相談現場から‐24 36協定は必ず制定確認・更新しよう!

働き方改革法案の中で一時「36協定」が注目されました。これを守らないと大変なことになるんだぞ、というような意気込みで政府は答弁していました。しかし、これまで36協定を熟知厳守している事業者は極わずかで、当節もこれに変わりはありません。むしろ、今の政府のゴリ押し気質を真似して「そんなもの無くても働けるだろう!」的振舞いも出ています。そんな相談をご紹介します。

【相談内容】

1.会社名・業種は伏せますが1カ月の変形労働時間制なるものを採用している会社です。
2.制定当初は「36協定」を作って労基に届けたようです。
3.私はその後の入社ですが、その後、何等手をかけていません。
4.先ごろの法案議論で気になったので調べましたが、従業員代表も事業主も退社引退
  しています。
5.私が、社長に36協定と変形労働時間はリンクしているので、整備しないと・・
  と言いかけたところ、そんなもの無くても働けるだろう!と一括されました。
6.労基法違反と思うがどう対処したらよいか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.変形労働時間制は1日8時間・週40時間を超えて勤務すると定めることができます。
2.そうなると、36協定を労使で確認し、1カ月の変形労働観制で時間管理をすること
  対象労働者の件、一日の最大労働時間数、1週間の最大時間数を定め、その上で
  月の所定労働時間内で納めますという確認をする必要があります。
3.そして、更に残業の上限を設定するのであればその時間を確認することになります。
4.この規定があって初めて、変形労働時間制で勤務し残業も可能ということになります。
5.これが無く、無協定で実施していれば、労働基準法違反として処罰されます。
6.処罰内容は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
7.大概、処罰が科される前に是正勧告が出されます。
  そして、今の労基の姿勢としては、是正勧告と共に企業名公表となります。
  労基・労働局としても、人員削減の圧力を跳ね返したいこともあり、
  これだけ頑張っているのだ、というアピールをしたいわけです。
8. 誰か一人、従業員のみならず、その家族が飛び込んで申告すると手続きが進みます。
9.これを説明しても36協定を無視するのであれば、実際に労基に指導してもらうし
  かないです。そうなる前に、労使協定をということです。

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相談現場から-21 乱暴な解雇が増えてきた!

年末を迎えます。毎年この時期は乱暴な解雇が増えます。労働者の中には「そんな解雇をする会社には愛想をつかし他社へ行く」と割り切る方も増えてきました。でも、本当に不合理な内容で解雇を告げられたならば、最低限の白黒は付けるべきでしょう。そんな相談が寄せられました。

【相談内容】

1.10月29日、月曜日に会社から解雇を通告された。
  通知書面に記載された理由は有給休暇取得に不正があるとのこと。
2.不正内容は、有給届出用紙の理由欄に「私事」としか記載せず、何度注意しても改まらず、
  詳細な理由を報告しないため、とされていた。
3.残有給が20日あるため、11月27日まで有給消化とし同日付で退職とした。
4.昨日、離職票が送付されたが退職理由が自己都合・一身上の都合によると記載されていた。
5.会社から解雇通知書があるのに自己都合退職とはならないのではないかと考えるがどうか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.そもそも解雇理由としては成立しない。解雇権濫用。
2.有給休暇の理由を報告しないことを解雇理由とはできない。
2.有給休暇取得に理由申告を条件とすることも取得妨害、労基法違反。
3.本人は、解雇無効を申し立てることができるし勝訴の確立はかなり高い。
4.また、会社都合解雇の離職票取得のみに絞るのであれば、解雇通知と離職票を持参し、
  ハローワークで異議申し立てすれば問題ない。
  100%変更になる。ハローワークの職権で発行する場合もある。

心を折らさず、一人で悩まず、相談してみましよう!

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労働相談現場から-20 派遣労働者の受難は止まぬ!

「無期契約でも1カ月間仕事を探しても見つからなければ退職」

派遣会社はしたたかだなぁ~、こう思わせる出来事が報道され、労働相談にも寄せられました。11月20日、日本経済新聞は派遣社員の「雇用安定措置」である「3年ルール」の無力化を強行する派遣会社の実例を紹介しました。派遣期間が3年を経過した場合、無期契約に切り替えるものの、会社が当該社員に業務を1カ月間提示できず、その旨通知して30日経過すると退職になるというものです。厚労省からは注意喚起の呼びかけがネット上に流されました。

