人手不足の解消策のために変形労働時間を導入する企業にこの制度を良く理解できていないところがあります。単に長時間働いても残業手当を支払わなくても良い制度なのだと誤解釈している企業が実在します。たまらないのは労働者です。希望を抱いて入職しても無制限労働を強要され、失望の中退職を選択せざるせざを得ない。そんな相談です。
【相談内容です】
1.高齢者介護住宅(サ高住)勤務。診療サービス(有料)あり・看護師常駐。 2.デイサービス施設も併設。介護士10人、正職員(7人、パート3人)で対応。 3.サ高住の居宅介護とデイサービスを10人で対応する。 4.その他に送迎車両専門ドライバーが1名。手が足りなければ、補助役として就く。 5.これら勤務は週40時間、4週8休で運用される、そのためシフト勤務となるが、 人手不足を理由に勤務シフトが作成されない、開示されない。 6.今月も、11月25日時点で12月5日までしか作成されておらず、今日までのシフト は先ほど開示された。 7.施設長は変形労働時間制なので仕方ないのだ、としているが、本当にそうか? 8.本人は7月1日付採用であるが、職員の定着率の悪さの原因は労務管理にあると痛感し ている。 9.施設長の弁明は嘘であると証明できれば、労基に申し立てしたい。 就業規則は「ある」とは言われているが見たことがない。
【以下のとおりアドバイスしました】
1.施設長見解は誤り。変形労働時間制の大事な点は事前に勤務シフトを開示すること。 2.導入の要件といっても良い。これが守られないのであれば変形労働時間制は不可。 現在の運用も不可とされる。 3.就業規則の開示無は重大な労基法違反。 4.労基へは、今からでも遅くはないので申し立てを勧める。 ただし、申告要点を箇条書きでも良いのでまとめておくと良い。
労基法の改正に労働者の利になるものとして歓迎されたものはありません。変形労働時間制はその際たるものです。8時間以上働いても、残業時間が支払われないケースがある、体を酷使する割には収入が伸びないという切ないものです。ただ、この制度を導入する場合は必ず、期間中のシフトを事前に・変形期間が始まる前に開示しなさいという掟があります。この掟が理解できないと堂々と胸を張る事業者には愕然とします。みんなで声を出して正しい事業運営