3月24日、労働政策研究・研修機構(JILPT)は メールマガジン労働情報第1854号を配信し、3月13日~17日まで(第一次山場)の賃上げ状況を各組織の情報をもとに配信しました。連合、金属労協(自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線)及びUAゼンセンの大手組合が先行組合を形成しています。以下の通りです。
●30年ぶりに賃上げ率を3%台に乗せる/ 連合のヤマ場を終えての賃上げ回答集計結果 3月14日~16日のヤマ場を含む13日~17日までを「先行組合回答ゾーン」 に設定していた連合(芳野友子会長)は17日、同日10時時点での第1回回答集計 結果を発表した。定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は1万1,844円、 率で3.80%となり、1994年以来、30年ぶりに賃上げ率が3%を超えた。 (JILPT調査部) 30年ぶりに賃上げ率を3%台に乗せる/連合のヤマ場を終えての賃上げ回答集計結果 3月24日JILPT調査部 ●賃金改善額が8,000円を超え、2014年以降で最高水準に/ 金属労協大手組合のヤマ場までの賃上げ回答 金属労協(JCM)に加盟する大手組合の先行回答状況によると、3月17日現在では 賃金改善分の平均額は8,131円となっており、昨年の最終結果である1,994円を 大幅に上回るだけでなく賃上げが復活した2014年以降で最も高い水準となっている。 JCMが集中回答日に設定した3月15日に記者会見した金子晃浩議長は「JC共闘によ る相乗効果を発揮できた」などと評価した。(JILPT調査部) 賃金改善額が8,000円を超え、2014年以降で最高水準に/ 金属労協大手組合のヤマ場までの賃上げ回答3月24日 JILPT調査部 ●自動車総連のメーカー部会、電機連合の中闘のすべての組合が要求に対する 満額回答を引き出す/金属労協の各産業での先行回答状況 金属労協に加盟する自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の各大手組合の 賃上げの先行回答では、組合要求に対する満額回答が相次いだ。トヨタや日産の労働組合 などを含む自動車総連のメーカー部会12組合では、すべての組合で要求満額を獲得。 産別統一闘争を展開する電機連合の中闘組合は、揃って要求どおりの7,000円の改善 額を引き出した。基幹労連に加盟する三菱重工や川崎重工などの総合重工組合は、賃金改 善1万4,000円の満額回答を引き出した。(JILPT調査部) 自動車総連のメーカー部会、電機連合の中闘のすべての組合が要求に対する満額回答を 引き出す/金属労協の各産業での先行回答状況 3月24日JILPT調査部 ●2012年結成以降で最も高い賃上げで妥結/ UAゼンセンの第1のヤマ場回答の状況 UAゼンセンは16日、本部で記者会見を開き、2023労働条件闘争の第1のヤマ場 (15日)を終えた16日午前10時時点での賃上げ妥結集計結果を公表した。正社員組 合員、短時間組合員ともに、UAゼンセン結成(2012年秋)以降の闘争で最も高い賃 上げ額となっている。正社員組合員では、「制度昇給」と「ベアなど」を合わせた賃上げ 額全体の加重平均で1万3,830円(4.56%)となっており、パートタイマー組合 員の時給の引き上げ額(制度昇給込み)は61.8円(5.90%)。 (JILPT調査部) 2012年結成以降で最も高い賃上げで妥結/ UAゼンセンの第1のヤマ場回答の状況 3月24日 JILPT調査部
先行組合は概ね上場企業・大企業で構成されています。従前はナショナルセンターを中心に要求・交渉内容の情報開示が活発でした。続く中小・地場組合は大いに参考とし共闘意識が醸成されたと聞きます。昨今は組織率が下がった上、雇用労働者に占める非正規労働者が4割弱まで増え、その勢いは続いています。非正規労働者の9割近くが未組織労働者です。2000万人を超える非正規・未組織労働者の労働条件改善・賃上げが実現しない限り経済活性も脱少子化も実現しないのではと思います。