4月1日から年5日の有給休暇取得が義務化となりました。制度周知の不十分さと、元来、有給休暇取得が困難であった派遣労働者・非正規労働者に公正な制度適用が担保されるかが懸念されていました。4月1日以降、相談窓口には、制度理解の不十分な管理者による従業員被害について相談がありました。制度の正しい理解・運用には今少し時間が掛かりそうです。
【相談内容は以下のとおりです】
1.運送会社のドライバー。勤続年数9年9カ月。 2.4月1日付で就業規則改定が発表された。社内掲示板へ改定内容が貼付された。 3.元来8月13日~16日の4日間は特別休暇が盆休(夏休み)として付与されていた。 4.これに公休・有給を加えて7日間から10日間の夏休みをとる社員もいた。 5.この度の就業規則改定で、この特別休暇を5日とし「有給休暇の計画付与制度」として 運有する。そして、個人の有給休暇を5日間消化する制度に変更するとのこと。 6.会社曰く、盆休消化はほぼ100%だが、有給休暇消化率は20%程度、これではいかん ので計画付与制度に切り替える、とのこと。 7.4月1日から施行の有給休暇5日間取得義務化をイメージしているようだ。 8.しかし、会社の理解は違うのではないか。
【以下のようにアドバイスしました】
1.これは趣旨違い。会社の理解が誤っている。単なる労働条件の不利益変更。 2.従前の盆休制度が消滅し、従業員が自己の有給を強制的に消化させられるだけのこと。 3.就業規則改定による労働条件不利益変更なので、従業員への説明周知が必要なところ、 改定結果の周知にとどまっている。これも違法。 4.労基の指導案件。直ぐに相談されることを勧めます。 5.本来であれば労組対応が望ましい。
実はこのような相談が4月以降結構寄せられています。中小会社というよりは大企業の系列子会社が親会社の指導文書に過剰反応し、又は親会社管理職に対する過剰な忖度により、無理やり有給休暇の申請を5日以上強要されるというケースも目立ちします。就業規則違反で「処分する!」と恫喝されたとの内容もありました。働く者同士、常に情報交換を密にし、身に降る火の粉を払いましょう!
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