「感謝の一言」 中労委和解 CUNN労働委員会関連情報メール通信 第3号

CUNNは3月1日、「労働委員会関連情報メール通信」第3号を配信し、「原発関連労働者ユニオン」の中労委闘争和解解決の内容を報じました。団交拒否を救済事項とする申し立ては7年に及び、東京都労委では組合申し立てが棄却となり、組合による中労委への再審査が申し立てられた事件です。雇用関係の存否と使用者性、和解の重点項目が申立人組合員・作業員への感謝の言葉という私たちには未経験の訴因です。機会があれば拝聴したいです。

コミュニティ・ユニオン全国ネット
「労働委員会関連情報メール通信」第3号 2023/03/01

東電から下請け労働者に「感謝」の一言
―団交拒否事件で原発関連労働者ユニオンと東電が和解

 原発などで働く労働者で組織する「原発関連労働者ユニオン」(全国ネット未加盟)
は、福島第一原発などで働き白血病になり、民事損害賠償裁判の原告でもある組合員の
件で、東京電力に対して、被ばく作業や危険手当などの労働条件に関する団体交渉を求
めていたが、2023年1月6日、中央労働委員会の場で事実上和解した。

 東電は団交を拒否しているため、ユニオンが不当労働行為として東京都労働委員会に
救済申立てを行っていたものの、2022年6月9日に東京都労働委員会が「東京電力
が、原子力損害を受けた、同社と雇用関係のない作業員の使用者に当たると解すること
は困難である」と判断、組合側の申立てを棄却していた。ユニオンはこの命令を不服と
して、2022年6月17日に中央労働委員会に再審査申立てをしていた。

 2022年10月12日に中央労働委員会の第1回調査が行われた。ユニオンは「補
充申立書」を提出し、「東電は労組法上の使用者に該当する」と述べ都労委命令の全部
を変更し、不当労働行為救済命令を求めると主張した。一方、東電は「東電は当該組合
員との関係で労働組合法上の使用者には何ら該当しない」「不当労働行為に該当する余
地はない」と反論。当日は、北九州在住の当該組合員のあらかぶさんも参加し、冒頭に
意見陳述を行い、東電側の理不尽な対応への怒りを約7分間にわたって述べた。一方で、
中労委からは強く和解が勧告された。それから2回目の調査期日も挟みつつ、3ヶ月近
くにわたって、労働側委員を通じた「折衝」が行われた。そんな和解案では納得できな
い、もう命令をもらうしかないという意見も少なくなかった。しかし粘り強く折衝を続
けた。

 年が明けて2023年1月6日。
 まずあらかぶ組合員が、約10分間意見表明を行った。発言を終えると、中労委委員
はもちろん、会社側4人も深く首肯した姿が印象的だった。続いて会社代理人から、
「只今、本件申立が行われた理由等に関する当該組合員の意見陳述を拝聴しました。
 その上で、本日、組合が本件再審査申立を取り下げることにより、事件が終了するに
至りました。東京電力福島第一原子力発電所の事故収束作業等に当該組合員がご尽力頂
きましたことにつきまして、感謝申し上げます。また、事案を担当された中央労働委員
会の委員、事務局のご尽力に感謝するとともに、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉
作業につき、労働関係法令等を遵守し適切に進めることを表明します」

 「雇用者」ではないものの、「作業尽力に感謝します」と述べたことは、現時点での
東電側の最大限の譲歩であり、東電のかなり上部による意思決定がそこにあったのでは
ないかと思われる。私たちの7年に及ぶあらかぶさん裁判の進展など被ばく労働をめぐ
る運動の広がりを無視できず、東電として廃炉作業者への配慮を表明した方が得策と判
断したのだろうと組合側は判断、当該のあらかぶさんからも「じゅうぶんです」との表
明があり、ユニオンとしてこの会社表明を受け入れることとした。

 そして、中労委公益委員(岩村正彦会長)から以下の通り発言があった。
 「まず私から、当該組合員に対し、心よりお見舞い申し上げます。我々三人の委員、
そして会社側も出席しているこの場で、当該組合員がお気持ちお考えを述べられたこと
は大変意義深いことと思います。また、会社側からは、原発の所有者として、廃炉作業
に向けた姿勢について改めて意見表明をしていただいたところです。本日、この公的な
調査の場で、当該組合員の意見陳述及び意見表明が行われたこと、そして我々三人の担
当委員がそれを重く受け止めたことをもって、再審申立ての取下げという形で終結する
こととなりました。」

 後日あらかぶさんから次のようなコメントがあった。
「組合員の皆様の熱意と行動力には心から感謝しています。東京都労働委員会から中央
労働委員会へと舞台を移し、初めの頃は私達の訴えに、雇用関係に無いと全く相手にし
ていなかったのが、私が収束作業で働いた事に感謝している事、病気に対してお見舞い
申し上げます(中労委)の言葉が出たのが嬉しいです。
 今後も頑張って裁判に勝ち取れるように皆さんと団結して行かせて貰います!」

〈K〉

※各ユニオンで取り組まれている労働委員会対策、労働委員会の問題点、また活用法を
お寄せください。
 情報共有を進めながら、各地の労働委員会の活用につなげていきたいと考えています。

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