24時間で営業・開業する事業所では従業員がシフト勤務で対応するケースが多く見られます。その際、週・月の所定労働時間の枠内でシフトが編成されます。職種によっては、一勤務が2日分の所定労働時間で構成される場合もあります。所謂、「泊勤務」というケースです。夕方に出勤してきて翌日の朝に退勤というものが典型ですが、この退勤の日を「明け番」又は「明け勤務」と称することが多く、ホテル等では通称となっています。この「明け番」又は「明け勤務」を公休として扱うことはできません。既に一勤務分働いているので帳消しにはできないのです。これに関わる相談が寄せられています。
【相談内容】
1.高齢者介護施設勤務。介護職員。10月1日付採用・勤務開始。経験者。 1カ月間は試用期間のため9時~17時(1時間休憩)の勤務。 2.勤務はシフト表に定められる。1日実動7時間、週40時間以内、 年間公休104日の勤務。 3.シフト表に記載される夜勤者の公休日数が少ないと思い、先輩同僚に確認した。 すると、夜勤明けは公休のカウントとの、返答が返ってきた。 4.夜勤の場合は17時~9時(2時間休憩)。日勤者は8時30分に出勤してくる。 5.夜勤明けの夜に再度夜勤というシフトもあるとのこと。 6.労基法的に違反ではないのか。
【以下のようにアドバイスしました】
1.就業規則、勤務シフト表及び給与明細を確認する必要はある。 2.この施設の場合、夜勤明けは公休とはならない。 夜勤明けの公休は7時間分の賃金が未払いとなる。 また、一週間に6日勤務もあるとのことなので、この場合も3回夜勤があれば、 3勤務・3公休と取り扱うとのことだが、正しくは6勤務である。 3.この場合は、6勤務で42時間となり、週40時間を超過している。 4.残業計算も正確にしなくてはならない。 1日7時間、年間公休104日の場合、1,827時間が年間所定労働時間。 月所定労働時間は152.2時間。これを超えると残業の対象。 5.未払残業が相当累積すると考えられる。当方か労基来所の上相談されると良い。
人手不足の折、長時間労働をお願いされ、断れない・断りづらいとの声が良く相談の中で出てきます。今のちょっとした我慢が管理職や事業所のその場の危機を救うかもしれません。でも、根本的なところを議論して事業所改善に目を向けるようにしなければ、労働者が壊れ、事業所もなくなりかねません。勇気をもって残業をお願いするのではなく、勇気をもって改善について議論することが必要です。労働相談電話をご活用ください。