この度の働き方改革では就業規則の重要性がクローズアップされました。2012年に労働契約法が制定される際にも就業規則の重要性は相当力説されました。しかし、その当時から就業規則の厳格な運用は労使間では困難であること、労使が協議して変更することは不可能であることが指摘されていました。会社の思うままに作成・変更され、労働者は不利益を被ったとき初めて就業規則の存在や変更を知るといった状況が報告されていました。従業員代表は会社が指名するものと理解していた労使は無数でした。現在もその状況に変化はないようです。そんな相談が寄せられました。
【相談内容は以下のとおりです】
1.医療法人総合病院。本人は総務課所属・事務職員・正社員。 2.このたび、院内回覧で「懲罰委員会と規定」と題する書面が回覧された。 3.就業規則の懲戒規定に基づく「懲罰委員会」を設置し、その運営規定を定めたので、 周知するとの内容。 4.必要に応じて、理事長が召集し諮問し答申を受けるというもの。 5.委員は使用者側ばかりで、従業員側の立場で発言する人は見合たらない。 6.懲罰委員会とはこういうものか。
【以下のようにアドバイスしました】
1.就業規則の懲戒規定の適用を審議する懲罰委員会の設置規定、運用規定であれば、 就業規則の一部であり、就業規則の変更手続きとしての対応が必要。 2.従業員代表や労組などへの意見聴取や、従業員への周知が必要。 3.今回の回覧を周知として捉えるにしても、前段の従業員代表・労組への意見聴取が 欠如している。 4.結果としては無効の要素はあるが、労基届け出が受理されれば効力は生ずる。 無効を主張するには訴訟等の手続きが必要。 5.また、懲罰委員会にしても、本人指摘のとおり従業員側委員の選出や懲戒対象となった 従業員の弁明の機会確保も設置するのが合理的運用。 6.内容について訂正・改善の余地はある。労組対応が良いです。 7.具体的相談のために来館してはどうでしょうか。
就業規則は従業員が安心して働くための「規則」です。是非、強い関心をもちましょう。従業員代表は就業規則に従業員の意見を反映させる役割を担います。みなさん、就業規則がどこにあるか、何が記載されているか、法律に適した内容となっているか、是非チェックしてみてください。ご不明な点は以下の電話番号へご相談下さい。