人集めのためで終わってはならない!                 均等待遇をもう少し真面目に考えよう!!

日本経済新聞の9月11日朝刊に非正規労働者の処遇改善記事が掲載されています。内容は働き手確保・人集めです。増え続ける非正規労働者に対して選別と囲い込みだけを目的に処遇を検討するという姿勢を事業主は改めるときに来ているのではないかと思います。私たちの組合員も全国の非正規労働者の方も、今生き抜くために働くという凄みと潔さを、上手く搦めとられているのが現実です。非正規労働者の処遇を改善すれば、結果、地域が豊かになっていくという主張をした事業主を見たことはありません。今、1日だけを注視すれば処遇改善と雇用確保が結びついてハッピーかもしれません。しかし、それだけで終わったのでは今起きている不幸の種はなくなりません。CUNN有期雇用PT通信も興味深い内容を配信しています。適正配分と不公正格差是正を実現して誰もが生きていける社会を造り上げよう!

CUNN有期雇用PT通信 184号はこちらです。

 

格差是正の原資になるはず!                                          どう考えても多すぎるんじゃないか!

9月3日に財務省が2017年度の企業内部留保を446兆円と公表しました。2017年度企業法人統計という調査をした結果だそうです。内部留保とは企業が稼いだ利益から、税金、株主への配当金及び役員報酬等支払ったうえで残ったお金で、社内に蓄積されたもを指します。現金預金だけとは限りません。この内部留保は前年から40兆2496億円増え、6年連続で過去最高を更新しているとのことです。非正規労働者が2000万人を超える中、企業決算は黒字好調を報告したというのが2018春闘渦中の出来事です。そして、賃上げは非正規労働者に配分は多かったものの正社員への配分は低く抑えられました。人件費総体は伸びていないといえます。また、団塊の世代が退職時期を迎えたものの、大半が非正規労働者として低賃金を甘受して企業に残り、これまでの経験と技術を生かして生産効率向上に寄与しています。儲かる体制を維持しつつ出費抑制に勤めるこの仕組みは暫く続きます。「生涯現役」プランが日本再生に必要だとして、社会保障を人質として健康で技術力のある高齢者を働かせる案が練られています。総裁選にでるようです。そうすると、この内部留保の記録更新も暫くは続きます。そうすると、どう考えても、不測の事態に備えるにしても、大統領の嫌がらせに対処するにしても、多すぎるじゃないでしょうか。明日の飯に困る子供がいて、生活保護を断りながら一日1食で働く労働者世帯がいて、学校に通えない子供がいるという、この格差の是正に使えないものでしょうか?働いて稼いだお金なんだからそういう使いみちを考えてはくれないだろうか!?

9月3日夕刊に掲載された企業内部留保に関する記事

9月4日朝刊に掲載された企業内部留保に関する記事

北海道労働局「平成30年度労働行政のあらまし」

8月17日北海道労働局は「平成30年度労働行政のあらまし 誰もが安心して働ける北海道をめざして」を公表しました。年度初めに公表する行政運営方針の方針部分をコンパクトにまとめたもので、先の国会で成立した「働き方改革関連法案」に関する地方労働行政としての取り組みを概要的に示したものといえます。北海道、取り分け自分の地域の事情に当てはめて考えると果たしてこれで良いのかどうか判断できないところはあります。現状の分析内容を見ながらの方が理解は進むのかなと思いました。平成30年度行政運営方針(https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/000228394.pdf)を側に置いて読んだ方が理解が進みます。

北海道労働局「平成30年度労働行政のあらまし  誰もが安心して働ける北海道をめざして」はこちらをクリックして下さい。

 

経験か、研鑽か、地域運動の差か            東京都労委の職安通報

8月18日北海道新聞朝刊に東京都労委が都内複数のハローワークへ「ジャパンビバレッジ東京」に対して求職者を紹介しないよう通報したとの記事が掲載されました。職安法第20条(下記に掲載)「求職者を無制限に紹介することで、争議の解決が妨げられる場合は紹介してはならない」に基づくとのことです。同社は従業員が加盟する労働組合との間で残業代の支払い・休憩時間の確保等について交渉。同社が未払い残業の存在を否定したことから労働組合が残業拒否や一部職場のストライキを実施し、今回の東京都労委の通報に至ったとのことです。労働組合の権利行使に対して、職分とはいえ、法の趣旨を無為にさせないよう取り組む姿勢は、凄いと思います。これは、個人・組織の資質、経験、不断の研鑽なのでしょうか、それともこのような発想を導き出す風土を生む地域運動の差なのでしょうか。私たちのユニオンもしっかりしなくてはいけないと強く思います。

