相談現場から-12 間違えたらお前が払え!

コンビニ店に勤務するアルバイトの若者から寄せられる相談の上位には「弁償」が出てきます。何年経っても改善されない問題です。今日、私たちのところにも寄せられています。内容は以下のとおりです。

【相談内容】

1.札幌市内のコンビ店のアルバイト。10月1日付で採用され勤務している。
  週3日・5時間(原則午前中)・シフト勤務。時間給850円。
2.雇用契約書が今日手交された。全店統一の雇用契約書。
  ただ、特記欄に、店長(オーナー)直筆で次の記載があった。
  ①レジ担当の際、締め業務で過不足が生じた場合、
   100円を超えるマイナスは、その担当者が負担する。
  ②店内商品破損(食品も含む)はその担当者が負担する。
  
  この②は、レジ横のおでん、肉まん及び揚げ物等を落として、取り替えた場合も含む、
  と言われた。
3.これは、採用面接の際に言われていないものであるが、
  店長曰く「全店同じだから」とのこと。
4.これは法律上許されることなのか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.雇用契約としては倍賞予定の内容であり、労基法第16条に反する。
  会社に損害を被らせた場合はその金額を弁済しろというのは労基法で禁じている。
2.このような契約内容に嫌気がさし、途中で退職を申し出た場合、「やめたら違約金を払え」
  と脅す事業主がいますが、これも賠償予定禁止の規則に反するものです。
3.ご本人は、請求されても堂々と拒否することができます。
  賃金から勝手に控除された場合は、賃金未払として労基に申し出ることです。
4.このような労基法違反の内容を雇用契約として主張する事業主に対しては、
  不法行為の強要を理由に即日退職も可能です。
5.心配なところがあれば、いつでもご相談ください。

管理監督者は労務管理に対して一定の水準を持つべきです。コンビニFC本部は契約時に労務管理の一定水準保持を必須条件とすべきではないでしょうか。高い契約料を支払ったオーナー店長には酷ですが。レジのお金が不足すると店員に払わせ、多かったらどうするつもりなんでしょう、と言いたくなります。

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相談現場から-11                                                         就業規則の不利益変更は怖い!

就業規則の不利益変更は労働契約法(2012年成立)の第8条、第9条及び第10条で危ういとはいえ要件が定められました。前提としては原則不利益変更は不可で、どうしてもという場合であっても労働者の合意が必要ということです。しかし、2012(平成24)年以前の就業規則の不利益変更について労働者が被害を受けているという相談が寄せられました。

【相談内容】

1.ホテル風の旅館従業員。正社員。本人等は昭和の時代からの勤務。
  部屋付き係・担当さん、との呼称。
2.宿泊客の接客。部屋単位に対応し、チェックイン時→食事→就寝→朝食→チェックアウト
  まで一通り対応する。
3.採用時定年年齢は60歳であったが平成18(2006)年に定年が63歳に
  平成26(2014)年には65歳へと引き上がった。
4.会社就業規則に勤続手当・退職慰労金という規定がある。
5.勤続手当は以下のとおり。
(1)正社員の勤続2年目から5年目までは月額2千円、それ以降勤続1年毎に1千円が
   加算される。
(2)上限は1万円とされているので、勤続13年目からは1万円となる。
(3)定年年齢を超えた者及び定年退職後の再雇用には支給しない。
6.退職慰労金は以下のとおり。
(1)正社員の退職者につき勤続3年満了者に2万円支給。9年満了まで1万円を加算し、
   10年満了者は10万円。
(2)10年を超える者は1年に就き1万円を加算する。
(3)定年年齢を超えた者及び定年退職後の再雇用には支給しない。
7.会社は、平成28(2016)年60歳を超えた本人に対して、勤続手当をカットし
 退職慰労金を支給するとした。ただし、就業規則に基づき65歳(2021(平成33)年)
 までは正社員雇用とするとした。
8.本人等は、就業規則では勤続手当、退職慰労金は定年年齢まで継続する定めであると
 主張した。
9.会社は、平成18(2006)年に定年年齢を63歳に改定したさい、
 60歳以降の者には勤続手当は支給せず、退職慰労金は60歳で清算し
 60歳以降は適用しないと、定めているとした。
10.本人等はそのような説明は受けていないし、改定したという就業規則そのものも
  閲覧したことはないとした。
11.会社は本人の求めに応じられないとした。
  本人等は納得できないが時も経過している。どのように対応すべきか。

