今年1月から3月の間に監督指導した事業所819カ所の中97事業所に対して最低賃金法違反の是正を勧告したと北海道労働局は15日発表しました。最低賃金未満で働いていた労働者数は245人(パート・アルバイトは161人)で、違反事業所に対して遡及して賃金を支払うよう指導しました。業種では製造業・商業・接客娯楽業でが9割強を占めています。10月1日以降、官民総力を挙げた監視体制が求められます。詳細は以下の報道記事を参照してください。
投稿者: 札幌地区ユニオン / 札幌パートユニオン
最低賃金 中賃目安超え23県 残業不払1870社446億円
8月10日厚生労働省は全都道府県の2018年度最低賃金改定状況を発表しました。全国平均では26円引き上がり874円となります。中央最低賃金審議会は23円から27円の引上げ目安を示しましたが、23県がこの目安を1円から2円上回りました。東京都(985円)と神奈川県(983円)は今回の3%の引上げが継続されると2019年度には1,000円超えとなります。今回の改定により700円台19県800円台1府24県900円台が1都1府1県となり、10月1日から適用になります。詳細は報道記事を参照してください。
同じく10日厚生労働省は2017年度に全国の労働基準監督署が残業代未払いを是正指導した企業数を1870社、支払い金額を約446億円であると発表しました。企業数で約4割、未払い金額で3.5倍前年に増えているとしました。業種別では運輸交通業が最も多く未払い金額で224億円に達するとしました。最低賃金の引き上げ内容が決まり、残業時間に関する36協定厳守の方針や上限規制の方向性も明らかになっています。昨年のこの惨憺たる労務管理の状況を紙一枚・通達配布で改善するのは至難の業です。官・民問わず人の確保と人材の育成に資金を集中させないと私たちの暮らしそのものが破綻します。
機関紙CUNN54号(2018年8月)です。
CUNNの機関紙54号が配信されましたので掲載します。内容は以下の通りです。
表紙 第30回全国交流集会 東北いわて集会 概要(日時・分科会等) ※写真は昨年開催した福岡集会のものです。 2P 新しい仲間 全国一般全国協議会 焼津地域労働組合 3P えひめユニオン井関労働契約法20条裁判原告団「人間らしい生活をめざして控訴審を闘う」 5P よこはまシティユニオン(青い鳥20条裁判・横浜地裁)非常勤職員に対する差別是正を求め 6P きょうとユニオンは、やっとというか、とうとう30歳になりました! 8P 新任あいさつ 新しい運営委員 森本康仁さん(連合熊本ユニオン)
地域運動があったろうか?
2018年度の北海道地域最低賃金が25円引上げられ835円に改正することが8月6日の審議会で決定しました。北海道はCランク。Aランク(5都府県)は27円・Bランク(11府県)は26円引き上がるので、現在の格差は更に拡大することになります。そして同日付で発信された連合談話にあるとおり、政府公約である「全国加重平均1,000円」には達せず、改定時給額で2000時間働いたとしても年収200万円に達しない状態(ワーキングプア)もそのままとなります。世論の中には、2002年以降で最も高い引き上げ額であり、道内の非正規労働者3人に1人は賃金引上げとなることを評価する声があります。また10月1日発効としたことは意義があるとの声もあります。しかし、10月1日に賃金が上がってもワーキングプア状態の非正規労働者の数は減るでしょうか。それでも生活保護を受けながら働く非正規労働者は現存します。8月6日の結審を迎えるまでこのような現状に飛び込み議論をしてきた運動が地域にあったかどうか、私自身も含め当事者全てが考える時期に来ています。そう考える折、今朝、19の地方審議会が中央の目安を超える金額で結審したことが報道されました。Bランク1、Cランク5、Dランク13の審議会が1~2円中央の目安を上回る内容で結審したとのことです。どのような議論が交わされたかは今後明らかになるでしょうが中央の目安を上回る議論をしたということに地域労働者の反対は無いはずです。議論において何を重点に議論をするか、地域運動の中で検討する必要があるのではないでしょうか。
働き方改革より今の違法排除!
