厚労省は7月7日に第1回副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会を開催しました。昨年3月28日の働き方改革実現会議で「労働者の健康管理に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、その促進を図る。そして、その観点から、雇用保険制度・社会保険制度の公平な在り方、労働時間管理・健康管理の在り方、労災保険給付の在り方、について検討を進める。」と決議したことを受け議論に入ったものです。この間に3度の閣議決定を経ています。今回も含め、議論の前提は、副業・兼業を望む労働者が増えているが認める企業は少ないこと、労働者のキャリアアップを主体的に進める必要があること、となっています。しかし、労働者は、自分の才能開花のために技術・見識向上を強く望み副業・兼業を望んでいるのでしょうか。7月7日の会議で提出された資料を見る限りそのような事実はありません。労働者で副業に就く人の7割強は年間所得が299万円以下で副業に就く理由を「十分な収入」を得るためとしています。会社側は85.3%が副業・兼業を認めないとしており、「本業がおろそかになる」「長時間労働につながる」「労務・労働時間管理上の不安がある」ことをその理由としています。私たちは、二つから三つのパートを掛け持ちして働くパートさんから労働相談を受けます。その際、掛け持ちをする理由は、殆ど、一つの職場がダメになっても暫くは食いつなぐことが可能にするため、とのことです。自前のセーフティネットなのです。9月19日北海道新聞の朝刊に「企業75%超副業を認めず」とした記事が掲載されました。副業・兼業をめぐる情勢は何も変わっていません。労働者は好んで副業・兼業に就いているのではありません、一つの会社で得る賃金では生活できないのです。会社は、十分な賃金が払えず副業・兼業には黙認するものの、本当は辞めてほしいのです。一体、副業・兼業を真に望んでいるのは誰なのでしょうか?政府筋、厚労省及び経済団体も実態調査に多様性と工夫をもたせてはどうでしょうか。少なくともあと3年はこんな議論が出てくると思うとうんざりです。