【以下のとおりアドバイスしました】

1.労働条件の不利益変更。
  2006年の改定時の状況がポイントだが現行就業規則が不開示状態にあることは違反。
2.2006年は労契法成立前なので、労働条件は労使対等で決定すること(労基法第2条)、
  作成、変更にあたって従業員の意見を十分聞き(90条)、従業員に周知する(80条)
  という手続きであった、この手続きが存在したか確認する必要がある。
  当然会社は従業員代表に説明したという証拠書類を持っていることが要件。
3.手続きの不備と変更理由に合理性があるかどうかがポイント。
  その上で本人等の主張を公序良俗違反に絞る方が良い。
4.2014年改定の際は労契法成立後であるが、変更内容が不利益ではないかどうか精査する
  必要がある。
5.65歳定年の法制化は2013年4月であり、会社の対応は遅れている。
  この点については就業規則改定時に説明する義務がある。
  法律を下回る就業規則は法定内容まで引き上げられるので、その時点の不利益者が
  いないかどうか、チェックし、本人等の議論に参加するよう呼び掛けてはどうか。
6.いずれにしても、個人レベルの話では成果は期待できない。労組対応を強く勧めます。

最近の労働相談に、「知らぬ間に就業規則が変更されていた」、ことについての不利益被害が寄せられています。労働契約法成立後の不利益変更には、手続き面や実際の不利益被害を被ることに合理性があるかどうか等を争点にすることで会社との話し合いが維持できますが、社内立場としてアウェイ感の強い状態ではとても就業規則の不利益変更に対抗できません。また、労働契約法成立前の不利益変更は時限爆弾みたいもので、突然不利益が降りかかるというダメージが出てきます。働くこと、生きることに1人で精を出すことが難しい時代です。労働組合へ参加し、個の力を結集して個を守りましょう。

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相談電話をお待ちしています。

相談現場から-10 高齢者の雇用選別を就業規則改定で!                           労契法第10条悪用への対処は労組結成で!!

労働契約法第8条は労働条件の変更には労働者の合意が必要としています。また、同第9条では就業規則により労働条件を変更する場合であっても一方的に不利益変更としてはならないと定めています。ただ、同第10条では次の要件を満たせば、就業規則による労働条件不利益変更を認めるとしています。その要件は①使用者が「変更後の就業規則を労働者に周知させ」たこと②「就業規則の変更」が「合理的なものである」ことです。この内容を活用(悪用)して高齢者の雇用選別を実施されたとの労働相談が寄せられています。

【相談内容】
1.札幌市内の警備会社勤務。パート雇用。6カ月雇用の反復更新。
2.平成12(2000)年から勤務。
2.入社時のパート従業員の就業規則では定年は60歳となっていた。
3.2013年11月に就業規則を改定し、60歳を超えているパート従業員のうち
  申し出があれば都度契約を更新するとされた。
4.この度、本年11月1日付で雇用契約を改定するとの通知が来た。
5.内容は定年年齢を65歳とし、改定日時点で65歳を超過しているパート従業員は、
  直後の契約満了時を以って退職とするとのこと。
6.本人は、4月~9月、10月から3月の雇用契約パターン。
7.11月1日で新就業規則が発足すると、来年3月末日が退職となる。
8.2013年11月改定の内容と比較して相当な不利益変更となる。これは阻止可能か?

【以下のとおりアドバイスしました。】
1.個人レベルの内容として捉えれば明らかな不利益変更。
2.労働契約法8条により本人の同意を得られなければ変更は不可能。
3.これを労働契約法第10条の観点から手続きを進めると、個人にとって不利益でも
  変更の必要性が合理的であれば、可能とされる。
4.従業員へ変更の必要性を説明し従業員代表から合意を得て、の周知がなされれば、
  変更は可能となる。
5.従業員代表の素養と責任感の持ち方が重要。
6.しかし、個人対応では限界。反対は思うほど容易ではない。
7.労働組合による法的組織対応が必要。
8.一度来館して、詳細の進め方を相談しましよう。

就業規則改定の際、会社・事業主は速さと力を駆使して一気に寄せてきます。法律を盾にすることは口では言えても、個人のレベルで対抗できるものではありません。是非、労働組合の取り組みとして考えてみませんか。一度相談電話をご利用ください。

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労働相談現場から-9                              10月1日から最賃改定 相談来てます!

