CUNNは10月31日、メール通信NO.2383を配信し、岸田文雄首相が臨時国会の所信表明演説で早急の検討を打ち出した、「ライドシェア」の 国内導入に反対する集会の様子を紹介しました。連合も「基本的には反対」との声明を出しています。少し前の春闘期に全自交や交通労連、交運労協の皆さんと国会議員の事務所訪問をしました。目的は与党の「ライドシェア」法案の反対運動でした。そのときの導入の理屈は地方の交通難民をなくせ、過疎地の交通網を守れ、というものでした。明らかな「票」目当ての打ち上げ花火でした。案の定、事業者にも大変不評で、雲散霧消となった記憶があります。今回、また与党から湧き上がったということは、選挙が近いということでしょうか?
◎ CUNNメール通信 ◎ N0.2383 2023年10月31日 1.(情報)世界は禁止の方向/ライドシェア解禁/学者、法律家、市民が「待った」 231028連合通信・隔日版」 岸田文雄首相が臨時国会の所信表明演説で早急の検討を打ち出した、「ライドシェア」の 国内導入に反対する集会が10月24日、国会内であった。主催者らは、観光地などでの 「タクシー不足」を口実に、問題点を伝えずに解禁論を展開する政治家や一部報道を批判。 安易な規制緩和や市場化の推進に異議を唱えた。 ライドシェアは、無資格の運転手が自家用車で乗客を有償輸送する違法な「白タク」行 為。日本では認められていない。報道によれば、政府は供給不足の地域と時間を限定し、 タクシー会社を介在させる形での解禁を想定しているという。 「ライドシェア」事業をめぐる世界の規制動向に詳しい、国際運輸労連(ITF)政策 部長の浦田誠さんは、欧州連合(EU)ではライドシェアが禁止され、経済協力開発機構 (OECD)加盟38カ国のうち30カ国で運行されていない現状や、導入した国々ではタ クシー産業が駆逐され、ライドシェア運転手の労働条件も低下した実情を報告。「欧米で もパンデミック(感染症拡大)後にタクシー不足に悩んでいるが、ライドシェアの導入や 再導入により解決しようとした国はない。こういう大事なポイントを検証せず、日本国内 での解禁を唱えることは無責任であり、政治的作為を感じる」と語った。 木下徹郎弁護士は、ライドシェアの運転手が個人事業主と扱われる「偽装雇用」の働き 方であり、この推進は「労働者保護法制に対する挑戦だ」と批判。戸崎肇桜美林大学教授 (交通政策)は「タクシーは関係者の英知により成り立つ制度。まずはしっかりした検証 のうえで次のステップへ踏み出すべき」と拙速を戒めた。 集会は交通の安全と労働を考える市民会議の主催。 ◆231028・「今が正念場」/ライドシェアで全自交/連合「基本的に反対」 タクシー会社の労組でつくる全自交労連(連合)の溝上泰央委員長は10月16日、静 岡県内で開いた定期大会でのあいさつで、政府が検討を進める「ライドシェア」解禁の動 きに対し、「今が正念場」と阻止に向けた取り組み強化を呼び掛けた。連合も「基本的に は反対」(清水秀行事務局長)との姿勢だ。 溝上委員長は「デジタル行財政改革会議のメンバーには、だれ一人、交通の専門家がい ないにもかかわらず、ライドシェア解禁の議論をしようとしている」と批判。欧州連合 (EU)加盟国ではライドシェア導入後に弊害が明らかになり、司法が禁止を決めたこと などを説明し、「ライドシェアがある程度普及しているのはアメリカと中国であり、その 理由は、利用者に必要とされるサービスをきちんと提供できる態勢がないことに尽きる」 と、日本との違いを強調した。 「今が正念場」であるとし、タクシー議連、関連産別によるハイタクフォーラム、市民 との連携を強化していく考えを示した。 ●「インフラ確保と相反」 連合の清水事務局長は19日の定例会見で、この問題について問われ、「ライドシェア については大阪・関西万博に絡み浮上しているが、基本的には反対だ。安心・安全という こともあり、また、しっかりしたインフラの確保と規制緩和は相反する部分もあるので、 簡単に広げていくことについては反対という基本方針は変えていない」と語った。
今回の急なライドシェア検討案も事業者には不評です。全国ハイヤー・タクシー連合会 会長川鍋一朗氏も「・・・利用者保護をないがしろにしたライドシェア解禁を行えば安心・安全な移動サービスは失われてしまうだろう」と某経済紙に投稿しています。