的な行動指針は労働政策審議会で年内を目途にまとめるとしています。魂のある改正法とするために、労働者の声・本意を取り入れなければなりません。労働政策審議会に声を届ける方法ほ皆で探そう!創ろう!
月: 2019年5月
労働相談現場から-33 就業規則の周知は義務です!
就業規則を見せたがらないのは何故か!就業規則不開示の相談を受けると毎度感ずることです。規則に従え、と命じながらその規則を記載する就業規則を見せない、どうしても見たければ、他言しない・メモを取らない・持ち出さないことを誓約しろ、という上司も現実にいます。開示するのが就業規則です、という相談が今日、寄せられました。
【相談内容】 1.某市内の老舗運送会社の運転手。正社員。会社に組合はない。 以前は組合があり会社と色々交渉をしていた。 2.退職金制度及び企業年金基金への加入も交渉していた。 3.企業年金は基金解散に伴い厚生年金への繰り入れが決定されたとのこと。詳細は不明。 4.この度、退職金制度を自社の資産運用から、保険会社運用に変更すると説明があった。 5.元々がよくわからない制度なのに、朝礼時に説明され、殆ど変更が無く、不明な方は 本社総務へ社内電話で問い合わせて欲しいとされた。 6.本社総務に対して、退職金規定の変更は就業規則の変更であり、変更部分の開示説明 は必要ではないか、としたところ、本社総務は朝礼の口頭説明が「開示・説明」にあ たるとした。 7.これで、就業規則の開示義務を果たしたことになるのか。
【以下の様にアドバイスしました】
1.就業規則の変更、特に不利益変更は従業員への周知・説明が必須(労契法第10条)。 2.今回の場合、不利益になるかならないか微妙ではあるが、就業規則変更において 従業員のニーズがあり、周知・説明は必要。 3.口頭による説明だけでは周知・説明とはいえない。 退職金という個々の条件によって変動があるものを、口頭で一概に前と変わりが ありません、というのでは周知・開示義務の履行とはいえない。 4.判例でも、中部カラー事件(平成19年10月30日)と呼ばれる裁判例では、 朝礼で就業規則の変更(退職金の変更)について説明があると同時に、退職金の計算式 が示された、一見、労働者に就業規則を示していることから、「周知」しているように も採れるが裁判では周知がなしとして、就業規則の変更を認められていない。 5.理由は、口頭で説明しただけでは従業員に変更内容をきちんと理解してもらえない、 という極めてシンブルなもの。 退職金の計算式を、一瞬書面を示しただけで理解できる人はいないと、断じている。 6.よって、今回相談となった会社の対応は極めて悪質な法律違反。 7.周知をしたと、言い切るためには、単に書面を示して、説明するだけでは足りず、 従業員が理解できる形で公表しなければならないということ。 8.会社に再度開示・説明を求め、どうしても、開示・説明をこれ以上はしないという のであれば、再度連絡ください。
就業規則は契約書です。各自一冊が原則でしょう。会社の考え方を理解しろというのであれば、就業規則の熟読から指導するのが当たり前です。それを隠すとは反会社的な行為です。
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労働相談現場から-32 パワハラ防止対策法 労働者の勇気ある公言があってこそ!
政府が3月8日に閣議決定した、職場のパワハラ防止策への取り組みを企業に義務づける労働施策総合推進法改正案が今国会で審議されています。成立すれば企業の対策義務は早ければ大企業が2020年4月、中小企業が22年4月の見通しです。でも、法律を運用するのは労使です。適正に運用するという強い意志が必要です。そんな相談です。
【相談内容】 1.繁華街飲食店経営を主たる事業内容としている会社。 焼肉・寿司・キャバクラの店舗が主力。最近はリラクゼーション分野(エステの類) にも進出している。 2.本人は営業スタッフ、各店舗の売り上げ管理や、労務管理を担当している。 社長付の肩書。正社員。 3.社長は、超ワンマン。恫喝に近い指示が日常茶飯事、自分の考え方が絶対。 残業手当等もってのほかという人物。 4.このパワハラを苦痛にして退職した者は多数。 5.今、国がパワハラ対策を打ち出したことから従業員の間に期待感が広がっている。 6.今のパワハラ地獄から脱出できるかもしれないという思いもある。 内容について聞きたい。
【次のようにアドバイスしました】
1.現在国会に提出されている労働政策総合推進法改正案のこと。ほぼ成立の見通し。 2.職場のパワハラ防止対策を義務化することが明文化される。 (1)パワハラの定義を➀優越的な関係に基づく、➁業務上必要かつ相当な範囲を超えた 行動により➂労働者の就業環境を害すること、としている。 (2)その具体的行動については次の6の内容を例示している。 ➀暴行等の身体的な攻撃 ➁侮辱等の精神的な攻撃 ➂大量の仕事を押し付ける等「過大な要求」 ➃全く仕事を与えない等「過小な要求」 ➄休日の予定をしつこく聞く等「個の侵害」 ➅無視等「人間関係からの切り離し」 (3)このパワハラに対する企業の執るべき防止対策として次の内容が挙げられている。 ➀加害者への処分など対処方針を就業規則に明記する。 ➁相談窓口の設置。 ➂事実関係を正確に確認し、配置転換など被害者に配慮した対応をとる。 ➃社員研修などの再発防止策。 3.ただ、何を決めようが、所詮労働者自身が発言というか、被害を報告すること、 公言することが必要。 4.就業規則に企業対策を書き込む際にも、従業員への相談・開示・同意確認があるか どうか、ここに注目すべき。 5.この法律を「テコ」に行動するのであれば、いま現在の状況でも単独では困難。 6.一人ではなく、複数で、さらには労働組合を窓口として交渉すべき。 7.ちなみにこの法律が出来上がったとしても運用は大企業は2020年4月から、 中小企業は2022年4月からになる。 8.国は声なき弱者には甘くはない。
国は声なき弱者には甘くはない。これが現実です。でも諦めてはいけません。悔しかったら声を出しましょう!