10月1日から北海道地域最低賃金が835円に改定されました。従前の810円から25円引き上がりました。厚労省も全国の労働局を通じて周知チラシを配布しています。10月1日以降、突如賃金が時給表示から日給表示に変更され、得した気分になったものの、ヨクヨク考えるとおかしいのかな?という相談が寄せられています。その一例をご紹介します。

【相談内容】

1.札幌市中央区内で営業するレストランバー勤務。アルバイトウエイター。
2.勤務時間は19時から25時まで。 時間給1000円で勤務していた。
3.10月1日から日給6000円として雇用契約書を作り直した。
4.アルバイトウエイターはオープン・クローズ業務にはタッチしていないので残業はない。
5.受け取る金額に変更はなく何故雇用契約書を作り直したのか店長(社員)に質問した。
6.店長(社員)は最賃の関係と返答した。
6.どういうことかわからない。こちらでわかれば教えて欲しい。

【次のようにアドバイスしました】

1.10月1日以前の時間給1000円の時点では、深夜割増手当の未払いです。
2.22時から27時まで間は25%の深夜割増手当を支給することになります。
3.19時から22時まで1000円の時給であれば 22時から25時までは1250円が
  時間給与となります。1時間につき250円の未払いです。
4.会社は、それを踏まえ日給表示に切り替えるよう店長に指示したと推測できます。
5.10月1日以降は、835円が最賃なので、これに併せて日給6000円の内訳を検討する
  と、時間給890円以下となります。
6.そうすると、賃下げになるので、労働条件不利益変更となります。
7.10月1日以降は、時間給1000円、22時以降1250円との内容を雇用契約書
  で確認すべきです。
8.また、10月1日以前の不足分は未払いとして請求すべきです。

皆さんから労働相談をお待ちしています。

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北海道労働局が配布している2018年10月1日最低賃金改定のチラシはこちらです。

 

労働相談現場から-8                          無期雇用転換の拒否

勤続年数の長いパートタイマー、契約社員の方々から無期雇用転換の拒否に関する相談が増えてきました。無期雇用転換の申し入れに対して極端に労働条件を切り下げるという内容が大半です。この度ご紹介する事例は労働条件切り下げ+自社就業規則違反を内容としています。

【相談内容】
1.札幌市内の警備会社勤務。警備員。雇用形態はパートタイマー。
  2000(平成12)年9月12日より勤務。
  週40時間以内、雇保・社保加入。交通費実費。時間給は最低賃金額。
2.入社時より半年雇用契約を繰り返している。2013(平成25)年4月1日以降も
  6カ月間の雇用契約を間断なく反復更新し今日に至る。本年4月1日に本年9月30日
   までの雇用契約を締結した。
3.本人は本年4月5日に直接会社に対して無期雇用契約への転換を申込だ。
4.会社は現在勤務する職場は10月1日以降、他業者の受注となるため、他の部署への
  移動を提示するとし、これが嫌なら退職しかないとした。
5.そして10月1日以降はビジネスホテルの客室清掃・1日2時間・最低賃金・交通費実
  費・社保雇保無が雇用条件とされ、雇用契約期間は半年とされた。
6.会社のパートタイマー就業規則では、「無期転換社員の労働条件」として、
  無期雇用転換をした従業員の労働条件は、雇用期間を除き、従前と同一とする、
  と定められている。
7.会社の対応はおかしいのではないか。アドバイスを!

【次のようにアドバイスしました】                  
1.労働契約法第18条は2013(平成25)年4月1日以降に開始した有期雇用契約が
  通算5年を経過したときは、当該労働者の申込により無期雇用契約に転換することを定
  めている。
2.また、この当該労働者の申込は申込時の有期雇用契約が終了する前に履行されることが
  要件であり、無期雇用契約への転換は申込時の有期雇用契約が終了した翌日から成立
  するとされている。
3.本人は2018年3月31日を以って通算5年の雇用契約を満了し、その後間断なく
  2018年4月1日から同年9月30日までの雇用契約を会社との間に確認し、そして
  同契約の履行期間中に会社へ無期雇用契約への転換を書面で申込だので、
  本年10月1日からは無期雇用契約への転換となる。
4.賃金労働条件は会社就業規則により、現行から下回ってはならないので、
  現給補償となる。
5.ただ、勤務地確定には時間を要する。
  現実的には会社と協議して勤務地含む労働条件を定めることになる。
5.労組対応を勧める。

60歳以上の労働者に対して、以上の様な対応が多く発生しています。一人で悩まず、是非労働相談電話を活用してください。

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労働相談現場から-7                                         退職妨害若者アルバイトが餌食⁉                               親を呼べ・代わりを探せ・損害賠償請求等々

