注目の労働契約法20条違反の高松高裁判断 今一つ! 最高裁の前進判断に期待しよう!

賞与・各種手当の支給に対する正社員と契約社員への差別的取り扱いに合理性の判断を求めた裁判の判決が7月8日(月)に高松高裁から出ました。内容は井関農機関連2社に対して元契約社員5人へ、正社員に限定されていた家族手当・住宅手当を支払えというものです。業務内容の同一性を注視した判断です。ただ、賞与についての元契約社員への不支給は妥当とされました。会社の裁量を大きく認めたものです。元契約社員の代理人弁護士は最高裁で賞与支給の妥当性を認めてもらうとしています。報道された内容をCUNNメール通信N0.1573が報じています。以下を参照してください。

◎ CUNNメール通信 ◎ N0.1573 2019年7月10日

1.(報告)イセキ20条裁判・高裁判決/えひめユニオン 
 
■正社員と格差、契約社員は手当なし 高裁、不合理と認定
 7/8(月) 19:08配信 朝日新聞デジタル
 正社員と仕事が同じなのに手当や賞与が払われない格差があるのは労働契約法に違
反するとして、農業機械大手「井関農機」の子会社2社(松山市)に、元契約社員5
人(現在は正社員)が計約1750万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が8日、
高松高裁であった。増田隆久裁判長は、2社に手当の支払いを命じた一審・松山地裁
判決を支持し、原告と被告の双方の控訴を棄却した。

 原告は井関松山製造所の3人と井関松山ファクトリーの2人。高裁判決は一審判決
を踏襲し、5人の業務が正社員と同様だったと認定。正社員がもらえる住宅手当や家
族手当を会社が払わないのは「不合理」と判断した。一方、5人が求めた賞与分の支
払いについては、正社員と契約社員で職務責任の範囲に差があり、契約社員には賞与
に代わる寸志を一律に支給していることなどから、支給しないのは違法ではないとし
た。(木下広大)


■契約社員賞与請求2審棄却
 07月08日 18時54分 (NHK)
 大手農機具メーカーのグループ会社で働く契約社員が正社員と同じ仕事をしている
のに待遇に格差があるのは不当だとして正社員と同じ待遇で賞与や手当てを支払うこ
となどを求めていた裁判で、2審の高松高等裁判所は1審判決に続いて手当てに相当
する金額の賠償を会社側に命じる一方、賞与ついては訴えを退けました。
 大手農機具メーカー、「井関農機」のグループ会社で、松山市にある「井関松山製
造所」と「井関松山ファクトリー」で働く契約社員5人は正社員と同じ仕事をしてい
るにも関わらず待遇に格差があるのは労働契約法に違反するとして、正社員と同じ待
遇で賞与や手当てを支払うことなどを求めていました。1審の松山地方裁判所は同じ
待遇に基づく賞与の支払いの請求を退けた一方、家族手当などの手当てについては、
「契約社員に支払わないのは不合理だ」と指摘して2社に賠償を命じました。
 これに対して双方が控訴していましたが高松高等裁判所の増田隆久裁判長は、「正
社員に対し賞与を手厚くすることで人材の獲得、定着を図るという会社の人事施策上
の目的に合理性が認められる」などとして1審判決に続いて賞与の請求を退けまし
た。一方で、手当てについては「職務の内容の差に基づくとは言えず支給しないこと
は労働契約法に違反する」として2社に対しあわせておよそ300万円の賠償を命じ
ました。
 2審判決について原告の1人、丹生谷安基さんは「賞与について認められなかった
のは残念だ。賞与についても最高裁に求めていく」と話していました。
 また、三輪晃義弁護士は「賞与についても認められてしかるべきなのになぜ認めら
れないのか。最高裁もボーナスについて、真正面からまだ回答を出していない。最高
裁で争いしっかりと問いただしていきたい」と話していました。
 一方、「井関松山製造所」は「判決の詳細な内容を確認して今後対応したいと思う
ので、詳細についてはコメントを控えたい」とコメントしています。また、「井関松
山ファクトリー」は「会社に持ち帰り今後どのように進めていくか考えるため、コメ
ントについては控えたい」とコメントしています。


■契約社員の手当格差「不合理」…高裁が1審支持
 7/8(月) 16:27配信 (読売新聞)
 農機メーカー大手「井関農機」(松山市)の子会社2社に勤める愛媛県内の契約社
員5人が、同じ仕事内容の正社員と待遇に格差があるのは労働契約法違反だとして、
2社に各種手当などの差額分計約1751万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が
あった。高松高裁は8日、格差を不合理とし、2社に計約232万円の支払いを命じ
た1審・松山地裁判決を支持し、原告、被告双方の控訴を棄却。1審後に生じた手当
の不払い計約67万円の支払いを2社に命じた。


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パートタイム・有期雇用労働法に緊急改善点あり!

2020年4月からパートタイム・有期雇用労働法が施行されます。このなかでは同一労働・同一賃金が明文化されます。今回の判決にある手当の考え方は例として取り入れられるでしょう。心配な面があります。このホームページで以前にも記載した、無期雇用転換者の労働条件です。パートタイム・有期雇用労働法が対象と(救済)する非正規労働者は期限のある労働者に限定されています。無期雇用に転換した非正規労働者は対象にされません。ここは、急ぎ改善しなくてはなりません。皆さん、今から厚労省に、労働審議会に声を届けましよう!

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