「残業時間の上限規制・罰則付き」が機能する職場とは⁉

就業規則が無い職場と隠す会社

5月上旬従業員60人・組合員40人の会社で就業規則の変更について従業員代表(1名)と会社総務担当役員等(3名)の話し合いがもたれました。長い歴史の中で今回が初めてのことです。会社は、従業員代表に変更部分を読み上げて、このとおりだと提示しました。そして、すぐに署名して捺印するようにと迫りました。従業員代表は、就業規則をこれまで見たことがなく、見せて欲しいといっても、しまってあるキャビネットの鍵が無いので無理、等と言われて追い返されている、これを機に休憩室などに就業規則を設置して欲しいとしました。会社総務担当役員は、会社の役員室で閲覧して欲しい、メモはいいがコピーはできない、休憩室にちゃんとした社員が常時居るのであれば閲覧も考えるが・・・、君たちを信用していない訳ではないが、外に出るとまずいのだ、として閲覧を許可しませんでした。従業員代表は、これでは署名も押印もできないと言って、その場を退室しました。その後、会社から長い時間に及ぶ説得の場がもたれましたが、従業員代表は組合との協議事項にして欲しいとして組合に相談しました。私たちの周囲には、職場の就業規則を見たことがないという労働者が大勢います。就業規則が変更されたこと、従業員代表が変更されたこと、そして就業規則の存在すらも知らずに働いている労働

罰則付きの効果

者が現実にいます。今回の例の様に、会社が就業規則を閲覧させないという職場も現実に存在しています。このようなところに働き方改革法案にある「残業時間月最長100時間未満・年間720時間限度・罰則付き」との規則を持ち込んで正しく機能するかどうか、労働者の健康が守られるか甚だ不安になります。就業規則の運用状況・36協定の届け出状況を小規模事業所を優先して精査することが「喫緊の課題」です。5日の参院厚生労働委員会で答弁に立った政務官(自民党)は「史上初めて労働界と産業界のトップの合意の下に罰則付きの規則を設けることにした。実効性がありぎりぎり実現可能なな水準として合意した内容」と働き方改革法案にある「残業時間月最長100時間未満・年間720時間限度・罰則付き」を絶賛しています。今、職場では既に100時間を超えて働かざるを得ない労働者が多数存在しています。この現実を労使のトップは把握をしていると思われますが、どのような環境下・指揮命令下で働いているかということには目が届いていないのではないかと思わざるを得ません。今回の例にある就業規則の存在も知らず働いている労働者がたくさんいるのが現実です。過労死ラインギリギリの労働時間規則に対して罰則の効果とは一体何なのか、労働者の命は守られるのか、疑問と不安が次々に沸いてきます。今の労基法に定める各条文の罰則が機能した例は聞かず、罰則の効果で職場が改善されたという実例も聞きません。

6月5日参院委厚生労働委員会の田畑政務官発言に関する記事(6月6日北海道新聞朝刊)はこちら

今、危ないと思う事

生活のために私たち労働者は働きます。その過程では様々な出来事があり労働相談に期待する場合もあります。相談事例で長時間労働に関する内容が増えています。その中で、時間外労働の増加が労災の要因として認められるケースがあります。近年では、直近の時間外労働が80時間未満、60時間位で労災として認定されるケースも出ています。周辺状況を精査した上での結果ですが、今回の「残業時間月最長100時間未満・年間720時間限度・罰則付き」の規則からすれば、今認められているケースの大半が不認定になるのではないか、時間外労働100時間を超えてお病気になり、その中生き残りったも者しか認定されない、そのような危険性を強く感じます。

労働組合に相談して生き残ろう!

冒頭の従業員代表は現在組合の一員として会社と交渉しています。まだ就業規則は手元に届いていませんが、非組合員も含めて会社との協議を求めています。労働者の安全は労働者自身が知恵と助け合いで手に入れるのが現代です。私たちのの労働組合に相談してみませんか!