5月19日、労働政策研究・研修機構(JILPT)はメールマガジン労働情報第1868号を配信し、5月16日に首相官邸で開催された「新しい資本主義実現会議」の内容を紹介しました。同会議では、最低賃金の全国平均1,000円の実現、リスキリングによる能力向上支援策及び自己都合退職時の失業給付金支給時期を条件付きで会社都合退職と同様の扱いにする等が指針案としてまとめられています。以下の通りです。
●三位一体労働市場改革の指針をとりまとめ/新しい資本主義実現会議 政府は16日、新しい資本主義実現会議を開催し、「三位一体の労働市場改革の指針」 をまとめた。総理は議論を踏まえ、「リスキリングによる能力向上支援」策として、高 賃金等が期待される分野での教育訓練給付の支給率等の引き上げや、在職中の学び直し の支援の仕組みを雇用調整助成金に組み込むなどとした。 また、自己都合退職の場合の失業給付に給付制限期間があることについて、労働移動の 円滑化を進める一環として、「給付要件を緩和し例えば1年以内にリスキリングに取り組 んでいた場合などについて、会社都合離職と同じ扱いとする」とした。 首相官邸ホームページに掲載された5月16日の「新しい資本主義実現会議」の様子です。 「三位一体の労働市場改革の指針(案)」はこちらです。
リスキリングと能力向上支援策が指針のキーワードのようです。随分と会社・行政に都合が良いものに見えます。リスキリング策に合致してこその優遇措置なので、これまでの自力求職活動時に抱えている不安は解消されません。転職時の一番の不安は、勤続に関わる年次キャリヤが全てゼロクリアされることです。これが今の経済・消費社会では結構重荷です。また、退職金のポータブル化が殆ど無い社会なので、ここも全クリアとなります。更には、指針案にあるリスキリング活動が転職を決意しなくてはならないような会社の中で実現可能かどうか極めて疑問です。