意見広告で問う「真面目に働く人々が我慢するしかないのか?」

CUNNは4月20日のメール通信NO.2329でバス会社が出したカスハラに関する意見広告について紹介しました。「いじめメンタルヘルス労働者支援センター」『最近のニュースから』を引用したものです。以下のとおりです。
◎  CUNNメール通信  ◎ N0.2329 2023年4月20日

1.(情報)真面目に働く人々が我慢するしかないのか?

  いじめ メンタルヘルス労働者支援センター『最近のニュースから』
                               NO.157 2023.4.17

真面目に働く人々が我慢するしかないのか?

「社員を守ることも大切」

4月7日の ITmedia ビジネス ONLiNEに「『その苦情、行き過ぎでは?』バス会社が
カスハラの意見広告を出した真意」の見出し記事が掲載されました(以下をクリック)。

4月7日の ITmedia ビジネス ONLiNEに掲載された意見広告
『その苦情、行き過ぎでは?』


意見広告は秋田県のバス会社が3月16日の地元能代市の日刊紙「北羽新報」に掲載され
ました。カスタマーハラスメントに対する会社の表明で、後半には太文字で「お客様は神
様ではありません」とあります。

SNSや新聞報道を通じて大きな話題になりました。それへの会社のコメントです。

「大きなニュースになり、非常に戸惑っています。私どもは小さなバス会社で、狭いエリ
アで路線バスやタクシーを運行しています。乗客もほぼ皆が顔見知りでいい人ばかり。
今回、たまたまひどい例が続いたので、このままではまずいと思い広告を出しました」

「近年、些細なことで理不尽なクレームや過度な要求をするお客様がおられます。
確かに、当方に非があり、お詫びする場合もありますが、車内外のドライブレコーダーで
確認し、非がないことをお伝えしても一方的に攻撃されます」

「弊社はご利用者様に安全な移動を提供するとともに、社員を守ることも大切だと思って
います。お客様と社員は対等の立場であるべきで、お客様は神様ではありません」

「今は地方も人手不足が深刻で、カスハラが原因で社員が離職してしまうと、結果的には
99%の良いお客さまに迷惑がかかってしまう。タクシー運転手が辞めたら、今までお客
さまの元に5分で行けたところが10分20分かかってしまうかもしれない。
路線バスの運転手が辞めれば路線の廃止にもつながりかねません」

「負けるな、働く人々!!」

広告について、SNSによせられた意見では社員を守る姿勢を打ち出したバス会社を支持
するというのが多数でした。そのいくつかを紹介します。
神様には貧乏神や疫病神もいる、って言ったのは誰だったかな…。
三波春夫は「お客様は神様とみる」と発言していたらしく、あくまで芸事を披露する時の
心構えだったようですね。曲解されて定着してしまったのは残念。

広告に拍手。・・・経験上、本当にいるんですよね…些細なクレームで、解雇しろ、首に
してやる、潰してやる、ネットにあげてやる、とか…何の権限があって? と…いつまで真
面目に働く人々が、我慢するしかないのか?

あまりに理不尽すぎる世の中は、誰かが、正しい声をあげない限り、変わらない、良くな
らない。負けるな、働く人々!!

サービス業に従事しています。
同じように理不尽な場面に多数遭遇しています。
個人事業主なら、自己責任でこちらの言い分をぶちまけられる!気持ちが沸々とわき上が
りますが、SNS時代、会社に迷惑をかけるかと思うとそれもままならず、グッと我慢の
日々です。
松下幸之助氏をうらみます。お客様は神様ではなく、わがままな王様です。

従業員も一人の人間ですって伝える意味で重要な部分だと思いますが。
従業員と客、金を払う客が偉い、従業員は金をもらう立場、という考えは間違いです。
マネーとサービスを交換する関係です。上下は無いのです。
モンスタークレーマーについては、従業員だけでなく周りの客も嫌な思いをしています。

何より自社の社員を守る姿勢が素晴らしいです。クレーマー基準で仕事の内容を変えよ
うとすると余計な雑務ばかり増える。
日本の企業は色々な意味で転換期です。


・・・販売側全てが、嫌な客への販売拒否をした場合その人の生活が成立できないという
   ことが、客側の意識にないことが問題ではないでしょうか。
   どちらが偉いのでなく、双方が同じ立場であることが本来の在り方ではないでしょ
   うか?

