この度の台風21号及び北海道胆振東部地震は大変な被害をもたらしました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。また、救援活動・ボランティアにご尽力されている方々に対して心より敬意を表します。私たちの相談電話には、この度の事態に遭遇した方々から休業に対する相談が多く寄せられています。関係者の方の取り組みの参考になることを期待し、内容を可能な範囲で一部ご紹介させていただきました。
【相談内容】
1.札幌市内のエステサロン勤務のアイリスト。正社員。勤務場所は札幌市内繁華街の商業ビル。JRの駅の側。7月1日から勤務。 2.この度の台風21号で8月の2日間本人勤務店が入居する商業ビルが閉鎖された。他の店舗で営業するところはある。 3.店長からは台風21号被害のため休業すると報告があった。 4.この2日間の賃金は補償されるのか。有給休暇はまだ発生していない。 5.賃金・労務の関係は全て、東京本社が一括管理している。 6.店長がシフト・業務の管理をするが賃金・労務は全く話ができない状態。 7.賃金計算は東京本部が一括で管理し、東京本部から賃金が振り込まれる。
【以下のようにアドバイスしました】
1.労働基準法第26条には「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。 2.ただし天変地異、災害等の不可抗力による場合はこれに該当しないとしています。 3.しかし、ここでいう不可抗力とは、①その原因が事業の外部より発生したものであること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。 4.今回の台風による休業は、まず経営側が判断したこと、本人が通勤不能とはしていないこと、他の店舗では営業するところもあったこと、入居する商業ビルとのその時の関係が十分説明されていない、ことから、使用者(店)の責に帰すべききものと解釈できる。 5.よって、本人は労働基準法第26条に定める休業補償の支払いを求めることできる。
厚労省ではこの度の台風21号及び北海道胆振東部地震における「休業」への対応についてQ&A方式の考え方を示しています。その中では、前提条件は「今回の被災により、事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切である」とし、「休業を余儀なくされた場合の支援策も活用し、労働者の保護を図るようお願いいたします。」と結んでいます。札幌地区ユニオン・札幌パートユニオンも相談対応に際しては、そのスタンスを維持し日々取り組んでいます。何れにしても、どちらか一方が救われれば良いというものではありません。知恵と勇気を互助精神で繋ぎ合わせ取組んでいます。厚労省からのQ&A方式の考え方は以下のとおりです。