有給休暇取得申請の際に理由・目的を聞かれ閉口することがあります。有給休暇制度の浸透にはまだまだ時間が掛かるなぁ~!と感ずる瞬間です。これ以上に「時期変更権」を振りかざす管理職・事業者には手を焼きます。普段、汗水以上のもの垂らし、わき目もふらず、文句も言わず働いているのだから、労基法に定める権利は使わして頂戴と痛切に思うのです・・・という相談です。
【相談内容】
1.地場小規模不動産会社。小規模とはいえ老舗。一定程度の事業規模は維持している。 2.社長、営業員2名(うち1名は本人)、業務管理社員1名、事務職員1名、パート事務 職員2名(女性)の7名。 3.週40時間、1日8時間、年間公休104日で営業している。 土日祝祭日は原則営業日で繁忙期。 4.それでも、物件の動かない月は結構休んでいる。 5.11月10日(日)を有給休暇取得日として申請した。 6.社長曰く、契約業務が立て込んでいて多忙日、時期を変更してほしいと言われた。 業務に支障を来すので時季変更権を行使するとのこと。 7.常時、日祝祭日はこんな感じで多忙日としている。常に多忙であれば、代替え要員を 確保する義務は会社にあると思うがどうか。 8.10日はどうしも休まねばならない。休んで処分はあるか。
【以下の様にアドバイスしました】
1.業務への支障は、業務多忙が常態化しているのでは適用されない。 2.この状態を改善するのがまず事業者として義務。 3.代替え要員配置もその義務の一つ、会社の負うべき配慮義務。 4.時季変更権を行使する以前の問題。 5.時季変更権は会社の存立を揺るがすような事態わ想定している。 すべきことを履行しない事業者の理屈を支えるものではない。 6.会社が、このまま有給休暇取得を拒否すれば、会社の取得妨害・労基法違反。 7.処分に対しても無効主張の申し立てで立場が逆転する。 8.有給休暇は取得すべきだが、会社の説得策を考えることも進めたほうがよい。 9.労基へ会社実名公表で依頼してはどうか。
有給休暇へのこの「無理解」を国政担当者や労政審委員は見つめるべきです。現場の状況を理解せずには議論できない、という担当者・委員はいないでしょうか?