解雇ゴリ押しは「労働者のため」にならない 「解雇の金銭救済制」

CUNNは12月14日、メール通信  N0.2265を配信し、12月6日開催の労政審で議論された「解雇の金銭救済制」に関する「連合通信・隔日版」の配信記事を紹介しました。詳細は以下の通りです。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.2265 2022年12月14日

1.(情報)労働者のために導入?/労働政策審議会/「解雇の金銭救済制」めぐり議論
                                                     221213連合通信・隔日版

「解雇無効時の金銭救済制度」(違法解雇の金銭解決制)の新設について、厚生労働省の
労働政策審議会の分科会で12月6日審議が行われた。労働側が強く反対する同制度を、
使用者側委員が口をそろえて「労働者のために導入すべき」と主張する、異様な様相を呈
した。
「金銭救済制度」は、第2次安倍政権が打ち上げた「(違法)解雇の金銭解決制」の創設
論議から具体化された。解雇された労働者が、金銭(解消金)支払いを請求する仕組みで
裁判を起こして違法解雇と認められることが必要。解消金の支払いと同時に労働契約が終
了する。解消金については上・下限の設定が検討されている。
 現行の裁判でも、金銭解決が行われていることや、約3カ月で解決を図る労働審判が普
及していることなどから、労働側は新たな制度は必要ないと主張。さらに、同制度の弊害
として、「違法な解雇ができる」という誤った認識を社会に広げかねないことや、国が解
消金の相場を定めることにより「裁判をしてもこの程度の解消金しかもらえないのだから
」と、労働者に解雇を認めさせる効果が生じるなどとして導入に強く反対している。
 この日は、経団連をはじめ、普段は中小企業経営者の利害しか主張しない中小企業団体
の使用者側委員までもが「労働者のために選択肢を増やすべき」などとして、制度創設を
促すという、異様な様相を呈した。
 その狙いが「予見可能性」だ。裁判の長期化と、解雇無効とされた場合のバックペイ
(解雇時からの賃金遡及〈そきゅう〉支払い)などの負担が大きく、解雇紛争時の予見可
能性を高めたいとの要望が経営側に強くある。
 この日の審議でも使用者側委員から「解決金とバックペイの関係を検討すべき」「裁判
が長すぎる。迅速な解決を」などの発言があった。

●根拠となるデータは無い

 厚労省が示す制度案は、通常の裁判と同様、労働者は2~3年かけて裁判で争い勝たな
ければならない。収入を失った労働者には大変な負担となる。それでも違法解雇に憤り訴
訟に踏み出す労働者が、金銭解決も可能な、原職復帰を求める従来の裁判ではなく、あえ
て「解消金」を求める裁判を選ぶとは考えにくい。
 公益委員の藤村博之法政大学大学院教授は「制度創設によってどのぐらい労働者が救済
されるというデータはあるか」と質問。これに対し、厚労省は「データはない。把握して
いるものはない」。
 労働側委員の一人は「制度を悪用した訴訟外のリストラが増える。労働基準監督署に是
正指導の権限があるのか」と尋ねた。厚労省は「民事的ルールであり、監督官の権限行使
とは別。ルールの周知に努める」と行政が対応できないことを認めた。
 審議は労使双方、平行線をたどった。公益委員の川田琢之筑波大学教授は審議の終盤、
「制度導入の方向で進めるのが大事」と慎重論にくぎを刺した。
 政府は「労働移動の円滑化」を賃上げとセットで重視している。
 この方針と絡めて「金銭救済制度」の創設を進めることに労働側は強く警戒している。

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労働者のためというなら、職場復帰の際に安心して働けるよう環境整備するのが事業者の務めではないでしょうか。負けた裁判からさらにゴリ押し解雇を貫くのが労働者のためというのは、あまりにも身勝手。導入ありきで議論を進行する委員も乱暴すぎる。

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