CUNNは3月15日メール通信No.2318を配信し、自治労福岡市水道サービス従業員ユニオンによる地域内水道検針員の最低賃金引上げの取り組みを紹介しました。3月2日付連合通信・隔日版が報道したものです。以下のとおりです。
◎ CUNNメール通信 ◎ N0.2318 2023年3月15日 1.(情報) 最低時給の拡張適用を申請/福岡市の水道検針員労組/ ダンピング防ぎ公正競争実現へ 230302連合通信・隔日版 福岡市の水道検針員でつくる労働組合がこのほど、最低時給を定める労働協約を、 市全域の非正規雇用の水道検針員とその使用者に拡張適用するよう福岡県知事に申し 立てた。労働条件切り下げによるダンピング競争を防ぎ、公正競争を実現することが 目的だ。公共サービス分野の申し立ては初。 申し立てたのは自治労福岡市水道サービス従業員ユニオン。福岡市の水道検針員を 組織し、市の業務委託を受けるヴェオリア・ジュネッツ、第一環境の2社と労働協約 を結んでいる。 地域拡張適用を求めている労働協約は、時給1082円の下限と、月の労働時間と 検針実件数に応じて、時給1420~1605円の下限を段階的に定めている。 申し立て書によると、同市は2009年以降、市内を3ブロックに分け、プロポー サル方式(企画競争入札)で民間委託を進めてきた。19年、新たに参入した事業者 が、それまでの歩合給を約30%引き下げる労働条件切り下げを提案。検針員14人 のうち、切り下げを受け入れなかった10人が退職を余儀なくされ、業務の引き継ぎ や検針業務にも支障が生じたという。 この事業者は、違法派遣の疑いや団体交渉拒否などの問題も指摘されている。 同ユニオンは、事態を放置すれば、低い労働条件で検針員を使用する事業者の参入 を許し「悪貨が良貨を駆逐する」事態を招きかねないと指摘。労働条件の維持・向 上、公正競争を実現するためにも、企業横断的な協約の適用が必要と強調している。 併せて、正職員との均等処遇として裁判員休暇の権利と保障、労働保険・社会保険 の受給権も拡張適用の対象とした。 同市で働く時給制の水道検針員の総数は107人で、このうちの81人(75・7%) が現在、労働協約の適用を受けている。 1月に都内で開かれた自治労の定期大会で、福岡県本部の代議員は「労働条件切り 下げによる業務委託料金ダンピングで受託者になろうとする者や、労働条件を切り下 げた分だけ利益を増やそうとする者が出てくる。委託事業に従事する労働者全体の雇 用が脅かされ、労働条件が切り下げられる危機にあることは明白」と地域拡張適用の 必要性を述べ、支援を求めた。 この制度は労働組合法18条が定める仕組みで、ある地域の同種の労働者の「大部 分」に適用される労働協約がある場合、協約の対象外の同種の労働者と使用者にも強 制的に適用される。 昨年、茨城県内の家電量販店で32年ぶりに適用され注目を集めた。賃金の下限を定 めるケースでは、実現すれば滋賀県の亜炭鉱業以来65年ぶりとなる。 …………………………………………………………………………………………………………………………………………… コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク(発行責任者:岡本) 〒136-0071江東区亀戸7-8-9松甚ビル2F下町ユニオン内 TEL:03-3638-3369 FAX:03-5626-2423 https://cunn.online E-mail:shtmch@ybb.ne.jp ……………………………………………………………………………………………………………………………………………
福岡市は水道検針業務を複数の企業にプロポーザル方式で委託しています。自治労福岡市水道サービス従業員ユニオンは、企業横断的に検針業務を担う非正規労働者を組織化しています。そして、2社の企業と賃金に関する労働協約を締結し適用労働者は81人(75・7%) に達しています。同ユニオンは、この2社と締結する労働協約を労働組合法第 18条にもとづき市全域に地域的拡張適用するよう福岡県知事に申し立てました。今回の申し立ては、非正規労働者、公共サービス分野、最低賃金という特徴があり、非正規労働者では初めてのケースとして評価し、実現を求める声は大きいとされています。私たちも応援します!