相談現場から-41 就業規則の不利益変更への対処 労働組合が合理的!

会社が人手不足や業績改善への対応について現在働く従業員にお願いする場合「就業規則」を変更したとして説明する場合があります。これが不利益変更となる場合、従業員としてどのように対応すべきか? そういう相談です。

【相談内容です】
1.食品製造会社の支店販売所に勤務している。従業員7名。
2.就業規則に定める勤務時間は8時~17時、休憩1時間。
  週休2日(基本は土日、祝日が土曜日以外の時は祝日を休み土曜日は出勤、それ以外の
  祝日は基本出勤だが、殆ど有給休暇対応)。
3.業務量増加と人手不足に対応するため、就業規則を変更するとの通知が本社より出た。
  ➀勤務時間変更なし➁公休は週1日、月から土を出勤。休憩時間を1.5時間とし、
   分割取得はOK。
4.就業規則改定の手続きが完了次第実施とし目途は新年度4月1日からとするとのこと。
5.勤務日数が増え拘束時間も増える。
  今まで中々確保できていない休憩時間を増やすといっても、具体的な策はない。
6.不利益な労働条件を就業規則の変更で強いる労基法違反ではないのか。

【次のようにアドバイスしました】

1.労働基準法的には就業規則の改定手続きが形式上行われ週40時間・週の法定休日が確
  保されれば問題ない。
2.問題となるのは労働契約法上の不利益変更のところ。
3.労働契約法第9条では労働者に不利益を与えるような内容でかつ労働者の合意がない場
  合に、会社の一方的な就業規則の変更はできないとしている。
  ただ、労働契約法第10条はそうではあっても次の場合は可能としている。
4.即ち、変更後の就業規則を周知させ、その、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益
  の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との
  交渉の状況その他の事情に照らして合理的と認められるときは、変更可能としている。
5.変更提案を受けた労働者は、従業員代表を先頭に又は労働組合を窓口として会社と交渉
   することが必要ということ。
   そこで自分たちの被る不利益の度合いを主張しなくてはならないということ。
6.そこで、相談事案を検証すると、労働者の不利益は➀ 週休が2日から1日に減少
  ➁休憩時間増加とはいえ出勤日が1日増となることから1週間の拘束時間は増える。
  これは、週休2日制が普及している状況において1週間の拘束時間を増加させ土曜日出
  勤を強いることが国の施策や社会のニーズからして相当とはいえない。
7.そもそも人手を増やす努力に注力すれば就業規則改定の必要もない。
  労働者の負担がふえるのは人員確保の努力を講じていないということなので、極めて合
  理性に欠ける会社提案。この主張を以って会社提案を拒否することは可能。
8.就業規則の変更は労働者が受ける不利益の程度や、変更の必要性などを総合的に考えて
  合理的ではないと判断されば無効となる可能性があるとはいえ、まずは無効の主張が必
  要。労組対応を検討してはどうか。

労働契約法導入当初、就業規則の取り扱い、特に従業員代表に関する内容が労働側(地域の労働組合等)から問題ありと指摘されています。職場に起きる被害についてイマジネーションが乏しすぎるというような指摘もありました。今日寄せられる相談を見れば「そうだよな」という気もします。ただ、労働組合が正常に機能すれば打つ手はあります。皆さん頑張りましょう!

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