6月2日、労働政策研究・研修機構(JILPT)はメールマガジン労働情報第1872号を配信し 、5月30日に厚労省が開催した「社会保障審議会年金部会」の内容を紹介しました。2025年に予定する年金制度改革に向けた論点案が主たる議題です。詳細は以下の通りです。
●次期制度改正に向けた主な検討事項案を提出/厚労省 厚生労働省は5月30日、「社会保障審議会年金部会」を開催し、今後の議論の日程、 次期制度改正に向けた主な検討事項案と被用者保険の適用拡大についての資料を提出し た。検討事項案は、被用者保険の適用拡大(勤労者皆保険)、女性の就労の制約と指摘 される制度等(「年収の壁」等)、第3号被保険者制度、高齢期の働き方(在職老齢年 金制度等)、基礎年金の拠出期間延長など16項目。被用者保険の適用拡大については、 短時間労働者や、非適用業種である個人事務所への適用拡大が提示されている。 2024年末までに年金部会の議論を取りまとめる予定。 参考資料として、JILPT調査(5月16日発表)を紹介している。 5月30日開催の「第4回社会保障審議会年金部会」を紹介する厚労省ホームページ 第4回社会保障審議会年金部会に提出された「次期制度改正に向けた主な検討事項(案)」 厚生労働省 年金局が提示した「被用者保険の適用拡大」案 JILPT調査 「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査) 及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者 Web 調査)結果
論点の中心は厚生年金の適用拡大と「年収の壁」解消とされています。適用拡大では現在従業員規模が101人以上とされているところ、2024年10月からは51人以上に拡大、更には従業員規模要件を撤廃すること、更に、フリーへランス・ギグワーカーへの適用拡大が予定されています。事業主の支払能力中心の議論では、最低賃金と同様の結果になりそうです。建設的議論を期待します。議論内容、決定経過の完全開示が建設的議論を担保します。