北海道労働局「平成30年度労働行政のあらまし」

8月17日北海道労働局は「平成30年度労働行政のあらまし 誰もが安心して働ける北海道をめざして」を公表しました。年度初めに公表する行政運営方針の方針部分をコンパクトにまとめたもので、先の国会で成立した「働き方改革関連法案」に関する地方労働行政としての取り組みを概要的に示したものといえます。北海道、取り分け自分の地域の事情に当てはめて考えると果たしてこれで良いのかどうか判断できないところはあります。現状の分析内容を見ながらの方が理解は進むのかなと思いました。平成30年度行政運営方針(https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/000228394.pdf)を側に置いて読んだ方が理解が進みます。

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働き方改革に反対なのかしら サントリー

8月18日に「ジャパンビバレッジ東京」に対して求職者を紹介しないように東京都労委が通報したことを紹介しました。その「ジャパンビバレッジ東京」の支店長が部下に対して「クイズに全問正解すれば有給休暇を取得できる」とのメールを配信し「不正回答は永久追放します。まずは降格。」とも告げていた、との記事が日本経済新聞朝刊に掲載されました。この会社はサントリーのグループ会社で自動販売機事業の大手会社です。これまで、職安の他、労基からも是正勧告を度々受けているとのことです。サントリーは「働き方改革」についてグループに徹底していないでしょうか。ひょっとすると反対なのかもしれません。しかし、この内容は酷い、グループ全体で世間に対して再発防止を宣言すべきでしょう!

 

相談現場から-3 有給休暇付与日数                                   週の労働時間・勤務日数が一定しない場合

さっぽろ労働相談センター・札幌パートユニオンの労働相談に有給休暇の付与日数についての質問が増えています。有給休暇の付与日数は、雇用契約に定められる労働時間・勤務日数を基準にした出勤率を基に算定されます。ただ、アルバイトやパートタイマーとして働く場合、勤務時間・勤務日数の特定が一週間ごとに提示される場合があります。そのような場合の有給休暇付与日数についての質問がお盆期間中に寄せられました。以下、内容を少しアレンジして掲載します。

Q:1.札幌市内の居酒屋、アルバイト。勤続がもう少しで2年となる。21歳で、求職活動の傍らのアルバイト。
  2.勤務時間・勤務日数共に、決まったものがない。休みだけは週1回(日曜日)。
  3.概ね、週4日勤務、6時間~8時間の勤務時間となる。一週間単位のシフトで働いている。
  4.地元のコンビニ経営オーナー店長の本業として開いているもので、学生アルバイトが多く、人員が一定しない。
  5.雇用契約書はある。勤務時間のところには、週40時間以内、シフト勤務としか書かれていない。休日は週一日日曜日とされている。
  6.このような場合有給休暇の付与日数はどう計算するのか。本人は就職活動に際して有給休暇が使えれば好都合と思うし、店長も使えと言っている。しかし、付与日数が判らないとしている。付与日数を教えて欲しい。


A(このようにアドバイスしました):

有給休暇は、雇用契約書に定める労働条件(出勤日数・勤務時間)の8割以上        の稼働を満たすと付与されます。週30時間以上の労働者と30時間未満の労働者とでは付与日数が異なります。内容は下表の通り。

有給休暇付与日数の早見表はこちら

週の所定労働時間・勤務日数が特定できない場合は、付与日直前までの勤務実績で算定するしかありません(通達で同様の内容が発布されています)。例えば1月1日に勤務開始のアルバイトは6月末の勤務を終了して7月1日に有給休暇が付与されます。そのさい1月から6月末までの勤務実績が満勤として60日であったと仮定します。60日を倍にして年間所定労働日数を仮定すると120日になります。120日の場合の6カ月後の付与日数は3日になります。
その後、1年間(7月1日から6月末まで)勤務し、勤務日125日であったとします。年125日の勤務日の1年6カ月のところは6日になります。7月1日に6日が付与され、前の年の3日と合算し9日がこの時点の保有日数となります。これから先、不明であれば再度電話ください。