中途解約も依然横行しています。

労働相談では中途解約の事例も寄せられています。派遣先・派遣元が一体となって進めています。法律を学ぶ、守る、活かすという姿勢が欠如しています。

【相談内容】

1.派遣労働者。業務は不動産会社のデーター更新業務。
  勤務時間は9時~17時、1時間休憩。
2.3カ月の派遣契約。10月1日から派遣先不動産会社で勤務している。
3.11月19日に更新の件について話し合いたいと派遣元営業から申し出があった。
4.本人は次の内容を理由に断った。派遣契約の際に提示が無い業務がどんどん追加され、
  野外・社外でのデーター収集業務も加わっているため。
5.この発言と共に派遣先管理者の顔が険しくなり派遣元の担当営業の顔色も変わった。
6.そして、その直後、11月末をもって派遣期間を終了すると言われた。
7.これは、法律違反ではないのか。どうしようもできないのか。

【以下のようにアドバイスしました】
1.派遣法で禁じている「中途解約」です。
2.本人には11月末以降12月末日までの賃金請求の権利があり会社には支払い義務が
  あります。是非請求しましょう。
3.また今回の派遣契約には派遣元・派遣先会社による契約不履行(契約外業務の強要)が
  あるので退職について慰謝料請求(解雇予告相当)が交渉によっては可能です。
4.組合対応を前提に検討してはどうですか。
5.行政担当窓口は北海道労働局の雇用環境均等部、又は職業安定課需給調整事業室です。

雇用安定措置の無力化は「無期雇用転換」の申請時にも見られます。「無期雇用転換」により正社員同様の就業規則が適用となった結果、地方への転勤・配転の対象となる、みなし残業手当支給の対象となり長時間労働を命じられる、そして定年制の対象となり60歳で定年を余儀なくされ以後1年毎の契約社員に転ずる(無期雇用転換前は定年の定めなし)等です。これじゃ何のための法律改定議論をしたのかわかりません!

それでも諦めずに皆で相談しながら働きましょう!

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相談現場から-19 退職時の違約金請求はビビル! でも…

1年以内に退職したら「研修料」としてお金を支払え、採用経費を支払え、雇用契約書に書いてあるだろう! と迫られたことはありませんか?こんな請求は応ずる必要はありません。一旦その場を離れることだけを考えすぐに労働基準監督署や労働組合に相談しましょう。今日もこんな相談が寄せられました。

【相談内容】

1.某エステサロン勤務。現在契約社員。1年間を研修期間とし終了すると正雇用となる。
2.現在勤続7カ月目。月給制。賞与(夏冬)、燃料手当・決算手当は無い。
  正社員雇用後は支給とのこと。
3.店の開店は10時から22時。出勤は開店1時間前、退勤は閉店1時間後。
  実動8時間だが、それ以外は社内研修と称した指導又は自習。
4.しかし、大半は、業務の補助。この指導・自習の時間帯は賃金なし。
5.逆に研修期間中の退職は研修費用の弁済金20万円の支払い義務を負うとされている。
6.本人は長時間拘束や研修期間中の暴言・パワハラが苦痛で退職したいと考えている。
7.ただ、20万円の支払い義務は本当に負うのか聞きたい。

【以下のようにアドバイスしました】

1.労基法第16条では賠償予定の禁止を定めています。
  退職するなら違約金を支払え等、労働契約の不履行に対する違約金を定めて
  損害賠償額を予定する契約は禁止しますというものです。
2.また、このエステサロンの研修はどう見ても社内の独自研修で業務に関する指導の範疇
  です。研修費用は発生しません。会社のぼったくり又は恫喝といえるもので悪質です。
3.逆に研修期間中の時間は残業手当として請求が可能です。
4.それでも、請求期間中は会社と交渉状態になるので接触の可能性はあります。
5.労働組合に相談してはどうですか。

職場の中であんな風に「違約金払え」といわれたらビビりますよね!でもちょっと勇気をもって我慢し相談してみましょう!

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相談現場から-18 面接のときと話が違う⁉

求人誌でこれぞと思う仕事を見つけ、入念に準備をして臨む時は自分の集中力の高揚を感ずるときがあります。そんな時に受け取った採用通知はとても嬉しいのですが、話がちょっと違うのではないかと思うときがあります。中途入社の面接や評価プログラムの中の評価者面接で何度か経験しました。そして結構落ち込んだときもありました。そんな昔を蘇らせるような相談がありました。以下の通りです。

