地域運動があったろうか?

2018年度の北海道地域最低賃金が25円引上げられ835円に改正することが8月6日の審議会で決定しました。北海道はCランク。Aランク(5都府県)は27円・Bランク(11府県)は26円引き上がるので、現在の格差は更に拡大することになります。そして同日付で発信された連合談話にあるとおり、政府公約である「全国加重平均1,000円」には達せず、改定時給額で2000時間働いたとしても年収200万円に達しない状態(ワーキングプア)もそのままとなります。世論の中には、2002年以降で最も高い引き上げ額であり、道内の非正規労働者3人に1人は賃金引上げとなることを評価する声があります。また10月1日発効としたことは意義があるとの声もあります。しかし、10月1日に賃金が上がってもワーキングプア状態の非正規労働者の数は減るでしょうか。それでも生活保護を受けながら働く非正規労働者は現存します。8月6日の結審を迎えるまでこのような現状に飛び込み議論をしてきた運動が地域にあったかどうか、私自身も含め当事者全てが考える時期に来ています。そう考える折、今朝、19の地方審議会が中央の目安を超える金額で結審したことが報道されました。Bランク1、Cランク5、Dランク13の審議会が1~2円中央の目安を上回る内容で結審したとのことです。どのような議論が交わされたかは今後明らかになるでしょうが中央の目安を上回る議論をしたということに地域労働者の反対は無いはずです。議論において何を重点に議論をするか、地域運動の中で検討する必要があるのではないでしょうか。

中央の目安を上回る最賃引上げで結審した状況を報じる記事はこちらです。

働き方改革より今の違法排除!

2017年度に長時間労働が疑われた2万5676事業所へ立ち入り調査をしたところ1万1592カ所で労使協定の上限を超える違法が確認された、また8592カ所で「過労死ライン」の80時間を超える時間外労働が確認された、これは厚生労働省が昨年度立ち入り調査結果まとめたものを今月7日に発表したものです。本日の朝刊に掲載されました。また、裁量労働制を導入する事業所でも285事業所に違法適用の疑いがあるとしています。大半が名ばかり裁量労働であり、実態としては上司の指揮命令による業務運用が大半であるとしています。長時間労働で現在「過労死ライン」とされるものも、今回の上限規制「単月100時間未満」の枠内であれば合法とされます。それだけに、現在の違法を厳しく追及すると共に、新たな36協定では労基法範囲内とする労使交渉が必要です。罰則付きを評価して労働者に被害が出てしまったのでは、シャレになりません。

違法残業・裁量労働違法摘要の報道記事はこちらをクリックして下さい。

権藤、権藤、雨、権藤さんの お客様第一主義

元中日ドラゴンズの名投手にして横浜ベイスターズを日本一に導いた名監督の権藤博さんが日本経済新聞のスポーツ欄に「悠々球論」というコラム記事を掲載しています。日本代表チームの投手コーチも務めた豊かな経験と卓越した見識そして腹の座った気風の良さも加え羨ましいほど小気味の良い、読みやすい文章を綴っておられます。自分もこのような文章を創れたらと羨ましく思います。野球論が中心のコラムですが、時に、話題は会社組織の在り方や人間関係の妙にまで及びます。読んでいると次の文章を追いかけるように目が走ります。8月2日掲載のタイトルは「お客様目線で試合時間短縮」でした。現代のプロ野球の試合はあまりにも手前勝手な理屈を優先し過ぎてはいないか、その結果の長時間試合はお客様第一とはいえないのではないかと持論を展開していきます。サイン交換も所詮は「舞台裏の事務連絡」、ピンチのときのマウンド会議も「所詮は仲間内の打ち合わせ」等々とヒートアップします。そして、プロ野球もサービス業と宣言し、お客様の目線を意識して、お客様第一の意識を強く持たねばと辛口の指摘で結んでいきます。現役時代に、連投も厭わず投げ続け、権藤、権藤、雨、権藤と言われ、中日には他に投手はいないのかと相手チームに言わせたプロの言葉だけに反論の言葉が見つからないと思ってしまう小気味よさです。
私は、24時間対応を求められる接客業に努めて長いのですが、「お客様は神様」にも限界があるのではないか、と思い始めていた矢先の文章でした。利益向上達成のための経費削減が人員削減とサービス内容の変更・縮小、そして本来従業員がする仕事をお客様にさせてしまう(セルフなんとか)ことが増えてきています。全てのお客様がこれに対応できるかどうか、これを考えたときクレームの背景には行き過ぎた利益追求主義があるのではないか、見直すべきは自らの技量ではないか、権藤さんの文章を読んで、そんな思いに駆られたのでした。
そういえば、クレーム処理ノウハウは企業の宝、公開するのは論外、クレーム処理こそ企業再生・従業員教育の好材料と元気よく語っていた紳士がいました。この紳士と権藤さんが対談するときっといい興行になるだろう、そんなことまで8月2日には思ったのでした。

生活できなければ最賃ではない!

