労働相談現場から-33 就業規則の周知は義務です!

就業規則を見せたがらないのは何故か!就業規則不開示の相談を受けると毎度感ずることです。規則に従え、と命じながらその規則を記載する就業規則を見せない、どうしても見たければ、他言しない・メモを取らない・持ち出さないことを誓約しろ、という上司も現実にいます。開示するのが就業規則です、という相談が今日、寄せられました。

【相談内容】
1.某市内の老舗運送会社の運転手。正社員。会社に組合はない。
  以前は組合があり会社と色々交渉をしていた。
2.退職金制度及び企業年金基金への加入も交渉していた。
3.企業年金は基金解散に伴い厚生年金への繰り入れが決定されたとのこと。詳細は不明。
4.この度、退職金制度を自社の資産運用から、保険会社運用に変更すると説明があった。
5.元々がよくわからない制度なのに、朝礼時に説明され、殆ど変更が無く、不明な方は
  本社総務へ社内電話で問い合わせて欲しいとされた。
6.本社総務に対して、退職金規定の変更は就業規則の変更であり、変更部分の開示説明
  は必要ではないか、としたところ、本社総務は朝礼の口頭説明が「開示・説明」にあ
  たるとした。
7.これで、就業規則の開示義務を果たしたことになるのか。


【以下の様にアドバイスしました】

1.就業規則の変更、特に不利益変更は従業員への周知・説明が必須(労契法第10条)。
2.今回の場合、不利益になるかならないか微妙ではあるが、就業規則変更において
  従業員のニーズがあり、周知・説明は必要。
3.口頭による説明だけでは周知・説明とはいえない。
  退職金という個々の条件によって変動があるものを、口頭で一概に前と変わりが
  ありません、というのでは周知・開示義務の履行とはいえない。
4.判例でも、中部カラー事件(平成19年10月30日)と呼ばれる裁判例では、
  朝礼で就業規則の変更(退職金の変更)について説明があると同時に、退職金の計算式
  が示された、一見、労働者に就業規則を示していることから、「周知」しているように
  も採れるが裁判では周知がなしとして、就業規則の変更を認められていない。
5.理由は、口頭で説明しただけでは従業員に変更内容をきちんと理解してもらえない、
  という極めてシンブルなもの。
  退職金の計算式を、一瞬書面を示しただけで理解できる人はいないと、断じている。
6.よって、今回相談となった会社の対応は極めて悪質な法律違反。
7.周知をしたと、言い切るためには、単に書面を示して、説明するだけでは足りず、
  従業員が理解できる形で公表しなければならないということ。
8.会社に再度開示・説明を求め、どうしても、開示・説明をこれ以上はしないという
  のであれば、再度連絡ください。


就業規則は契約書です。各自一冊が原則でしょう。会社の考え方を理解しろというのであれば、就業規則の熟読から指導するのが当たり前です。それを隠すとは反会社的な行為です。

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