2017年度に長時間労働が疑われた2万5676事業所へ立ち入り調査をしたところ1万1592カ所で労使協定の上限を超える違法が確認された、また8592カ所で「過労死ライン」の80時間を超える時間外労働が確認された、これは厚生労働省が昨年度立ち入り調査結果まとめたものを今月7日に発表したものです。本日の朝刊に掲載されました。また、裁量労働制を導入する事業所でも285事業所に違法適用の疑いがあるとしています。大半が名ばかり裁量労働であり、実態としては上司の指揮命令による業務運用が大半であるとしています。長時間労働で現在「過労死ライン」とされるものも、今回の上限規制「単月100時間未満」の枠内であれば合法とされます。それだけに、現在の違法を厳しく追及すると共に、新たな36協定では労基法範囲内とする労使交渉が必要です。罰則付きを評価して労働者に被害が出てしまったのでは、シャレになりません。
権藤、権藤、雨、権藤さんの お客様第一主義
元中日ドラゴンズの名投手にして横浜ベイスターズを日本一に導いた名監督の権藤博さんが日本経済新聞のスポーツ欄に「悠々球論」というコラム記事を掲載しています。日本代表チームの投手コーチも務めた豊かな経験と卓越した見識そして腹の座った気風の良さも加え羨ましいほど小気味の良い、読みやすい文章を綴っておられます。自分もこのような文章を創れたらと羨ましく思います。野球論が中心のコラムですが、時に、話題は会社組織の在り方や人間関係の妙にまで及びます。読んでいると次の文章を追いかけるように目が走ります。8月2日掲載のタイトルは「お客様目線で試合時間短縮」でした。現代のプロ野球の試合はあまりにも手前勝手な理屈を優先し過ぎてはいないか、その結果の長時間試合はお客様第一とはいえないのではないかと持論を展開していきます。サイン交換も所詮は「舞台裏の事務連絡」、ピンチのときのマウンド会議も「所詮は仲間内の打ち合わせ」等々とヒートアップします。そして、プロ野球もサービス業と宣言し、お客様の目線を意識して、お客様第一の意識を強く持たねばと辛口の指摘で結んでいきます。現役時代に、連投も厭わず投げ続け、権藤、権藤、雨、権藤と言われ、中日には他に投手はいないのかと相手チームに言わせたプロの言葉だけに反論の言葉が見つからないと思ってしまう小気味よさです。
私は、24時間対応を求められる接客業に努めて長いのですが、「お客様は神様」にも限界があるのではないか、と思い始めていた矢先の文章でした。利益向上達成のための経費削減が人員削減とサービス内容の変更・縮小、そして本来従業員がする仕事をお客様にさせてしまう(セルフなんとか)ことが増えてきています。全てのお客様がこれに対応できるかどうか、これを考えたときクレームの背景には行き過ぎた利益追求主義があるのではないか、見直すべきは自らの技量ではないか、権藤さんの文章を読んで、そんな思いに駆られたのでした。
そういえば、クレーム処理ノウハウは企業の宝、公開するのは論外、クレーム処理こそ企業再生・従業員教育の好材料と元気よく語っていた紳士がいました。この紳士と権藤さんが対談するときっといい興行になるだろう、そんなことまで8月2日には思ったのでした。
生活できなければ最賃ではない!
