国が有給休暇取得を促進しても地方では中々進みません。罰金を科そうが、企業名が公表されようが「それがどうした」と言わんばかりの振る舞いです。様々な意見が出された中で決まった法律が守られない、というのは近代国家の恥というか、民主主義を否定する行為です。大変に危険です。そんな相談が寄せられました。
【相談内容です】
1.会員制のリゾート娯楽施設。これから芸術祭及びその類の催事が多くなる。
2.本人は、同施設の接客スタッフ。勤続15年。学齢期の子ども3人との世帯。
3.12月14日・15日に3人のうち2人の子供の3者面談がある。
4.学校には、予定催事を直接本人に早めに通知してもらえるようお願いしてある。
5.どうしても優先しなければならない学校行事。
6.今から、有給休暇の申請書を提出した。
7.上司は、12月14日・15日は、施設の年末催事設定日であり多忙である、
として、申請不受理とした。
8.本人は、多忙日とはいえ1カ月半前の申請を却下するのは不合理であるとした。
9.施設側は、時季変更権の行使であるとした。しかし、変更日は特定していない。
10.施設側対応に違法性はないのか。
【以下のようにアドバイスしました】
1.施設側による労働基準法違反行為、完全な有給休暇の取得妨害。
2.1カ月半前の申請に対して人員確保に窮するようでは、管理者の才覚を問い直すべき。
3.時季変更権を行使する際の事情は、経営を揺るがすほどの事態を想定している。
4.毎年、決まった時期に到来する多忙日は、時季変更権の対象とはならない。
5.対応としては、本人は申請の基づき有給休暇を行使すること。
6.この行使に対して何らかの不利益を施設側が強いるのであれば再度相談してください。
7.管轄行政への改善申入れ及び労組を通じての施設への団体交渉申入れ等を検討すべき。
8.一緒に相談しましょう!
有給休暇とは一体何ですか?私たちも有給休暇が取得できるのか?有給休暇を取得すると次の契約は無い、と言われた。有給休暇取得に関する相談事例の定番です。相談を寄せられる方々は主に、小規模事業所に働く短時間パート・契約社員等の雇用身分でした。今は、有給休暇に対する認知・理解度は広がらないまま、相談主たる雇用身分は正社員・公務員にまで広がっています。労働が苦役になり増税におびえる国民の姿は「租・庸・調」に押しつぶされた民の姿と重なります。これではいけない、全く「万歳」どころではありません。
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