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札幌パートユニオン機関紙 陽だまり181号 ~第35回定期総会 ほか~
札幌パートユニオン機関紙陽だまりの181号が今日発刊されました。組合員の皆さんには暫時お届けいたします。待ちきれない皆さんには一足お先にこちらをご覧ください。
【もくじ】 1P 第35回定期総会を開催(3/23) 2P 「憲法改悪と私たち」北星学園大学教授 岩本一郎さんを迎えて記念講演 札幌地区ユニオン第21回定期総会を開催(3/16) 3P 小雨の中、第90回全道メーデーに参加 5月1日 メーデー交流会 札幌地区ユニオン第1回組織研修会 映画「ドレイ工場」に学ぶ 春闘、最後の追い込み! 春闘解決促進集会(4/24) 4P 戦争する国づくりを許さない!! 3月9日 「原発事故から8年 フクシマを忘れない!」 さよなら原発北海道集会 5P ユニオンの仲間たち ユニオン11 衆院の憲法審査会が5月9日 ついに実質的な審議を開始 6P 安倍政権「働き方改革」が4月1日から施行開始! 8P あらの会長の二言三言 9P 職場の問題解決の取り組み 不当なる差別、賃金の一方的減額は許さない! 10P これまで これから 編集後記
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労働組合が増えれば職場地域世の中が良くなる!
日刊スポーツプロモーション労組 第1回定期総会ひらく 5月22日
昨年1月に結成した日刊スポーツプロモーション労組が第1回定期総会を開催しました。勤務終了後でもあり予定から30分少々遅れ19時開催となりました。経過報告ではベースアップの3%要求を含む18項目の交渉状況が説明されました。新年度への継続交渉が多いものの、時間外・深夜手当については調査の末、対象従業員全ての未払い賃金を清算したとしました。また、経済要求に対する回答は「赤字」を理由に極めて消極的・不満足な内容であるとし、原因と改善策の開示は必要であるとしました。2019年度は沼倉執行委員長・岩佐書記長を中心に役員・組合員一丸となって取り組むことを確認し、当面は経営改善策の明示と就業規則改定に関わる事項に取り組むとしています。職場組合員を中心とした単組大会・集会に参加する度に自らの緩んだ気持ちがピンとなります。勤めと共に家族・同僚・自身の生活権利を改善していくことを考え議論する姿に溜まった汚膜を剥がされる気がします。感謝しながら事務所に戻りました。写真が上手くとれませんでした。同日の近隣映像を掲載します。
最低賃金は生活改善に役立つものであってほしい! 選挙前の花火じゃ困る!!
最低賃金改定の議論が中央で始まりました。まだ、非公式です。議論開始直前、政府の意向を汲んだ経済財政諮問会議のメンバーの意見が一斉に公開されました。最賃1000円を早期に実現しなくては景気に良くないという内容です。この意見に対して官房長官・経済産業相はそれぞれの立場でアクセルとブレーキの掛け合いをしています。何れの議論にも、全世代と地域に拡大している貧困に対してどうするとかという話は出ていません。政策貫徹と景気回復、そして消費拡大です。議論が最低賃金の本来の目的から離れすぎていると感じます。選挙前の花火のような気がする。困る、みんな、なんとかしよう!
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2019春闘行動 札幌地区ユニオン12名参加 「はるさっとう」清田・里塚地区で配布1200冊 !!
5月18日2019春闘札幌区連合闘争委員会は清田区内への「はるさっとう」(2019春闘パンフ)配布行動を実施しました。27組織123名が参加し札幌地区ユニオからは4単組12名が参加しました。気温25度を超える真夏日の中、清田区内里塚地区へ1200冊を瞬く間に宅配しました。里塚地区の奥の日陰に吹く風はまだ涼しく遅咲き桜がひっそりと満開を保っていました。「はるさっとう」はさっぽろ労働相談センターに寄せられる労働相談をベースにまとめた労働基本権冊子です。是非皆さんも目を通してみてください。
2019春闘パンフ「はるさっとう」~これだけは知っておきたい労働者の権利~ の内容はこちらをクリックして下さい。
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労働相談現場から-31 会社の言うとうりにせよ!契約社員で60歳超えるんだから・・・ という非人間的な威圧はどこから来るのか!?
