9/27 日本労働弁護団声明「「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」について」

CUNNは9月30日にメール通信NO.2218を配信し、9月27日に日本労働弁護団が公表した「「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」についての声明」を紹介しました。内容は以下のとおりです。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.2218 2022年9月30日
1.(情報)「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」
                     についての声明/日本労働弁護団

  9月27日付で日本労働弁護団が幹事長声明を出しました。

「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」についての声明 
| 日本労働弁護団 (roudou-bengodan.org)

  「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」についての声明

                             2022年9月27日
                             日本労働弁護団
                             幹事長 水野英樹

 政府は、「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」(以下「方向性」
という。)を突然公表し、パブリックコメントを募集した。報道によれば、新法を制定す
るという。「方向性」において示されている「フリーランスの取引を適正化し、個人がフ
リーランスとして安定的に働くことのできる環境を整備する。」とする目的そのものに異
存はない。しかし、「方向性」の公表は唐突感を否めず、不十分な点がある。
 一例を挙げれば、「方向性」においては、「一定期間以上の間の継続的な業務委託」に
関して、7項目の禁止行為を定めるとしているが(第2項(1)(エ))、中途解約や不
更新については特段の禁止行為を定めることとはせず、30日前の予告や理由の説明義務
を課すにとどまっている。しかし、特定の委託先からの継続的な業務委託を行っているフ
リーランスは、その契約は生活費を得るために極めて重要なものであり、正当な理由なく
解約することをも規制すべきである。
 また「方向性」は法が定める遵守事項に違反する事実がある場合について、国の行政機
関に申告することができることを定めるが(同(2))、その実効性の確保について言及
するところがない。申告を受けた行政機関が速やかに相談に対応し、違反した事業者に対
して実効性ある指導を行う体制がなければ、フリーランスの保護は画餅に帰す。新法にお
いては、実効性ある相談機関の体制やその権限について定めるべきである。
 第三に、「方向性」は、対象者となるフリーランスを「業務委託の相手方である事業者
で、他人を使用していない者」とする(第2項柱書)。労働基準法や労働組合法などの労
働関係諸法令の適用を受けるべき労働者である者が、しばしば「業務委託契約」などの契
約名称のもと、「労働者」として扱われないという実情がある。その中で「方向性」は、
本来労働関係諸法令が適用されるべき者までを「フリーランス」と扱って新法の範囲に限
定することで、これらの者を労働関係諸法令による保護から遠のかせる危険をはらんでい
る。そもそも働き方が多様化する中で労働関係諸法令の適用を受けるべき者の範囲を検討
して見直すことが重要であるにもかかわらず、これを棚上げしたまま「フリーランス」の
取引適正化についてのみ議論を進めることが問題である。簡易迅速な救済の見地から、本
来労働関係諸法令の適用を受けるべきだが「フリーランス」と扱われている者についても
新法の保護を及ぼすにしても、実態として労働基準法や労働契約法、労働組合法が定める
労働者は、新法の制定をもって、これら労働関係諸法令による救済を否定されることがあ
ってはならない。このことを新法において明記すべきである。
 最後に、本声明において指摘した点は、「方向性」の問題点を網羅したものではない。
「フリーランス」として働く者、そして労働者を実効的に保護するため、「方向性」に記
された内容のみを既定路線とすることなく、さらに検討を深め、関係各方面の法整備を進
めるべきである。

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………
コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク 
       (発行責任者:岡本)
〒136-0071江東区亀戸7-8-9松甚ビル2F下町ユニオン内
TEL:03-3638-3369 FAX:03-5626-2423

https://cunn.online E-mail:shtmch@ybb.ne.jp 

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

職場の労働相談はこちらへどうぞ!

労働組合結成相談もこちらへどうぞ!

札幌地区ユニオン/札幌パートユニオンへご相談を!

電 話 011—210-1200

FAX 011206-4400

  E-mail:spk-chiku-union@mse.biglobe.ne.jp

労働組合が増えれば職場・地域・世間が良くなる!