2018年8月18日 北海道新聞朝刊の記事はこちらです。


職業安定法 第二十条 (労働争議に対する不介入)

   公共職業安定所は、労働争議に対する中立の立場を維持するため、同盟罷業 又は作業所閉鎖の行われている事業所に、求職者を紹介してはならない。

(2) 前項に規定する場合の外、労働委員会が公共職業安定所に対し、事業所において、同盟罷業又は作業所閉鎖に至る虞の多い争議が発生していること及び求職者を無制限に紹介することによつて、当該争議の解決が妨げられることを通報した場合においては、公共職業安定所は当該事業所に対し、求職者を紹介してはならない。但し、当該争議の発生前、通常使用されていた労働者の員数を維持するため必要な限度まで労働者を紹介する場合は、この限りでない。

労契法第18条無視の不当解雇撤回闘争終結報告

医薬製造・品販売会社メルスモン製薬が2017年9月15日に強行した雇止め・解雇について、撤回と原職復帰を求めて闘ってきた全国一般東京東部労組より闘争終結報告がCUNNメール通信NO.1460で配信されました。団体交渉、本社前申し入れ行動、労働審判・地裁への申立て等の地域一体となった取り組みについて、苦渋の決断とはいえ、一旦終止符を打ったとのことです。会社の労働契約法第18条を踏みにじる蛮行や裁判所による解雇の金銭解決を先取りしたような審判を乗り越えた末の和解でした。報告の詳細は以下CUNNメール通信NO.1460を参照してください。

CUNNメール通信NO.1460の内容はこちらをクリックして下さい。

道内最賃違反97事業所 1~3月

今年1月から3月の間に監督指導した事業所819カ所の中97事業所に対して最低賃金法違反の是正を勧告したと北海道労働局は15日発表しました。最低賃金未満で働いていた労働者数は245人(パート・アルバイトは161人)で、違反事業所に対して遡及して賃金を支払うよう指導しました。業種では製造業・商業・接客娯楽業でが9割強を占めています。10月1日以降、官民総力を挙げた監視体制が求められます。詳細は以下の報道記事を参照してください。

最低賃金違反に関する報道記事はこちらをクリックして下さい。

最低賃金 中賃目安超え23県                   残業不払1870社446億円

8月10日厚生労働省は全都道府県の2018年度最低賃金改定状況を発表しました。全国平均では26円引き上がり874円となります。中央最低賃金審議会は23円から27円の引上げ目安を示しましたが、23県がこの目安を1円から2円上回りました。東京都(985円)と神奈川県(983円)は今回の3%の引上げが継続されると2019年度には1,000円超えとなります。今回の改定により700円台19県800円台1府24県900円台が1都1府1県となり、10月1日から適用になります。詳細は報道記事を参照してください。

2018年度最低賃金に関する報道内容はこちら。

同じく10日厚生労働省は2017年度に全国の労働基準監督署が残業代未払いを是正指導した企業数を1870社、支払い金額を約446億円であると発表しました。企業数で約4割、未払い金額で3.5倍前年に増えているとしました。業種別では運輸交通業が最も多く未払い金額で224億円に達するとしました。最低賃金の引き上げ内容が決まり、残業時間に関する36協定厳守の方針や上限規制の方向性も明らかになっています。昨年のこの惨憺たる労務管理の状況を紙一枚・通達配布で改善するのは至難の業です。官・民問わず人の確保と人材の育成に資金を集中させないと私たちの暮らしそのものが破綻します。

2017年度の残業不払いに関する報道はこちら。

働き方改革より今の違法排除!

