相談現場から-16 勇気をもって退職しよう!

面接後に働いてみると「ブラック企業」だった。退職したいけど何だかんだと強談判が続いて退職できない。このような相談が最近寄せられましたのでご紹介します。組合員さんのお子さんが被害者でした。内容は以下のとおりです。

【相談内容】

1.札幌市近郊の運送会社勤務。建築・土木工事用の資材運搬が主たる業務。退職したい。
2.次の件がネックになっている。
3.中型免許・作業車運転・操作免許の取得を義務とされた。
  会社に借り受けという形で取得した。その費用は2年以上の勤続で全額会社負担、
  1年以上の勤続で半額会社負担、勤続1年未満の退職者は全額個人負担、とされた。
  本人は、勤続11カ月なので全額負担となる。支払うつもりではいるが、労基法的には
  どうなのか。
4.勤務時間は通常8:00〜17:00。休憩一時間。固定残業手当が支給され、30時間分との
  こと。それ以外は一切支給されない。
5.ただ、実労働時間は長時間労働の最たるもので、不払い・サービス残業の宝庫、
  どうにかしたい。
  ①出勤時間は6時限定、この時間でなければ間に合わない。
  ②退勤時間は概ね21時。その日の中に帰宅はできるが、休憩時間を取得することは
   不可能。なので休憩時間なしの15時間労働(最低でも)。
  ③休日出勤は頻繁。休日出勤も支払われたことはない。
   全て固定残業手当に含むとされた。
  ④仕事中に脱水症状で病院に搬送された。
   その際、治療費などは健保扱い・本人負担とされた。
6.これらのことを退職にあたりクリアにしたい。できるだろうか。
  退職と並行して実行可能だろうか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.不法行為を理由とした退職は可能。即日も可能だが14日間の期日を設けて退職する
  事を検討してはどうか。
2.退職届と同時に以下の点について請求又は通知書面を提出してはどうか。
  ①の免許費用の件 労基法で禁止する前借金契約(労基法第17条)に相当するので
   無効。返済不要。支払わないと通知すること。
  ②から③は残業時間を算定して固定残業手当とのり差額(不足)分を請求すること。
   タイムカード・時間のメモ・給与明細等を活用して計算。
  ④は労災隠し。重大・悪質な犯罪行為。治療費など全額請求するか、労基に改めて
   労災の本人申告をすること。会社には労基の指導に基づき、手続きの受理に協力するよう
   通知すること。
3.以上の件が対応としてはお薦め。
  ただ、組合対応でなければ困難。組合加入を前提に検討してはどうか。
  検討して連絡されたい。

不法行為により利益を確保しようというブラック企業の犠牲者は労働者の中でも、若者・女性・経済的困窮者等、強い言葉に対して言い返せない、気弱な方が大半です。どのような境遇であっても法律を行使して身を守り権利を主張することは認められるべきです。労働組合がお手伝いします。職場の労働相談、是非電話してみてください。

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札幌地区ユニオン  011-210-4195