・・・お客様は神様では当然なく、サービスを提供している従業員の方と同じ人間です。
   御社の記事を読んでまったくその通りでだと思いました。
   理不尽なクレーマーには、今後も毅然とした姿勢で望んでください。
   すべての人間は、互いに助け合って生きていますが、無責任で理不尽な正義感で
   罵声を浴びせるような人には、安全を確保しながら、強い姿勢で一致団結しなが
   ら信念をもって、対応してください。当たり前を当たり前に。お客様は神様では
   ありません!は、とてもカッコ良かったです。
   会社一群となって「貫いてください!」


労働者の人権、生活権を共に守ろう

今回の議論はこれまでから変化が見られます。
カスハラは、厚生労働省が2012年3月に発表した「職場のパワーハラスメントの予防
・解決に向けた提言」(「提言」)にむけた議論においても議題にあがりました。しかし
「提言」では取り上げられませんでした。
17年3月に政府が決定した「働き方改革実行計画」に職場のパワハラ防止の強化が盛り
込まれ、「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」が開催されました。
カスハラの議論もかわされましたが、「報告書」作成の直前で盛り込むことは「止められ
」ました。
対策を求める現場からの声が続くなかでパワハラ防止法は制定されます。カスハラ対策は
パワハラの一形態として取り上げられます。しかしパワハラ防止法そのものが有効に機能
するものではありません。カスハラに遭遇した場合は個人の責任で甘受し、「我慢」して
丁寧に対応する対応が提案されます。度が越えていた場合には警察に対応を依頼するとい
うものでした。そのテクニック伝授のセミナーなども開催されます。

「お客様は神様」の対応です。顧客は逆に「図に乗ります」。
結局、「働き方改革」は経営の業績向上のためにはどんなことがあっても顧客を逃さない
「働かせ方改革」「働かさせられ方改革」でした。

対応する労働者は我慢を強いられます。心身、職場に影響が出てきます。病気休職者、離
職者が増える状況がありました。

コロナ禍に襲われると、在宅勤務が推進される一方で、ソーシャルワーカーズの奮闘が紹
介されました。彼らは社会における欠かすことができない労働者であることが再認識され
るとともにその労働の大変さが見直されました。そして感謝、「連帯」の思いが深まるの
にあわあせて、彼らの人権、生活権等も守られなければならないという認識が社会に生ま
れ広がっています。
そのような認識が広まっているのが今回のカスハラに対する反響だと思われます。
「いつまで真面目に働く人々が、我慢するしかないのか?
あまりに理不尽すぎる世の中は、誰かが、正しい声をあげない限り、変わらない、良くな
らない。負けるな、働く人々!!」

「何より自社の社員を守る姿勢が素晴らしいです。クレーマー基準で仕事の内容を変えよ
うとすると余計な雑務ばかり増える。日本の企業は色々な意味で転換期です。」「どちら
が偉いのでなく、双方が同じ立場であることが本来の在り方ではないでしょうか?」

カスハラ加害者に対して、まず対応する者、労働者を守り切る立場に立ってきっぱりと
対峙することが職場を守り、会社を守ることにもなると提案します。
そしてこのようにして社会を変えることが本当のカスハラ対策になるという提起をして
います。

「顧客が王様なら、従業員も王様だ」

「お客様は神様でない」の主張は、韓国では「感情労働」への対策がすすめられるなか
でかなり前からあります。そういわざるを得ない深刻な事態もありました。
2013年6月、安全保健公団はロッテ百貨店などと、建物清掃や施設保守、駐車場管
理などの協力業者(下請企業)の労働者の感情労働に伴う職務ストレスを予防するため
『安全なデパート造りの業務協約』を締結しました。

締結に際し公団理事長は「顧客が王様なら、従業員も王様だ」「今回の協約締結を契
機にデパートの安全保健水準が改善されることを期待する」と話しました。
このようななかでサービス業に従事する労働者の保護が利用者も参加する社会的運動と
して取り組まれ、14年3月に「ソウル特別市感情労働従事者の権利保護などに関する
条例」18年4月には「感情労働労働者保護に関する産業安全保健法」が制定されます。

昨今、日本では大企業(親企業)が下請企業などとの間で価格交渉をおこなっていない
ことが問題になっています。その関係性は「親会社は王様で、下請は奴隷だ」で、労働
者の人権・生活権が無視されています。


空の安全は客室乗務員の健康から

3月25日、客室乗務員連絡会(客乗連)とNPO法人「航空の安全・いのちと人権を
守る会」が主催するシンポジウム「『フライト中に倒れ、死亡した客室乗務員』~いの
ちと人権、航空の安全を共に考える~」が開催されました。

テーマは、過労死が発生した職場であるということで過重労働、深夜労働、健康管理が
中心でしたが乗客からのカスハラの問題も含まれていました。
客室乗務員の任務は搭乗客への飲食物の提供がメインではありません。航空機が安全に
運航できるよう機内、搭乗客を管理をすることです。
異常事態が発生した場合にはスピーディーに搭乗客に指示を出し、誘導することが必要
となります。そのためには平時にもルールを守らせ平穏を保っておくことが必要です。
飲食物の提供は平穏を保たせるための手法で安全な運航に付随するものです。
その任務遂行のためには客室乗務員が心身ともに健康であることが求められます。
しかし勘違いしている搭乗客がたくさんいます。搭乗客の「お客様は神様」の振る舞い
は客室乗務員のストレスと危険を増すとともに周囲の搭乗客も不快にさせます。
客室乗務員は搭乗客へのサービスを提供しながら安全を守ることを任務とし、「空の安
全文化」を担っています。
バスやタクシーの運転手も同じです。運転手や客室乗務員と乗客や搭乗客がパートナーと
して安全・安心を守り、獲得することで快適な移動は保障されます。

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