労働者間の共助・互助精神育成が鍵 これからのパワハラ防止

厚生労働省は1月15日、パワーハラスメント防止指針(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」)を令和2年厚生労働省告示第5号として公表しました。今年6月1日から大企業はパワハラ防止措置が義務付けられ、この指針に基づき防止措置を制定するということになります。中小企業は2022年4月1日から義務化となります。

1月15日に告示されたパワーハラスメント防止指針はこちらです

この指針は2019年5月に改定制定された労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の運用のために作成されたものです。元の法律は佐藤栄作総理時代の1966年7月21日に制定された「労働政策の総合的な推進並びに雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」で、この第30条に2から8までを追加したものです。労働政策審議会分科会では昨年12月23日に多くの不満の声の中、正式決定されました。そのためかパブリックコメントには1139件の意見が寄せられ大半は不十分とするものでした。確かに指針に記載されるパワハラに該当しない例の列挙が不適切で法律の目的が労働者保護には無いと言わざるを得ません。労働者保護の視点欠如は企業の防止措置義務の内容にも明らかで、啓発と規定の制定・周知に限定されています。それ以上に掘り下げた内容は無く、「企業はパワハラに反対し対策をとりました」と声を出せば良、と言った内容です。こんなものですから、被害者となった労働者の救済策・職場復帰への施策については全く触れられていません。正に、被害者が出た場合の企業防衛策の手引です。現状認識の酷さにもあきれます。この指針文中(11頁下段)に、パワーハラスメント発生の原因に労働者同士のコミュニュケーションの希薄化等の職場環境が存在する、との記載があります。パワーハラスメントの原因には労働者の無関心にも原因があるということです。労働者間のコミュニュケーション不足は、人手不足・人員削減による業務過剰化・長時間労働が原因であり発端は市場万能主義をもとに展開された経済・雇用政策です。この悪政の被害の原因を被害者たる労働者に転嫁するというのは暴論です。
相談窓口の捉え方も実に安易です。かつての同僚・上司が顔を揃える相談場所では問題解決は困難、公平な視点も維持できないのは明らかです。某政令指定都市で教員の相談窓口を設置したものの相談員は元校長が居並び不評を買った事例がありました。労働者被害者救済のための相談窓口であれば外部に相談窓口を開設すべきです。何のためのパワハラ防止指針なのかと言わざるを得ません。労働者を守るのは労働者自身です。労働者間の相互扶助・共助を強めていきましよう。隣人の苦しみから目をそらさないという姿勢で生きていきましょう!

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