ストライキも辞さずの決意!                  8/18札幌地区ユニオン第1回組織研修会ひらく

札幌地区ユニオンは8月18日15時から「サッポロさとらんど」で第1回組織研修会を開催し新規結成組合等6組合17名が参加しました。この研修会は、3月から法人との交渉を継続しているユニオン11の支援策勉強会を目的としてたもので争議行為の種類・対応も含めて議論を交わしました。第1講では、札幌パートユニオン新野会長が「ストライキ概論」と題して講義し、ストライキの意味、目的とするところ、手続き、覚悟及び団体交渉の有り様等について熱弁をふるいました。

札幌パートユニオン新野会長のストライキ概論に熱心に耳を傾ける組合員

第2講は、札幌地区ユニオン山本書記長がユニオン11の結成から今日までの経過を説明しました。組合結成の動機はキャディーさんの人間としての尊厳を取り戻すこと唯一つであり、具体的には、公正な労災適用、キャディ蔑視の撤廃、就業規則の開示及び賃金改善等を求めているとしました。これまで、少しずつ前進していて就業規則の開示や労災申請適用の円滑化は実現しています。だだ、賃金改善は頑として拒否しており、交渉外で一部キャディーの賃金改善を実施したり、派遣労働者を組合要求通りの賃金で募集する等の不当労を駆使して組合に対峙しています。これらの状況の補足説明をユニオン11河部執行委員長から受けたのち、山本書記長はストライキも辞さないという強い決意が求めらるとし、6月29日に確立したスト権を背景にした行動を提起し、具体的内容はユニオン11の皆さんと協議の上進めていくとしました。札幌パートユニオンは、8月25日には市内中央区で定例街宣行動を予定しており、早ければ、この時にだ一段の行動が実施されます。

組合と法人の交渉状況を説明するユニオン11

頑張れ!  ユニオン11‼  渾身の団結ガンバロー

研修会の後半にはセンチュリーロイヤルホテルで懇親会が開催され、前半の講義を補足する個別議論が各テーブルで展開されました。この中から、ベルックスユニオンの川村委員長が登壇し、現在の交渉状況について発言しました。川村委員長は現在、札幌市内のホテル施設管理業務に就いていますが、ホテル側より「障がい者が勤務していると業績が悪くなる」「アンタが障がい者だとわかっていれば、お願いするのではなかった」等の差別発言を受け、交渉中であるとしました。会場からは札幌地区ユニオンの組織を挙げての支援と全国のユニオンへの支援要請を検討しようとの声が挙がりました。またユニオン11は今日を機に、職場のキャディー組合員との協議と意思疎通を深め、会社との団体交渉を力強く進めていくとしました。本研修会は小林執行委員の団結ガンバローを全員で三唱し閉会しました。

小林執行委員の発声で参加者全員 団結ガンバロー三唱!

 

経験か、研鑽か、地域運動の差か            東京都労委の職安通報

8月18日北海道新聞朝刊に東京都労委が都内複数のハローワークへ「ジャパンビバレッジ東京」に対して求職者を紹介しないよう通報したとの記事が掲載されました。職安法第20条(下記に掲載)「求職者を無制限に紹介することで、争議の解決が妨げられる場合は紹介してはならない」に基づくとのことです。同社は従業員が加盟する労働組合との間で残業代の支払い・休憩時間の確保等について交渉。同社が未払い残業の存在を否定したことから労働組合が残業拒否や一部職場のストライキを実施し、今回の東京都労委の通報に至ったとのことです。労働組合の権利行使に対して、職分とはいえ、法の趣旨を無為にさせないよう取り組む姿勢は、凄いと思います。これは、個人・組織の資質、経験、不断の研鑽なのでしょうか、それともこのような発想を導き出す風土を生む地域運動の差なのでしょうか。私たちのユニオンもしっかりしなくてはいけないと強く思います。

2018年8月18日 北海道新聞朝刊の記事はこちらです。


職業安定法 第二十条 (労働争議に対する不介入)

   公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業 又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。

(2) 前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。

一人で悩まず→労働相談へ!!