9月19日の日本経済新聞朝刊に「退職妨害」に関する記事が特集されていました。全国の労働局への相談が急増し、解雇相談を上回る情況と報じています。私たちの相談窓口には一昨年あたりからこの現象が見られ今では相談の定番となっています。当初は学生アルバイトや退職後転職準備に励む若者がターゲットとなっています。今でも、若年層の比率は高いですが、人手不足の著しい業態では、中高年からも被害相談が寄せられています。寄せれらる相談内容を精査すれば、人手不足の原因は労働条件の低さにあります。低賃金・長時間労働・人間関係のモラル低下がみられる職場は人の入れ替わりが激しく、常に人手が不足しています。このような職場に応募し入職した労働者は「網」に絡まる「餌食」同様に、徹底的に貪られます。相談事例では「退職理由を親に聞くから親を呼べ、親が代わりに働くように言ってこい」、「退職は許可するが、代わりを見つけるまでは退職できないぞ」「退職することで生じた損害は倍賞請求する」等とすごまれたとの内容もありました。身体・精神等の被害が大きくなる前に相談場所に駆け込むことです。「労働相談」を検索してすぐに電話することです。当方も以下の電話番号で労働相談を受けています。一度相談してみてください。

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相談現場から-6 地震・台風時の休業補償                       労働相談電話を活用してください

この度の台風21号及び北海道胆振東部地震は大変な被害をもたらしました。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。また、救援活動・ボランティアにご尽力されている方々に対して心より敬意を表します。私たちの相談電話には、この度の事態に遭遇した方々から休業に対する相談が多く寄せられています。関係者の方の取り組みの参考になることを期待し、内容を可能な範囲で一部ご紹介させていただきました。

【相談内容

1.札幌市内のエステサロン勤務のアイリスト。正社員。勤務場所は札幌市内繁華街の商業ビル。JRの駅の側。7月1日から勤務。
2.この度の台風21号で8月の2日間本人勤務店が入居する商業ビルが閉鎖された。他の店舗で営業するところはある。
3.店長からは台風21号被害のため休業すると報告があった。
4.この2日間の賃金は補償されるのか。有給休暇はまだ発生していない。
5.賃金・労務の関係は全て、東京本社が一括管理している。
6.店長がシフト・業務の管理をするが賃金・労務は全く話ができない状態。
7.賃金計算は東京本部が一括で管理し、東京本部から賃金が振り込まれる。

【以下のようにアドバイスしました】

1.労働基準法第26条には「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければならないとされています。
2.ただし天変地異、災害等の不可抗力による場合はこれに該当しないとしています。
3.しかし、ここでいう不可抗力とは、①その原因が事業の外部より発生したものであること、②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であることの2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。
4.今回の台風による休業は、まず経営側が判断したこと、本人が通勤不能とはしていないこと、他の店舗では営業するところもあったこと、入居する商業ビルとのその時の関係が十分説明されていない、ことから、使用者(店)の責に帰すべききものと解釈できる。
5.よって、本人は労働基準法第26条に定める休業補償の支払いを求めることできる。

厚労省ではこの度の台風21号及び北海道胆振東部地震における「休業」への対応についてQ&A方式の考え方を示しています。その中では、前提条件は「今回の被災により、事業の休止などを余儀なくされた場合において、労働者を休業させるときには、労使がよく話し合って労働者の不利益を回避するように努力することが大切である」とし、「休業を余儀なくされた場合の支援策も活用し、労働者の保護を図るようお願いいたします。」と結んでいます。札幌地区ユニオン・札幌パートユニオンも相談対応に際しては、そのスタンスを維持し日々取り組んでいます。何れにしても、どちらか一方が救われれば良いというものではありません。知恵と勇気を互助精神で繋ぎ合わせ取組んでいます。厚労省からのQ&A方式の考え方は以下のとおりです。

台風21号関連の被害に伴う休業補償に関するQ&A

北海道胆振東部地震の被害に伴う休業補償に関するQ&A

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相談現場から-5 退職なら研修費用返せは?                             労働相談電話を活用してください。

新しい仕事に就いたとき、仕事に必要な研修を受けなければならないことが良くあります。研修内容によっては大変高額なものもあります。ただ、研修を受講し新しい職場で勤務しても様々な理由で退職を選択せざるを得ない場合が出てきます。この研修費用は退職時に返還する必要があるのでしょうか、という相談受けました。以下の通りです。