【相談内容】

1.某誌に掲載された募集広告に応募した。
  内容は大学事務職員、正社員、総務経理事務職経験5年以上尚良、給与等法人職員規定
  による・賞与有(昨年実績年間4カ月)、仔細面談、とのこと。
2.早速履歴書・職務経歴書等を作成して応募した。
3.2次面接等を経て採用となった。今年10月1日付採用。
4.10月1日に同日付雇用契約書が交付された。同雇用契約書には試用期間3カ月と記載
  されていた。
5.そして、その間は契約社員待遇とするとされていた。現在は契約社員とし勤務している。
6.面接時には3カ月間の契約社員の件は説明されていない。
7.給与は今月10日に支給だが、額面は面接説明時と異なるのかどうかもわからない。
8.中途入社でせっかく得た正職員の仕事だと思ったのだが、いかがしたものか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.正論から言えば、職安法違反。本人が主体的に退職・契約打ち切りを宣言できます。
2.ただ、3カ月間の給与内容や1月1日からの契約更新内容を見て判断しても良いの
  ではないかと思います。
3.その時点で未だに契約社員であれば、組合対応として交渉することをお勧めします。
  結構体力・気力を要します。

多くの面接者の中から選りすぐられて採用となったのでしょう。きっと朗報があります。やっぱり納得がいかないと思えば一度電話してみませんか。

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相談現場から-17 「明け番」の「公休」扱いはダメ!!

24時間で営業・開業する事業所では従業員がシフト勤務で対応するケースが多く見られます。その際、週・月の所定労働時間の枠内でシフトが編成されます。職種によっては、一勤務が2日分の所定労働時間で構成される場合もあります。所謂、「泊勤務」というケースです。夕方に出勤してきて翌日の朝に退勤というものが典型ですが、この退勤の日を「明け番」又は「明け勤務」と称することが多く、ホテル等では通称となっています。この「明け番」又は「明け勤務」を公休として扱うことはできません。既に一勤務分働いているので帳消しにはできないのです。これに関わる相談が寄せられています。

【相談内容】
1.高齢者介護施設勤務。介護職員。10月1日付採用・勤務開始。経験者。
  1カ月間は試用期間のため9時~17時(1時間休憩)の勤務。
2.勤務はシフト表に定められる。1日実動7時間、週40時間以内、
  年間公休104日の勤務。
3.シフト表に記載される夜勤者の公休日数が少ないと思い、先輩同僚に確認した。
  すると、夜勤明けは公休のカウントとの、返答が返ってきた。
4.夜勤の場合は17時~9時(2時間休憩)。日勤者は8時30分に出勤してくる。
5.夜勤明けの夜に再度夜勤というシフトもあるとのこと。
6.労基法的に違反ではないのか。
【以下のようにアドバイスしました】
1.就業規則、勤務シフト表及び給与明細を確認する必要はある。
2.この施設の場合、夜勤明けは公休とはならない。
  夜勤明けの公休は7時間分の賃金が未払いとなる。
  また、一週間に6日勤務もあるとのことなので、この場合も3回夜勤があれば、
  3勤務・3公休と取り扱うとのことだが、正しくは6勤務である。
3.この場合は、6勤務で42時間となり、週40時間を超過している。
4.残業計算も正確にしなくてはならない。
  1日7時間、年間公休104日の場合、1,827時間が年間所定労働時間。
  月所定労働時間は152.2時間。これを超えると残業の対象。
5.未払残業が相当累積すると考えられる。当方か労基来所の上相談されると良い。

人手不足の折、長時間労働をお願いされ、断れない・断りづらいとの声が良く相談の中で出てきます。今のちょっとした我慢が管理職や事業所のその場の危機を救うかもしれません。でも、根本的なところを議論して事業所改善に目を向けるようにしなければ、労働者が壊れ、事業所もなくなりかねません。勇気をもって残業をお願いするのではなく、勇気をもって改善について議論することが必要です。労働相談電話をご活用ください。

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相談現場から-16 勇気をもって退職しよう!

面接後に働いてみると「ブラック企業」だった。退職したいけど何だかんだと強談判が続いて退職できない。このような相談が最近寄せられましたのでご紹介します。組合員さんのお子さんが被害者でした。内容は以下のとおりです。