2017年度に長時間労働が疑われた2万5676事業所へ立ち入り調査をしたところ1万1592カ所で労使協定の上限を超える違法が確認された、また8592カ所で「過労死ライン」の80時間を超える時間外労働が確認された、これは厚生労働省が昨年度立ち入り調査結果まとめたものを今月7日に発表したものです。本日の朝刊に掲載されました。また、裁量労働制を導入する事業所でも285事業所に違法適用の疑いがあるとしています。大半が名ばかり裁量労働であり、実態としては上司の指揮命令による業務運用が大半であるとしています。長時間労働で現在「過労死ライン」とされるものも、今回の上限規制「単月100時間未満」の枠内であれば合法とされます。それだけに、現在の違法を厳しく追及すると共に、新たな36協定では労基法範囲内とする労使交渉が必要です。罰則付きを評価して労働者に被害が出てしまったのでは、シャレになりません。

違法残業・裁量労働違法摘要の報道記事はこちらをクリックして下さい。

権藤、権藤、雨、権藤さんの お客様第一主義

元中日ドラゴンズの名投手にして横浜ベイスターズを日本一に導いた名監督の権藤博さんが日本経済新聞のスポーツ欄に「悠々球論」というコラム記事を掲載しています。日本代表チームの投手コーチも務めた豊かな経験と卓越した見識そして腹の座った気風の良さも加え羨ましいほど小気味の良い、読みやすい文章を綴っておられます。自分もこのような文章を創れたらと羨ましく思います。野球論が中心のコラムですが、時に、話題は会社組織の在り方や人間関係の妙にまで及びます。読んでいると次の文章を追いかけるように目が走ります。8月2日掲載のタイトルは「お客様目線で試合時間短縮」でした。現代のプロ野球の試合はあまりにも手前勝手な理屈を優先し過ぎてはいないか、その結果の長時間試合はお客様第一とはいえないのではないかと持論を展開していきます。サイン交換も所詮は「舞台裏の事務連絡」、ピンチのときのマウンド会議も「所詮は仲間内の打ち合わせ」等々とヒートアップします。そして、プロ野球もサービス業と宣言し、お客様の目線を意識して、お客様第一の意識を強く持たねばと辛口の指摘で結んでいきます。現役時代に、連投も厭わず投げ続け、権藤、権藤、雨、権藤と言われ、中日には他に投手はいないのかと相手チームに言わせたプロの言葉だけに反論の言葉が見つからないと思ってしまう小気味よさです。
私は、24時間対応を求められる接客業に努めて長いのですが、「お客様は神様」にも限界があるのではないか、と思い始めていた矢先の文章でした。利益向上達成のための経費削減が人員削減とサービス内容の変更・縮小、そして本来従業員がする仕事をお客様にさせてしまう(セルフなんとか)ことが増えてきています。全てのお客様がこれに対応できるかどうか、これを考えたときクレームの背景には行き過ぎた利益追求主義があるのではないか、見直すべきは自らの技量ではないか、権藤さんの文章を読んで、そんな思いに駆られたのでした。
そういえば、クレーム処理ノウハウは企業の宝、公開するのは論外、クレーム処理こそ企業再生・従業員教育の好材料と元気よく語っていた紳士がいました。この紳士と権藤さんが対談するときっといい興行になるだろう、そんなことまで8月2日には思ったのでした。

悪条件放置の介護職場!                 相談場所もないのです、昔から。

今日の日本経済新聞朝刊に介護現場でおきているセクハラ等の被害の酷さが報じられました。厚生労働省は実態調査の上、対策マニュアルを作るとのことです。2000年に介護保険制度が導入される以前から介護現場におけるヘルパーさん(当時は寮母さん・付添さん等の呼称もあった)に対する被害は深刻なものがありました。措置制度の中での出来事なので自治体が関与し表沙汰にならなかったケースもありますが、多くはヘルパーさんの泣寝入りでした。介護保険制度が導入されるとき、契約制度の中の運用なので、このような事例は契約解除により阻止可能だと説明していました。ところが介護保険制度開始後、ヘルパーに対するハラスメントは利用者に加え、利用者家族からの行為も酷くなり職場環境は一層厳しいものになりました。当時札幌では地元の労組がヘルパーさんと一緒にアンケートによる実態調査を開始し自治体や厚労省などへ改善要請をしました。今回厚労省が実施するアンケートも恐らく結果は当時と同じになるでしょう。机上の計画通りにはいかないという見本のようなものです。今日8月2日の日本経済新聞の記事と2002年1月1日に週間労働ニュースに掲載された記事を比較してみてください。求める内容は全く同じです。悪条件はずっと放置されっぱなしで、ヘルパーさんには相談する場所が無いのです、昔から!まずはヘルパーさんの相談場所を作り、行政担当者ではない相談員を配置することが急務なんです。