【相談内容】

1.札幌市内のホテルに3月1日より勤務した。
  ナイトマネージャーとして、20時から8時までの勤務。間に4時間は休憩と仮眠がある。
  1年の契約社員。
2.ナイトマネージャーは夜間の全館営業の責任者となるため、防火管理責任者の資格を要す
  るとされ、5月中旬の2日間、防火管理講習を受け、資格を取得した。
3.その後ホテルとの意見が合わず双方合意の上で、8月末退職となった。
4.ホテルは、退職に際して、勤務期間が予想以上に短期であることから、防火管理者の資格
  取得に要した費用を全額返還せよとした。
5.また、8月分給与(9月10日支給)より天引きするとした。
6.これは、返還義務はあるのか、また、合意なしに天引きの可能なのか。
7.本人は、返還・天引きに合意していない。検討するとしている。

【以下のようにアドバイスしました】

免許取得が業務上必要不可欠なもので取得が義務付けられている、そして労働 者本人の利益性が乏しいとされるとき、講習費用は従業員の業務に必要な技術取得等のための研修費用とされ、当然に会社負担とすべきとされている。
今回の防火管理責任者の資格は、個人の利益性は薄く、一方、当該ホテルのナイトマネージャー職には必須のものといえます。取得はホテルにとって利益があるものです。よって返還義務はありません。
天引きは、今回の件に限らず、一方的な行為は不可です。天引きされた場合は返還請求することになります。

職場の出来事で迷った場合、どうして良いか迷った場合、一度相談してみませんか?

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相談現場から-4 いじめ対応無理せずに                            労働相談電話を活用してください

札幌地区ユニオン・札幌パートユニオンでは職場のトラブルについての労働相談を電話で受け付けています。職場の人手不足がもとで大変な過重労働にんなっている、大変長時間の残業をこなしているのに残業手当が支払われないとの内容が多く寄せられています。これに加えて、職場の「いじめ・パワハラ」に関する相談も多く寄せられています。業務の指導や注意と労働者に説明するものの、内容をよく聞くと「いじめ・パワハラ」にあたるという、も多くあります。今日の報道でも行き過ぎた研修行為がパワーハラスメントにあたる事例が紹介されています。一人で悩まず是非労働相談の電話を活用してください。

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今日の研修と苛めの報道記事はこちらをクリックしてください。

相談現場から-3 有給休暇付与日数                                   週の労働時間・勤務日数が一定しない場合

さっぽろ労働相談センター・札幌パートユニオンの労働相談に有給休暇の付与日数についての質問が増えています。有給休暇の付与日数は、雇用契約に定められる労働時間・勤務日数を基準にした出勤率を基に算定されます。ただ、アルバイトやパートタイマーとして働く場合、勤務時間・勤務日数の特定が一週間ごとに提示される場合があります。そのような場合の有給休暇付与日数についての質問がお盆期間中に寄せられました。以下、内容を少しアレンジして掲載します。

Q:1.札幌市内の居酒屋、アルバイト。勤続がもう少しで2年となる。21歳で、求職活動の傍らのアルバイト。
  2.勤務時間・勤務日数共に、決まったものがない。休みだけは週1回(日曜日)。
  3.概ね、週4日勤務、6時間~8時間の勤務時間となる。一週間単位のシフトで働いている。
  4.地元のコンビニ経営オーナー店長の本業として開いているもので、学生アルバイトが多く、人員が一定しない。
  5.雇用契約書はある。勤務時間のところには、週40時間以内、シフト勤務としか書かれていない。休日は週一日日曜日とされている。
  6.このような場合有給休暇の付与日数はどう計算するのか。本人は就職活動に際して有給休暇が使えれば好都合と思うし、店長も使えと言っている。しかし、付与日数が判らないとしている。付与日数を教えて欲しい。


A(このようにアドバイスしました):

有給休暇は、雇用契約書に定める労働条件(出勤日数・勤務時間)の8割以上        の稼働を満たすと付与されます。週30時間以上の労働者と30時間未満の労働者とでは付与日数が異なります。内容は下表の通り。

有給休暇付与日数の早見表はこちら

週の所定労働時間・勤務日数が特定できない場合は、付与日直前までの勤務実績で算定するしかありません(通達で同様の内容が発布されています)。例えば1月1日に勤務開始のアルバイトは6月末の勤務を終了して7月1日に有給休暇が付与されます。そのさい1月から6月末までの勤務実績が満勤として60日であったと仮定します。60日を倍にして年間所定労働日数を仮定すると120日になります。120日の場合の6カ月後の付与日数は3日になります。
その後、1年間(7月1日から6月末まで)勤務し、勤務日125日であったとします。年125日の勤務日の1年6カ月のところは6日になります。7月1日に6日が付与され、前の年の3日と合算し9日がこの時点の保有日数となります。これから先、不明であれば再度電話ください。