【相談内容】

1.札幌市近郊の運送会社勤務。建築・土木工事用の資材運搬が主たる業務。退職したい。
2.次の件がネックになっている。
3.中型免許・作業車運転・操作免許の取得を義務とされた。
  会社に借り受けという形で取得した。その費用は2年以上の勤続で全額会社負担、
  1年以上の勤続で半額会社負担、勤続1年未満の退職者は全額個人負担、とされた。
  本人は、勤続11カ月なので全額負担となる。支払うつもりではいるが、労基法的には
  どうなのか。
4.勤務時間は通常8:00〜17:00。休憩一時間。固定残業手当が支給され、30時間分との
  こと。それ以外は一切支給されない。
5.ただ、実労働時間は長時間労働の最たるもので、不払い・サービス残業の宝庫、
  どうにかしたい。
  ①出勤時間は6時限定、この時間でなければ間に合わない。
  ②退勤時間は概ね21時。その日の中に帰宅はできるが、休憩時間を取得することは
   不可能。なので休憩時間なしの15時間労働(最低でも)。
  ③休日出勤は頻繁。休日出勤も支払われたことはない。
   全て固定残業手当に含むとされた。
  ④仕事中に脱水症状で病院に搬送された。
   その際、治療費などは健保扱い・本人負担とされた。
6.これらのことを退職にあたりクリアにしたい。できるだろうか。
  退職と並行して実行可能だろうか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.不法行為を理由とした退職は可能。即日も可能だが14日間の期日を設けて退職する
  事を検討してはどうか。
2.退職届と同時に以下の点について請求又は通知書面を提出してはどうか。
  ①の免許費用の件 労基法で禁止する前借金契約(労基法第17条)に相当するので
   無効。返済不要。支払わないと通知すること。
  ②から③は残業時間を算定して固定残業手当とのり差額(不足)分を請求すること。
   タイムカード・時間のメモ・給与明細等を活用して計算。
  ④は労災隠し。重大・悪質な犯罪行為。治療費など全額請求するか、労基に改めて
   労災の本人申告をすること。会社には労基の指導に基づき、手続きの受理に協力するよう
   通知すること。
3.以上の件が対応としてはお薦め。
  ただ、組合対応でなければ困難。組合加入を前提に検討してはどうか。
  検討して連絡されたい。

不法行為により利益を確保しようというブラック企業の犠牲者は労働者の中でも、若者・女性・経済的困窮者等、強い言葉に対して言い返せない、気弱な方が大半です。どのような境遇であっても法律を行使して身を守り権利を主張することは認められるべきです。労働組合がお手伝いします。職場の労働相談、是非電話してみてください。

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相談現場から-15 労災・通勤災害になるか?

出勤途中・会社から帰宅途中に罹災した怪我は労災対象となります。この場合療養給付や休業補償の給付により安心して治療に専念できます。労災適用の判断は労働基準監督署が行います。会社の労務・総務担当者が判断するものではありません。時には、第一次判定者をきどる労務・総務担当管理職が罹災した従業員に迷惑をかける場合があります。こんな相談がありました。

【相談内容】

1.札幌市内・郊外の高齢者介護施設に勤務。正職員。
  ヘルパー、資格あり。介護職員初任者研修。
2.通勤は汽車通勤。JR最寄り駅まで自転車10分、最寄り駅からJRで30分、
  その後徒歩5分。帰宅はその逆パターン。
3.今月初旬、帰宅途中に坂道で躓き転倒し、肩を痛めた。
4.整形外科で診断を受け、診察の結果は「亜脱臼」とのこと。
5.現在、治療は整体クリニックにメインで通っている。
6.勤務は軽作業。今でも力を入れると痛いので、職長に説明し振り替えてもらっている。
7.労災申請について、通勤災害としたい旨を職長に申し出たが、職長は、届け出の
  通勤ルート・手段と異なるとし、法人内の理解が得られない、としている。
8.実際、罹災した日は、雨のため、JR駅から自転車で帰宅することができずに、
  徒歩で帰宅たもの。
8.通勤災害とは認められないケースだろうか?

【以下のようにアドバイスしました】

1.労災適否の判定は労働基準監督署の専権事項です。
  職場上司・労務・総務担当者が判断するものではありません。
2.便宜上資料管理がしやすいということで会社等から届け出るケースが多いだけです。
3.本来は本人申請です。
4.今回のケースは通勤経路は一致しているが、手段が異なるだけ。
  手段が異なることにも合理性があり、純然たる通勤の範囲です。
5.通勤災害として認められます。
6.会社から申請しないと言われた場合、本人申請することを告げることです。
7.その件で不利益があれば再度電話してください。

職場でのトラブル・働くうえでの困り事、あきらめずに電話してみませんか!電話番号はこちらです。相談無料・秘密厳守です。

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相談現場から-14 有期雇用契約期間中に解雇

期間の定めのある雇用契約で働く方の選別が事業者側から恣意的に強行されるケースが多いのではないでしょうか。人手不足とはいえ、パート・アルバイト・契約社員等の有期雇用契約で働く方々の職場は、人の入れ替わりが激しく、その理由に「事業者に気に入らない」とされた、という内容が結構存在します。以下のような相談が寄せられました。

