年金部会で被用者保険の適用拡大,「年収の壁」対応等議論/日商会頭 企業負担増に激怒!?

労働政策研究・研修機構(JILPT)は11月20日配信のメールマガジン労働情報第2013号で11月15日に開催された厚生労働省社会保障審議会年金部会の内容を紹介しました。同部会では被用者保険の拡大(適用範囲)と「年金の壁」(年収106万円と就業調整)への 対応などを議論しています。詳細は以下の通りです。

●被用者保険の適用拡大、「年収の壁」対応など議論/厚労省年金部会

厚生労働省は15日、社保審会年金部会を開催し、被用者保険の拡大と「年金の壁」への
対応などを議論した。
短時間労働者の被用者保険の適用範囲の見直しについては、企業規模要件(従業員50人
超)を「撤廃すべき」とし、労働時間要件(週所定労働時間20時間以上)は「将来的に
撤廃を目指すことも必要」として留保、学生除外の要件は「現状維持」とした。
常時5人以上の従業員を使用する個人事業所の非適用業種については「解消」とし、5人
未満の事業所は「今回は適用しない」との方向性を示した。(資料1・22頁)

いわゆる「年収の壁」への対応では、「106万円の壁」について、「保険料負担による
手取り収入の減少をどうするか」を基本とし(42頁)、手取り収入の減少を回避するた
め就業調整を行う従業員に対し、労使の合意に基づき、事業主が被保険者の保険料負担を
軽減し、事業主負担の割合を増加させることを認める特例を提示。ただし「保険料は労使
折半が原則」として、恒久的でない特例であるとしている。(49頁)
第3号被保険者制度については、「縮小の方向に向かっていくこととなるが、それでもな
お残る同制度の在り方や今後のステップをどう考えるか」などと課題を示した。

11月15日開催「厚労省 第20回社会保障審議会年金部会」議事資料

資料1「被用者保険の適用拡大及び第3号被保険者制度を念頭に置いた 
いわゆる「年収の壁」への対応について」

手取り収入の減収回避策として、労使合意の前提付きで、事業主負担の割合を増やす特例案が提示されています。これに日商小林会頭は不公平感がある、企業が負担増となる理由がない、と反対しています。反対というより、人手が欲しい時に就業調整を強いられる欠陥制度を作成した国が補填せよという趣旨ではないでしょうか。また、財源の話になるのでしょうが、働けないという国民を放置して景気悪化となるのは避けたいです。「岡目八目」、予算編成当事者ではないところから妙案が出てきそうです。

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「103万円の壁」見直しを求める回答が9割超!

労働政策研究・研修機構(JILPT)は11月15日配信のメールマガジン労働情報第2012号で民間調査会社「帝国データバンク」が11月14日に公表した「103万円の壁」引き上げに対する企業アンケートの結果を 紹介しました。詳細は以下のとおりです。

●「103万円の壁」に関する企業調査、見直しを求める回答が9割以上/民間調査

帝国デーバンクは14日、「103万円の壁」引き上げに対する企業アンケートの結果を
公表した。「103万円の壁」引き上げをどう考えるか尋ねたところ引き上げに「賛成」
が67.8%。他方、103万円の壁自体を「撤廃すべき」は21.9%で、壁の引き上
げ「賛成」と「撤廃すべき」を合わせると9割の企業が103万円の壁について見直しを
求めている。「103万円の壁を意識するパートの方が多く、引き上げれば働き控えが解
消される」(飲食店)などの他、「社会保険料の106万円・130万円の壁もあるので、
所得税のみの見直しでは働き控えはそれほど変わらない」(情報サービス)と社会保険料も
含めた制度見直しについての声も聞かれたとしいてる。

帝国データバンク発信「103万円の壁」引き上げに対する企業アンケート



帝国データバンクホームページ・検索場所の表示画像です。

最低賃金引き上げ議論の場でも、労働時間短縮と年末の働き控え・労働者確保・そして社保加入対応が俎上にあがりそうになります。最低賃金の場では金額のみと割り切って議論しています。今般の「壁」の問題は事業主と労働者の心情を中心に議論すべきです。両者ともに気掛かりなのは「時間」です。一定勤務時間までは非課税とするという金額から離れた議論にトライしてはどうでしょうか。勿論、税の徴収者たる国・自治体は反対するでしょう。しかし、国民(自然人)・企業(法人)の過半数以上が求めているのであれば、実現に向けて知恵を絞るしかないです。

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労働基準法制見直議論、まず適正サンプリング!

