政府が3月8日に閣議決定した、職場のパワハラ防止策への取り組みを企業に義務づける労働施策総合推進法改正案が今国会で審議されています。成立すれば企業の対策義務は早ければ大企業が2020年4月、中小企業が22年4月の見通しです。でも、法律を運用するのは労使です。適正に運用するという強い意志が必要です。そんな相談です。
【相談内容】 1.繁華街飲食店経営を主たる事業内容としている会社。 焼肉・寿司・キャバクラの店舗が主力。最近はリラクゼーション分野(エステの類) にも進出している。 2.本人は営業スタッフ、各店舗の売り上げ管理や、労務管理を担当している。 社長付の肩書。正社員。 3.社長は、超ワンマン。恫喝に近い指示が日常茶飯事、自分の考え方が絶対。 残業手当等もってのほかという人物。 4.このパワハラを苦痛にして退職した者は多数。 5.今、国がパワハラ対策を打ち出したことから従業員の間に期待感が広がっている。 6.今のパワハラ地獄から脱出できるかもしれないという思いもある。 内容について聞きたい。
【次のようにアドバイスしました】
1.現在国会に提出されている労働政策総合推進法改正案のこと。ほぼ成立の見通し。 2.職場のパワハラ防止対策を義務化することが明文化される。 (1)パワハラの定義を➀優越的な関係に基づく、➁業務上必要かつ相当な範囲を超えた 行動により➂労働者の就業環境を害すること、としている。 (2)その具体的行動については次の6の内容を例示している。 ➀暴行等の身体的な攻撃 ➁侮辱等の精神的な攻撃 ➂大量の仕事を押し付ける等「過大な要求」 ➃全く仕事を与えない等「過小な要求」 ➄休日の予定をしつこく聞く等「個の侵害」 ➅無視等「人間関係からの切り離し」 (3)このパワハラに対する企業の執るべき防止対策として次の内容が挙げられている。 ➀加害者への処分など対処方針を就業規則に明記する。 ➁相談窓口の設置。 ➂事実関係を正確に確認し、配置転換など被害者に配慮した対応をとる。 ➃社員研修などの再発防止策。 3.ただ、何を決めようが、所詮労働者自身が発言というか、被害を報告すること、 公言することが必要。 4.就業規則に企業対策を書き込む際にも、従業員への相談・開示・同意確認があるか どうか、ここに注目すべき。 5.この法律を「テコ」に行動するのであれば、いま現在の状況でも単独では困難。 6.一人ではなく、複数で、さらには労働組合を窓口として交渉すべき。 7.ちなみにこの法律が出来上がったとしても運用は大企業は2020年4月から、 中小企業は2022年4月からになる。 8.国は声なき弱者には甘くはない。
国は声なき弱者には甘くはない。これが現実です。でも諦めてはいけません。悔しかったら声を出しましょう!