札幌パートユニオン新野会長 憲法で保障する賃金でなければならない と訴える 8/6北海道地域最低賃金の大幅引き上げを求める労働局前集会
8月6日12時20分より連合北海道は北海道労働局前で北海道地域最低賃金の大幅引き上げを求める集会を実施しました。札幌地区ユニオンからは新野勝昭札幌パートユニオン会長が登壇し、現在も時間給賃金で生活する労働者の生活状態は憲法違反であり権利確保のためには最低賃金を1000円以上に引き上げなければならない、と強く訴えました。ただ、今日午後に開催される審議会では中央審議会の目安(25円引上げ)で結審する予定とされています。しかし、経営側はこれにすら強く反対することを表明していると連合北海道山田組織労働局長(北海道地域最低賃金審議会 労働側委員)より報告がありました。北海道内労働者の生活改善にはまだまだ高いハードルがあります。今年、中央審議会の目安通りで結審しても835円の時間給です。憲法で保障される生活確保のためにも、今日の熱意を持続し粘り強く取り組みましょう!集会参加の150名の組合員は、最賃の大幅引き上げを求めるシュプレヒコールの後、団結ガンバローを三唱し決意を新たにしました。
悪条件放置の介護職場! 相談場所もないのです、昔から。
今日の日本経済新聞朝刊に介護現場でおきているセクハラ等の被害の酷さが報じられました。厚生労働省は実態調査の上、対策マニュアルを作るとのことです。2000年に介護保険制度が導入される以前から介護現場におけるヘルパーさん(当時は寮母さん・付添さん等の呼称もあった)に対する被害は深刻なものがありました。措置制度の中での出来事なので自治体が関与し表沙汰にならなかったケースもありますが、多くはヘルパーさんの泣寝入りでした。介護保険制度が導入されるとき、契約制度の中の運用なので、このような事例は契約解除により阻止可能だと説明していました。ところが介護保険制度開始後、ヘルパーに対するハラスメントは利用者に加え、利用者家族からの行為も酷くなり職場環境は一層厳しいものになりました。当時札幌では地元の労組がヘルパーさんと一緒にアンケートによる実態調査を開始し自治体や厚労省などへ改善要請をしました。今回厚労省が実施するアンケートも恐らく結果は当時と同じになるでしょう。机上の計画通りにはいかないという見本のようなものです。今日8月2日の日本経済新聞の記事と2002年1月1日に週間労働ニュースに掲載された記事を比較してみてください。求める内容は全く同じです。悪条件はずっと放置されっぱなしで、ヘルパーさんには相談する場所が無いのです、昔から!まずはヘルパーさんの相談場所を作り、行政担当者ではない相談員を配置することが急務なんです。
御政道が悪いばっかりに・・・・
労働相談に寄せられる内容にため息が出るケースが多いのではないかと思います。加齢のせいか、暑さのせいかと色々考えてみても釈然としません。そんなとき「御政道が悪いばっかりに弱い者苛めをするものが後を絶たないようで」と啖呵調の声が聞こえてきて、はっと頭が冴えました。声の主は股旅姿の渥美清・寅さんで借金の取り立てにきたやくざ者を追い返すという夢の場面での台詞でした。そうだ、受ける相談に虎の威を借りた苛めに括ることができるものが多いのだ、と思いました。事故により身体に障害を負った人が「障害者がいるとイメージが悪く売り上げが落ちる」と雇い主から吐かれた、交通事故後遺症は営業に支障なしと産業医が診断したのに自宅待機休職命令と賃金カットを受けた等、常人には考えられない差別が職場では起きています。このような言葉を吐き、発令をする会社人の行動の根拠は何なのだろうか・・・、少なからず一強独裁に胡坐をかいて答弁する姿勢が影響しているのは間違いないと思います。御政道に就くものがやっていることは自分たちも社内で同じ状況を作れば許される、その思い上がりが根拠と思えば少し頭がすっきりしたのです。当然、このような差別は決して許されるものではありません。断固粉砕すべきものです。何故そのようなことが起きるかについて思いを巡らしても相談者の救済にはならないと割り切り、「御政道が悪いばっかりに弱い者苛めをするものが後を絶たないようで」と心の中で一人啖呵を切って、侵害された権利回復に取り組む、これを腹に据えたところで少し気力が回復したのでした。
増・労災保険特別加入! その実態に目を凝らそう!!
安倍心酔の経済人・学者がフリーランスの拡大保護を声高に説いている画面・紙面が目に付きます。多様な働き方の実現・自己実現の手法・起業家の育成と色々言っていますが、説得力のある当事者からの声に出会ったことがありません。7月26日に東京都多摩市で5人が死亡する建設現場の火災がありました。元請けは安藤ハザマ、亡くなった労働者4人(身元確認済みの方)のうち3人が自営業、即ち労災の特別加入者・自営業の肩書でした。近年、労災の特別加入者が増えている要因の一つに入札や請負の条件とされていることを挙げる声もあります。実態の精査が必要です。CUNN有期雇用PT通信180号に詳細が掲載されています。