労働政策研究・研修機構(JILPT)は11月15日配信のメールマガジン労働情報第2012号で厚労省が11月11日に公表した「今後の労働基準法制の見直しに向けた「議論のたたき台」」を紹介しました。この内容は11月12日の「第14回労働基準関係法制研究会」で議論されたものです。詳細は以下のとおりです。

●今後の労働基準法制の見直しに向け、「議論のたたき台」を提示/厚労省研究会

 厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」は12日、「議論のたたき台」を提示した。
 副業・兼業を促進するため、本業と副業先の労働時間を通算する現行制度から、割増
 賃金の支払いでは通算しない制度改正に取り組むべきとした。また、労災の認定基準
である2週間以上の連続勤務を防ぐ観点から、13日を超える連続勤務の禁止規定を労
基法に設けることや法定休日の特定を規定すること、テレワークに日単位(コアデイ)
のフレックスタイム制を導入すること、「勤務間インターバル制度」の抜本的な導入促
進と法規制強化について検討すること等を提起。
 労働者性の判断基準については、境界事例などの判断にはフリーランス法等の保護法
制との関係を踏まえた検討が必要とし、「家事使用人」は労基法の適用除外の事情に乏
しいとなどと指摘。労使コミュニケーションの在り方については、「過半数代表者」の
機能強化について法改正の必要性を指摘している。

厚労省11月11日発表「労働基準関係法制研究会 第14回資料」

11月11日に連続勤務の件について12日以内とすることが必要と本URLで記載しました。この連続勤務も議論の対象とされています。労働者性の判断については、フリーランスの勤務実態・契約実態からの検討が必要としています。どの程度、現場や当該労働者から意見聴取したかが知りたいところです。就業規則が完備され、働き方に関する契約事項はしっかり書面で確認するというような優等生企業ではなく、労働相談発信の常連業種・業態の意見を拝見したいものです。

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NHKフリーランス新法特番 「連合フリーランス労災保険センター」も紹介

11月1日のフリーランス新法施行では労災保険の「特別加入制度」が改定され、業種に関わらずフリーランスで働く人が特別加入団体を通じて労災保険加入が可能となります。連合本部は特別加入団体「連合フリーランス労災保険センター」を設立し、加入を受け付けています。その様子が、11月1日のNHKニュースで紹介されました。10名の担当者を配置して取り組んでいます。この制度の保険料は全額労働者負担です。雇用契約下にある労働者の労災保険料は全額会社が負担します。働き方に関わらず労災保険対象となる労働者の保険料は会社負担が本来の趣旨ではいでしょうか。11月14日のニュースでは当事者団体「日本フリーランスリーグ」が紹介されました。同団体の西野ゆかり理事長は、違反を取り締まる「フリーランスGメン」の創設など、新しい法律が守られるよう国には徹底して取り組んでほしいと訴えました。先般亡くなられた名優西田敏行さんは、協同組合日本俳優連合の理事長を務められ、俳優の出演条件や安全対策等について団体協約を締結し俳優の地位向上に尽力されていました。私たちも見習うべき好事例です。

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最低賃金1500円は単純平均で取り組もう!全都道府県1500円以上へ

11月12日、官邸内で石破首相招集による規制改革推進会議が開催されました。規制・制度改革の今後の検討課題(案)が示され「賃上げと投資が牽引する成長型経済」実現のための4つの重点政策が確認されました。その中の総合経済対策では最低賃金平均1500円への手法見直し検討が確認されました。詳細は11月12日配信ヤフーニュース(KYODO配信)を参照して下さい。

政府目標の1500円は加重平均計算です。2024年度の地域最低賃金は加重平均で1055円です。最高は東京の1,163円、最低は952円(岩手県・高知県・熊本県・宮崎県・沖縄県)です。211円の格差があります。加重平均で計算するうちは労働者の首都圏集中は進みます。47(都道府県数)を分母とする単純平均で計算しなくては地域間格差・地方の人口流出は止まりません。2024年度の単純平均は998円です、この数字を1500円に引き上げて格差是正の第一歩です。

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11/10 外国人技能実習生の実習実施者に対する 令和5年の監督指導結果 ~72.7%で労働基準関係法令違反~

11月10日、北海道労働局は、道内の労働基準監督署等が2023年に外国人技能実習生の実習実施者(事業所)に対して監督指導した結果を公表しました。労働基準関係法令違反状況の監督指導を実施した 395事業場のうち、法令違反が認められたのは 287事業場(72.7%)に達しています。前年比17.8%減とはいえ、中々厳しい就労環境が伺われます。法令違反の状況では、安全措置が講じられていない機械を使用させていた等が27.6%と最も高く、続いて時間外労働の 割増賃金未払が15.2%、 法令違反時間外労働強要等が13.2%となっています。詳細はホームページ「外国人技能実習生の実習実施者に対する 令和5年の監督指導結果を公表します」をご覧ください。

国内で働く外国人労働者は年々増え続け厚労省統計で2023年10月末現在で204万に達しています。このうち、業務中の死傷者は5672人内死亡が32人と報告されています。日本語習得が不十分なところに、安全対策不徹底な機会作業・長時間労働が背景にあることは容易に想像できます。北海道労働局では、監理団体及び事業者に対し、労働基準関係法令などの周知・啓発に努め、労働相談など各種情報から労働基準関係法令違反が疑われる事業者に対しては監督指導を行う等適正な労働条件と安全衛生確保に取り組むとしています。十分な監督指導体制要員を確保の上、労働安全地域北海道をアピールしていきましょう。

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連続勤務禁止は12日以上とすべき! 

