CUNNは11月25日配信のメール通信NO.2046で、11月18日にオンラインで開催された「プラットホーム事業」の課題について話し合う集会を紹介しました。以下のとおりです。
◎ CUNNメール通信 ◎ N0.2046 2021年11月25日
1.(情報)労働法適用されない社会を危惧/交通の公共性シンポ
/あくなき利益追求の姿勢指摘
211125連合通信・隔日版
ウーバーイーツなど、働き手と事業者、顧客をインターネットで結びつける「プ
ラットフォーム事業」の課題について話し合うオンライン集会が11月18日、開かれ
た。これらの事業を担う多国籍IT企業が、税金や人件費を「削減すべきコスト」と
考え、課税や労働法の適用を逃れている実態が報告された。主催は「交通の安全と労
働を考える市民会議」。
プラットフォーム事業とは、インターネット上で売買の当事者を集めサービスや製
品を提供する仕組みを運営する事業のこと。グーグルやアップル、フェイスブック、
アマゾンなどが有名だ。
急成長するこれらの多国籍IT企業について、諸富徹京都大学大学院教授はその行
動規範を最もよく示しているのが「租税回避」の問題だと指摘。「英米系の企業は株
主の力が強く、利益の最大化が求められる。コストは小さければ小さいほどいい。税
負担を削って得た原資を株主への配当に回す。こうした行動規範がある」と述べた。
多国籍IT企業の特性として、アイルランドやオランダなど法人税率が低い国に拠
点を置き、「タックスヘイブン(租税回避地)」と呼ばれる無税の地域に「合法的」
に利益を移して、各国で課税逃れをする実態を解説。
このほど主要国の間で、法人税率最低15%の課税や、多国籍IT企業に各国が課税
できる「デジタル課税」の新設が合意されたことは「画期的なこと」と語った。
●そんな社会でいいのか
税金を「削減すべきコスト」と捉える考え方は、人件費に対しても徹底している。
そう指摘したのが、ウーバーイーツでの組合結成と団体交渉を支援する川上資人弁護
士だ。ウーバーイーツは米国発祥のIT企業で、専用アプリで客と料理店、配達人をつな
ぎ、料理の宅配を行う。2016年に日本で事業が始まり、類似の事業も増えている。
この配達を担う働き手が雇用ではなく、個人事業主とされているため、契約の一方
的な打ち切りや報酬の切り下げ、労災事故に対する無補償など、さまざまな問題が生
じている。川上弁護士は「(配達員に)価格決定権は全くない。体一つで労働力を提
供しているのに(労働者を保護する)労働法が適用されない。そんな社会にしていい
のか」と語気を強めた。
現在、同社の労組が東京都労働委員会に救済を申し立てた審査が続いている。労働
弁護団闘争本部長の棗一郎弁護士は、同社がオランダの子会社などに次々に営業に関
する権利を移し、使用者責任を曖昧にしている現状を報告した。
●維新の伸長に警戒
世界では、自家用車の運転手と客をつなげる「ライドシェア」事業が広がってい
る。日本では違法な「白タク」事業だ。
国際運輸労連の浦田誠政策部長は働き手を保護する各国の動きを紹介した。「百件
以上の裁判が行われ、フランスや英国、ドイツなど5カ国で最高裁判断が示されてい
る。その全てで労働者性が認められている」と報告。欧州連合(EU)では近く、単
発の仕事で働く「ギグワーク」の働き手を保護する新たな指令案が出される見込みで
あるとも語った。
日本国内では国土交通省はライドシェアを「認めない」という姿勢。しかし、推進
を掲げた「日本維新の会」が伸長したことや、政府の田園都市国家構想会議に、推進
派の竹中平蔵パソナ会長や、星野リゾートの社長らが就任していることなどを指摘
し、警戒が必要と語った。
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プラットホーム事業は料理宅配の「ウォルト」や「ウーバーイーツ」が最近CMや番組で紹介されています。少し前には、上記配信の後段にある「ライドシェア」が東京五輪の観覧外国人向け需要が見込めると話題になりました。いずれも、働き手には自由と裁量が手中にあると募集し、利用者にはオンデマンド・速さ・安さを強調して利用促進を呼びかけています。実態は働く人の「覚悟の我慢」と利用者の「容認の我慢」で商談が成立し、コストカッターたる事業者が手間暇と義務も省いた上、大きな利潤を手にするという形式です。利潤のためには他者の痛みに目を向けないという姿勢は良くない。絶対に良くない。働くことで地域を豊かにするという公共性、そのために働くという行為に権利をきちんと認めるという姿勢は、当然自覚すべきじゃないでしょうか。
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