札幌パートユニオン新野会長 憲法で保障する賃金でなければならない と訴える        8/6北海道地域最低賃金の大幅引き上げを求める労働局前集会

8月6日12時20分より連合北海道は北海道労働局前で北海道地域最低賃金の大幅引き上げを求める集会を実施しました。札幌地区ユニオンからは新野勝昭札幌パートユニオン会長が登壇し、現在も時間給賃金で生活する労働者の生活状態は憲法違反であり権利確保のためには最低賃金を1000円以上に引き上げなければならない、と強く訴えました。ただ、今日午後に開催される審議会では中央審議会の目安(25円引上げ)で結審する予定とされています。しかし、経営側はこれにすら強く反対することを表明していると連合北海道山田組織労働局長(北海道地域最低賃金審議会 労働側委員)より報告がありました。北海道内労働者の生活改善にはまだまだ高いハードルがあります。今年、中央審議会の目安通りで結審しても835円の時間給です。憲法で保障される生活確保のためにも、今日の熱意を持続し粘り強く取り組みましょう!集会参加の150名の組合員は、最賃の大幅引き上げを求めるシュプレヒコールの後、団結ガンバローを三唱し決意を新たにしました。

8・6北海道地域最低賃金の大幅引き上げを求める労働局前集会の状況はこちらをクリックして下さい。

悪条件放置の介護職場!                 相談場所もないのです、昔から。

今日の日本経済新聞朝刊に介護現場でおきているセクハラ等の被害の酷さが報じられました。厚生労働省は実態調査の上、対策マニュアルを作るとのことです。2000年に介護保険制度が導入される以前から介護現場におけるヘルパーさん(当時は寮母さん・付添さん等の呼称もあった)に対する被害は深刻なものがありました。措置制度の中での出来事なので自治体が関与し表沙汰にならなかったケースもありますが、多くはヘルパーさんの泣寝入りでした。介護保険制度が導入されるとき、契約制度の中の運用なので、このような事例は契約解除により阻止可能だと説明していました。ところが介護保険制度開始後、ヘルパーに対するハラスメントは利用者に加え、利用者家族からの行為も酷くなり職場環境は一層厳しいものになりました。当時札幌では地元の労組がヘルパーさんと一緒にアンケートによる実態調査を開始し自治体や厚労省などへ改善要請をしました。今回厚労省が実施するアンケートも恐らく結果は当時と同じになるでしょう。机上の計画通りにはいかないという見本のようなものです。今日8月2日の日本経済新聞の記事と2002年1月1日に週間労働ニュースに掲載された記事を比較してみてください。求める内容は全く同じです。悪条件はずっと放置されっぱなしで、ヘルパーさんには相談する場所が無いのです、昔から!まずはヘルパーさんの相談場所を作り、行政担当者ではない相談員を配置することが急務なんです。

御政道が悪いばっかりに・・・・

労働相談に寄せられる内容にため息が出るケースが多いのではないかと思います。加齢のせいか、暑さのせいかと色々考えてみても釈然としません。そんなとき「御政道が悪いばっかりに弱い者苛めをするものが後を絶たないようで」と啖呵調の声が聞こえてきて、はっと頭が冴えました。声の主は股旅姿の渥美清・寅さんで借金の取り立てにきたやくざ者を追い返すという夢の場面での台詞でした。そうだ、受ける相談に虎の威を借りた苛めに括ることができるものが多いのだ、と思いました。事故により身体に障害を負った人が「障害者がいるとイメージが悪く売り上げが落ちる」と雇い主から吐かれた、交通事故後遺症は営業に支障なしと産業医が診断したのに自宅待機休職命令と賃金カットを受けた等、常人には考えられない差別が職場では起きています。このような言葉を吐き、発令をする会社人の行動の根拠は何なのだろうか・・・、少なからず一強独裁に胡坐をかいて答弁する姿勢が影響しているのは間違いないと思います。御政道に就くものがやっていることは自分たちも社内で同じ状況を作れば許される、その思い上がりが根拠と思えば少し頭がすっきりしたのです。当然、このような差別は決して許されるものではありません。断固粉砕すべきものです。何故そのようなことが起きるかについて思いを巡らしても相談者の救済にはならないと割り切り、「御政道が悪いばっかりに弱い者苛めをするものが後を絶たないようで」と心の中で一人啖呵を切って、侵害された権利回復に取り組む、これを腹に据えたところで少し気力が回復したのでした。

増・労災保険特別加入!                          その実態に目を凝らそう!!