【相談内容】

1.飲食レストランのホールスタッフ。時間給契約社員。2012年9月1日付採用。
  雇用契約書は2月末までの6カ月雇用となっている。3月~8月が次の契約。
  6カ月雇用の繰り返し。勤続6年経過。
2.更新の有無は、更新する場合があるとされている。
3.今日、16日に解雇予告を受けた。書面あり。解雇日は30日以上後の11月末日。
  給与が末締めの翌月15日支払なので配慮したといわれた。相手は店長。
4.フルタイム勤務なので、雇保・社保は加入している。
5.書面に記載される解雇理由は就業規則の解雇理由に基づくとし、「勤務態度が著しく
  不良で職場の風紀を正常な業務運営を阻害する」及び「他の社員との協調性に著しく
  欠け、改善の意思がない」となっている。身に覚えがないし、例示説明もない。
  以前より、店長とは相性が悪いと思っていた。
6.本人としては体もキツイので、解雇を受けてれてもよいかなと思うが、契約期間の
  2月末までは雇用期間を保つのが妥当ではないかと思う。
7.このようなことは無理か?
8.ネットでは労働契約法第17条に、「やむを得ない事由」があれば有期雇用契約を解消
  できるとされている。本人にもこれにあてはまるのか。

【以下のようにアドバイスしました】

1.6カ月の反復更新を6年繰り返しているので事実上は雇用の期限はなくなっています。
  今は、雇用契約を解消する場合は正社員同様に合理的理由が必要です。
  これは、労働契約法第17条の適用時も同様で、「やむえない理由」であっても
  合理性がなければ解雇権濫用とされ無効となります。
2.合理性があるとは、客観的事実について双方がこれを認め、これが就業規則や法令に
  照らし明らかに反するということです。
3.なので、今回の書面の様に指摘しただけでは合理的な解雇理由があとはいえません。
4.あくまでも事実を客観的に確立することが必要で、その事実が規則に反すること、
  そして、会社が改善の努力をしたかどうが問われます。
5.会社の主張がとても不足しています。
  ご本人は一度、労組・弁護士等と相談し主張を整理した方が良いです。
6.2月まで雇用期間を確立することは困難ではありません。

皆さん、相性が合わなくても、気に入らない上司と思っても、理不尽な対応には、投げやりにならず、ちょっと勇気を出して相談してみましょう!相談電話は以下です。

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相談現場から-13 みなし残業手当の誤った運用

会社にとって人手不足は深刻な問題です。しかし当節、労働環境の悪い会社には中々人材が定着しません。悪い労働環境の代表が長時間労働と残業手当の不払です。そして、残業手当不払のために悪用されるのが「みなし残業手当」・「固定残業手当」です。両者とも同じです。寄せられた相談事例は次の通りです。

【相談内容】

1.札幌市内の居酒屋・食事チェーン店管理職。道内に10店舗を展開している。正社員。
2.就業規則では、公休4週8休、1日8時間のシフト勤務と定めている。
3.店長は管理職とされ、みなし残業手当が支給される。
  そのため残業手当は支給しないとされている。
4.人手不足もあり、公休は月1日程度、22時以降明け方までの勤務も頻繁にある。
5.膨大な残業時間とみなし残業手当の額を比較する納得ができない。
6.就業規則の記載も表題があるだけで、時間・金額の記載が全くない。
7.当面、直には退職しないものの、不利益分の回収はしたい。
8.可能か。

【以下のとおりアドバイスしました】

1.みなし残業手当(固定残業手当)を運用するためには、就業規則への記載が必要です。
  そして、①従業員へ周知、②金額と時間を明確に記載する、ことが要件とされます。
  今回はいずれも履行されていないので法律違反です。
2.金額と時間が従業員毎に異なるのであれば、就業規則を基に個別労働条件説明書等を作成し
  要件部分の内容を明記し当該従業員に説明し同意を得なければなりません。
3.現在の状況で不利益分を回収(未払い残業清算)するためには、総残業時間・手当から
  支給された手当の総計を控除して金額を算出し請求するのが簡便です。
4.資料作成の時間とノウハウが必要です。
5.詳細は、労働組合等に相談して進めてはどうでしょう。一人では気持が折れがちです。

怒り心頭に発して、辞めてしまう前に労働組合に相談してみましょう!同じ経験を味わった組合員もいると思います。是非、ご相談ください。

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