8月18日北海道新聞朝刊に来月末に迎える「3年の期限」が派遣労働者の雇止め増につながるのではないか、との記事が掲載されています。2015年9月30日に施行された改正労働者派遣法によるものです。北海道の労働相談現場には元より派遣労働者の方から寄せられる労働相談は他の相談に比べてあまり多くはありません。ただ、寄せられる相談内容は何れも労働者被害が相当重篤なところまで進んでいます。今、お悩みの方、是非、札幌パートユニオン・札幌地区ユニオンへ電話してみてください。

 札幌パートユニオン 電話(011)210-1200

 札幌地区ユニオン  電話(011)210-4195

2018年8月18日の北海道新聞朝刊の記事はこちらです。

労契法第18条無視の不当解雇撤回闘争終結報告

医薬製造・品販売会社メルスモン製薬が2017年9月15日に強行した雇止め・解雇について、撤回と原職復帰を求めて闘ってきた全国一般東京東部労組より闘争終結報告がCUNNメール通信NO.1460で配信されました。団体交渉、本社前申し入れ行動、労働審判・地裁への申立て等の地域一体となった取り組みについて、苦渋の決断とはいえ、一旦終止符を打ったとのことです。会社の労働契約法第18条を踏みにじる蛮行や裁判所による解雇の金銭解決を先取りしたような審判を乗り越えた末の和解でした。報告の詳細は以下CUNNメール通信NO.1460を参照してください。

CUNNメール通信NO.1460の内容はこちらをクリックして下さい。

道内最賃違反97事業所 1~3月

今年1月から3月の間に監督指導した事業所819カ所の中97事業所に対して最低賃金法違反の是正を勧告したと北海道労働局は15日発表しました。最低賃金未満で働いていた労働者数は245人(パート・アルバイトは161人)で、違反事業所に対して遡及して賃金を支払うよう指導しました。業種では製造業・商業・接客娯楽業でが9割強を占めています。10月1日以降、官民総力を挙げた監視体制が求められます。詳細は以下の報道記事を参照してください。

最低賃金違反に関する報道記事はこちらをクリックして下さい。

最低賃金 中賃目安超え23県                   残業不払1870社446億円

8月10日厚生労働省は全都道府県の2018年度最低賃金改定状況を発表しました。全国平均では26円引き上がり874円となります。中央最低賃金審議会は23円から27円の引上げ目安を示しましたが、23県がこの目安を1円から2円上回りました。東京都(985円)と神奈川県(983円)は今回の3%の引上げが継続されると2019年度には1,000円超えとなります。今回の改定により700円台19県800円台1府24県900円台が1都1府1県となり、10月1日から適用になります。詳細は報道記事を参照してください。

2018年度最低賃金に関する報道内容はこちら。

同じく10日厚生労働省は2017年度に全国の労働基準監督署が残業代未払いを是正指導した企業数を1870社、支払い金額を約446億円であると発表しました。企業数で約4割、未払い金額で3.5倍前年に増えているとしました。業種別では運輸交通業が最も多く未払い金額で224億円に達するとしました。最低賃金の引き上げ内容が決まり、残業時間に関する36協定厳守の方針や上限規制の方向性も明らかになっています。昨年のこの惨憺たる労務管理の状況を紙一枚・通達配布で改善するのは至難の業です。官・民問わず人の確保と人材の育成に資金を集中させないと私たちの暮らしそのものが破綻します。

2017年度の残業不払いに関する報道はこちら。

機関紙CUNN54号(2018年8月)です。

CUNNの機関紙54号が配信されましたので掲載します。内容は以下の通りです。

表紙 第30回全国交流集会 東北いわて集会 概要(日時・分科会等)
   ※写真は昨年開催した福岡集会のものです。
2P 新しい仲間   全国一般全国協議会 焼津地域労働組合
3P えひめユニオン井関労働契約法20条裁判原告団「人間らしい生活をめざして控訴審を闘う」
5P よこはまシティユニオン(青い鳥20条裁判・横浜地裁)非常勤職員に対する差別是正を求め
6P きょうとユニオンは、やっとというか、とうとう30歳になりました!
8P 新任あいさつ 新しい運営委員 森本康仁さん(連合熊本ユニオン)

CUNN機関紙第54号(2018年8月)の記事はこちらをクリックして下さい。