安倍心酔の経済人・学者がフリーランスの拡大保護を声高に説いている画面・紙面が目に付きます。多様な働き方の実現・自己実現の手法・起業家の育成と色々言っていますが、説得力のある当事者からの声に出会ったことがありません。7月26日に東京都多摩市で5人が死亡する建設現場の火災がありました。元請けは安藤ハザマ、亡くなった労働者4人(身元確認済みの方)のうち3人が自営業、即ち労災の特別加入者・自営業の肩書でした。近年、労災の特別加入者が増えている要因の一つに入札や請負の条件とされていることを挙げる声もあります。実態の精査が必要です。CUNN有期雇用PT通信180号に詳細が掲載されています。

CUNN有期雇用PT通信180号の内容はこちらです。

雇用継続!スト回避!! 地域総がかりの成果!!!

7月13日に掲載したCUNNメール通信No.1448の続報です。「全国一般東京東部労組個人タクシー協同組合葛飾第二職員支部」(佐藤さなえ執行委員長)は7月26日の団体交渉で、白浜組合員の8月15日以降の雇用・労働条件維持を会社と合意しました。女性3人で結成した労働組合のストライキを背景にした交渉を地域総がかりで支援した成果です。詳細はCUNNメール通信No.1457をご覧ください。札幌地区ユニオン・ユニオン11も組合員は全員女性です。総勢40人を超えるキャディさんです。7月17日には会社にスト権確立を通告しました。8月3日の団体交渉がポイントです。今回報告のあったケースを参考に頑張ります、と河部委員長は語っています。

CUNNメール通信NO.1457の内容はこちらです。

「働き方改革」の前にこっちが先でしょう!       労働行政職員減員の巧妙な手口!

政府の行政改革の肝である省庁人員削減は間もなく計画の5年に達します。着実に人員を減らし、そして公務現場に非正規労働者を増やしています。働き方改革の議論の中でも、労基の企業監視の要員を増やし長時間労働を撲滅するとしていますが、ここに費やした人員は他部署で減員調整します。その状況がCUNNメール通信No.1455で配信されました。労災認定の遅れが労働者を苦しめているのに何でそこの人員を減らすのよっ!と思いませんか!?

◎ CUNNメール通信 ◎ N0.1455 2018年7月23日

(情報・報告)企業の「働き方」監督部署増員/人員減で労災認定遅れも/きょうとユニオンのケース
きょうとユニオンの労災認定のケースが取材された東京新聞記事を添付して送付します。

東京新聞のきょうとユニオンの紹介記事はこちら

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悪意が増さる実態!法の趣旨を見つめよ!

7・23無期雇用転換を進める札幌市民集会に悲怒沸爆!

日本労働弁護団等8団体は7月23日18時30分より北海道自治労会館4階ホールで労働契約法第18条に定める無期雇用転換推進を呼びかける集会を開催しました。集会では実施3団体7名から職場・団体の無期雇用転換の取り組みが報告されました。札幌地区連合会山口副事務局長は2018春闘のクラシノソコアゲ全道キャラバンの周知行動や無期雇用転換前倒しの取り組みを紹介し情報労連北海道協議会からはNTT労組の具体的取り組み内容が報告されました。北海学園大学川村雅則教授からは大学教育職場の無期雇用への違法対応の恒常化とそれを正す労働組合の取り組みが紹介され北海道大学教職員組合は団体交渉の生々しい当局の適用阻止対応を公開しました。札幌地区労連は個別の交渉事案を説明し、正しい情報把握と誰もが参加できる運動環境が必要と強調しました。また、公務職場の状況を北海道国公木村事務局長が紹介し、国の定員削減方針の中、非正規公務員は着々と増え続けるが公務を理由に無期雇用転換が適用されないという実態を説明しました。会場には170名の市民・労働組合員・法曹関係者等が参加しました。途中退席者もなく、職場の違法状態に悲しみ、怒りを押し殺して熱心に耳を傾けました。閉会にあたり伊藤誠一労働弁護団北海道ブロック代表は、政府は70年の思いを結集して労基法改悪・高プロ法制化を実現した、これに我々は怯んではならないが、政府の思い以上の知恵と勇気と行動が必要とし、檄を飛ばしました。

7・23無期雇用転換を進める札幌市民集会で札幌地区連合会の取り組みを説明する山口副事務局長