厚労省が14日以上の連続勤務禁止に向けた労基法改正の検討を開始するしています。労基法に定める4週4休の働き方では、(4公休+24日連続勤務)と(24日連続勤務+4公休)のシフト作成が可能です。月マタギとはいえ所定労働時間だけで384時間(48日間)連続勤務が合法とされ、これに36協定及び労使協定による残業加算の要件が加わると、確実に労働者の健康被害発生確率が高騰することを問題視したと思われます。詳細は11月10日の朝日新聞で報道されました。もう少し身近なところにも危険はあります。就業規則に4週4休という制度を定めなくても、週40時間シフト制と定め、36協定による残業有とすれば、2週間で12日間連続で80時間+αの勤務が発生します。深夜勤務であれば体に応えます。精神疾患・肉体的疾病リスクは各段に高まります。そもそも、4週4休の働き方がイレギュラーであり、その悪用は当然法改正をしなくとも取り締まるべきです。そして、週1日の休息義務を事実上否定する12日連続勤務可能という実態から是正すべきです。札幌地区では、数年前の春闘期労働基準監督署要請行動でこの12連勤回避指導を連合から求めていました。担当監督官はこの悪用例を熟知していようでした。本省にこのような指摘があったことは伝えるとして要請行動は終わっていました。再度指摘しても良いのではないでしょうか。

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内部通報者への不利益に罰則検討 是非遡及的効果を!

11月5日消費者庁は、内部通報者への解雇・懲戒等の不利益取り扱いに対して、当該企業への刑事罰導入を検討することを明らかにしました。詳細は有識者検討委員会で議論するとしています。11月6日付日本経済新聞朝刊に詳細記事が掲載されています。札幌地区ユニオンは6月22日の第1回組織研修会で公益通報制度・内部告発の在り方を組合員の被害実態報告等をもとに検証しました。職場の社会悪追放に利する公益制度との建付けの割には、通報者保護もなく通報者が孤立し、ついには退職してしまう、酷い時には「職場の輪を乱す」懲戒相当者として追われる、との実例には、自分たちが職場内で活用するには単独行使は難しいのではないか、当面はユニオン・組合を通じた団対交渉の場に限り活用するしかないのではないか、とのまとめになりました。この度の消費者庁有識者検討会で刑事罰導入を検討するにあたり、現状の通報者被害を考慮し、公布日より数年程度遡及して摘要可能とし、過去の被害者救済に利するものとして欲しいと痛感します。内部通報者の被害は重篤なものであることを検討委員会では是非理解して欲しいです。

日本経済新聞11月6日朝刊報道「内部通報者への不利益に罰則 消費者庁が導入案 人事面で保護」

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北海道の最低賃金 全て1000円超

11月1日、北海道労働局は北海道特定最低賃金(4業種)改定(引上げ)の内容を公表しました。「処理牛乳・乳飲料、乳製品、砂糖・でんぷん糖類製造業」は1,048円(+52円)、「鉄  鋼  業」は1,100円(+70円)、「電子部品・デバイス・電子回路、電気機械器具、情報通信機械器具製造業」は1,049円(+52円)、「船舶製造 ・ 修 理 業 、船 体 ブ ロ ッ ク 製 造 業 」は1,040円(+50円)となり、何れも12月1日から適用となります。それまでは改定前の時間給額又は北海道地域最低賃金(1,010円)が適用されます。詳細は以下のプレスリリースをご参照下さい。

11月1日付北海道労働局プレスリリース「北海道特定最低賃金改定(引上げ)について」

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新しい資本主義推進筆頭施策「賃上げ環境整備」

労働政策研究・研修機構(JILPT)は11月1日配信のメールマガジン労働情報第2008号で政府が10月30日に実施した「新しい資本主義実現会議」の内容を紹介しました。同会議では、最低賃金引き上げを含む「賃上げ環境の整備」を第一に挙げています。以下の通りです。

●労務費の価格転嫁のための施策等について議論/新しい資本主義実現会議

政府は10月30日、「新しい資本主義実現会議」を開催し、新しい資本主義の推進の
重点施策(案)について議論した。議論を踏まえて首相は、「賃上げ環境の整備」を第一
にあげ、「労務費の価格転嫁を徹底するため、各業界における実態調査とその結果に基
づく改善を年末までに完了させる」、「不適切な労務費の価格転嫁事案については独占
禁止法と下請代金法に基づき厳正に対処」、「下請代金法の改正についても早期の実現
を目指す」などと述べた。また、最低賃金については、中期的引上げ方針について、政
労使の意見交換を開催し、議論を開始するとした。

首相官邸ホームページ「新しい資本主義実現会議」

新しい資本主義実現会議・重点政策

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