同一労働同一賃金が来年導入されるというのに、懸命に仕事をこなす契約社員にとって会社・職場は法の趣旨どおり対応するのでしょうか。今日の相談からはとても期待はできないなと感じました。大手通信会社系の通信設備会社です。契約社員に対しては、「ウチの会社で働けるんだから」と言わんばかりの高圧的な態度です。相談者の方には是非労組に加入して取り組みましょうとしました。
【相談内容は以下のとうりです】
1.札幌市内の情報通信系の通信環境整備の技術者。契約社員。6カ月雇用の反復更新。 大手通信会社の系列会社。 2.契約社員の内6割強は大手通信会社正社員の定年再雇用者。 正社員時はほぼ1千万円社員。企業年金もあり、健康のために出社している者が大半。 本人がこれら定年再雇用者に仕事を教えなくてはならない。 3.2011年4月1日から勤務している。賃金は基本給と特別勤務手当が基準内。 交通費と残業手当は別途支給。 4.特別勤務手当は2011年から9万円が支給されている。 この特別勤務手当は、本人に固有のもので、就業規則にも規定はない。 5.また、本人・契約社員には年齢を理由とした定年制はない。 契約社員就業規則に定年制はなく個別契約で雇用期間賃金を決定するとされた。 6.このような中、今日、10月1日からの雇用契約を次の通りとすると通知された。 ⓵雇用期間は6カ月。10月1日~3月末日。 ⓶基本給を30%減額する。特別勤務手当を全廃・0円とする。 ⓷理由は、8月19日に60歳に達するので、基本給は契約社員就業規則17条を適用し 特別勤務手当は正社員就業規則を適用するため、とされた。 7.本人はこれまで一度も適用されていない正社員就業規則を適用するのはおかしいとし、 特別勤務手当カットは成立しないと主張した。 8.カット額は基本給30%と特別勤務手当全額カットで給与総額の51%になる。 9.会社は正社員は皆そうだから、問題無いとしている。合法か?
【以下のとおりアドバイスしました。】
1.労働条件の不利益変更。労働者の同意なしに変更は成立しない。 労働契約法第8条の定め。 2.また、会社の説明に合理性はない。賃金変更に関する就業規則の規定は契約社員の基本 給についてのみ、それも60歳に達した場合に30%減額とされ、特別加算金について の定めはない。 3.特別加算金を単に正社員もそうだからとして、全額カットするとし、正社員就業規則を 適用するというのは論外。 契約社員の労働条件について対象外とされる正社員就業規則を適用するというのは正に 権利の濫用。 4.本人は、これに応ずる義務は無く、拒否することで更なる不利益を被ることもない。 解雇にも通ずる契約内容。 5.労基もしくは労組へ相談してはどうか。 労働審判でも敗訴することはないが、心理面のサポートは必要。 6.労組加入を検討してはどうか。
是非労働組合に加入してください!
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労働組合が増えれば職場地域世の中が良くなる!
パワハラ対策の「録音」裁判所は肯定的 過信は禁物!
パワハラ被害を争う裁判で被害(原告)労働者の秘密録音が有力な証拠となりつつある、といった記事が今日5月11日の日本経済新聞朝刊に掲載されました。記事は、事情を考慮すると「秘密録音」がパワハラ証明の有力証拠として採用される裁判事例が続出しているとし、経営に対してパワハラ防止に向けた環境整備を進める内容です。中では医療サービス会社・銀行・自治体職員の勝訴(勝利和解)例が紹介されています。札幌地区ユニオンの担当事件でも労働委員会・裁判等で録音記録が有力な証拠となったものがあります。しかし、過信は禁物です。「録音」中は労働者がパワハラ行為を受けています。その時の心理的・肉体的負荷は相当なものです。心理的被害は直ぐには症状として自覚できない場合もあります。「録音」時の「平常心」の保ち方等に気を配る必要はあります。「録音」はあくまでも事後対策への準備であり、根本は職場内で「パワハラ」が発生しないための労働者自身による環境づくりです。労働組合結成も有効な手段です。どうですかみなさん!
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労働組合が増えれば職場地域世の中が良くなる!
5月1日 The90th MayDay に集う!
札幌地区ユニオンは5月1日第90回メーデーの日に第1回組織研修会を開催しました。先人の労働運動に敬意を表し、これからの運動の糧を肥やすことを趣旨にしたものです。1967年に上映された「ドレイ工場」と昨今各地の労働組合が取り組む交渉課題・争議内容を題材としました。10連休の中日とはいえ、組合員の大半は勤務です。それでも22名が参加し意見を交換しました。15時に始まった研修会は休む間もなく19時30分まで続き、ビル閉館間際に、惜しみつつ、次回開催を誓い、お開きとなりました。心地よい疲労感です。これからも頑張りましょう!