人手不足による影響が残業時間の増加に表れています。統計的数値は把握していません。しかし、労働相談に寄せられる声には人手不足を現有の人員でカバーするよう命じられ残業時間が増えているという内容が多くなっています。また、残業時間が増えても、思ったほど残業手当が支払われていないという声もあります。そんな相談でした。
【相談内です】
1.通信会社系携帯電話ショップ勤務。携帯電話販売の他、情報機器の販売・設置等も取り 扱っている。 2.携帯電話販売事業部はショップと呼ばれ札幌市内10店舗、他道央圏に10店舗展開。 3.本人は札幌市内5店舗の地区責任者。第一エリアマネージャーとされている。 4.本人管轄の5店舗はいずれも従業員が6人~9人。正社員は1人から2人、その他は 半年契約の契約社員。 5.会社では店舗一つを1事業所として就業規則を作成し所定労働時間を週44時間として いる。本人も第一エリアマネージャーとして週44時間の適用を受けている。 6.実務上は5店舗全て同一営業内容、同一規則なので特に就業規則を分ける必要もない。 7.従業員の異動もある。 8.この場合、同一事業所として捉え、週40時間とすべきではないかと思うがどうか。 9.賃金の構成は基本給+職務給+住宅手当+家族手当となっている。 これに交通費、残業手当が加算される。 10.残業手当の算定基礎は基本給+職務給のみで住宅手当と家族手当は加算されない。 11.住宅手当と家族手当は労基法第37条5項と労基法施行規則21条により該当しない というのが会社の見解。管理職に質問したところ暫くしてそのような回答があった。 12.時間単位に支払われるものではないから、とのこと。 13.確かに、家族手当は、配偶者や子どもの数により金額が決定されるので理解はする。 14.住宅手当は誰彼差別なく一律に持ち家3万円・借家2万円。 15.これは含まれるのではないか。
【次のようアドバイスしました】
1.5店舗は本人の認識・見解りとおり1事業所として捉えるべき。 2.同一業務を同一規則・同一管理者の下で、実施するのであれば、5店舗それぞれが 地域別担当部門であり同一事業所内の事業とみなすべき。人事的異動が存在するの であればなおのこと。 3.週40時間の主張は当然。請求に踏み切るべき。 4.労働基準法施行規則のと扱いでは、住宅形態により一律に支給されるという状態の 金額は算定基礎に含まれる、としている。今回の例が正にその内容。 5.算定基礎は(基本給+職務給+住宅手当)の合算額となる。 6.差額の請求はすべきです。
人事労務の管理に「手練手管」は不向きです。法に準じて適正に運用するというのが就業規則です。就業規則の内容を見ればその会社の姿勢が判ると唱えた有名な人事部長もいました。正にその通りです。皆さんの就業規則を良く見直して、労働時間と給与明細を見比べてみてはどうでしょう。残代請求可能かもしれません。