相談現場から-10 高齢者の雇用選別を就業規則改定で!                           労契法第10条悪用への対処は労組結成で!!

労働契約法第8条は労働条件の変更には労働者の合意が必要としています。また、同第9条では就業規則により労働条件を変更する場合であっても一方的に不利益変更としてはならないと定めています。ただ、同第10条では次の要件を満たせば、就業規則による労働条件不利益変更を認めるとしています。その要件は①使用者が「変更後の就業規則を労働者に周知させ」たこと②「就業規則の変更」が「合理的なものである」ことです。この内容を活用(悪用)して高齢者の雇用選別を実施されたとの労働相談が寄せられています。

【相談内容】
1.札幌市内の警備会社勤務。パート雇用。6カ月雇用の反復更新。
2.平成12(2000)年から勤務。
2.入社時のパート従業員の就業規則では定年は60歳となっていた。
3.2013年11月に就業規則を改定し、60歳を超えているパート従業員のうち
  申し出があれば都度契約を更新するとされた。
4.この度、本年11月1日付で雇用契約を改定するとの通知が来た。
5.内容は定年年齢を65歳とし、改定日時点で65歳を超過しているパート従業員は、
  直後の契約満了時を以って退職とするとのこと。
6.本人は、4月~9月、10月から3月の雇用契約パターン。
7.11月1日で新就業規則が発足すると、来年3月末日が退職となる。
8.2013年11月改定の内容と比較して相当な不利益変更となる。これは阻止可能か?

【以下のとおりアドバイスしました。】
1.個人レベルの内容として捉えれば明らかな不利益変更。
2.労働契約法8条により本人の同意を得られなければ変更は不可能。
3.これを労働契約法第10条の観点から手続きを進めると、個人にとって不利益でも
  変更の必要性が合理的であれば、可能とされる。
4.従業員へ変更の必要性を説明し従業員代表から合意を得て、の周知がなされれば、
  変更は可能となる。
5.従業員代表の素養と責任感の持ち方が重要。
6.しかし、個人対応では限界。反対は思うほど容易ではない。
7.労働組合による法的組織対応が必要。
8.一度来館して、詳細の進め方を相談しましよう。

就業規則改定の際、会社・事業主は速さと力を駆使して一気に寄せてきます。法律を盾にすることは口では言えても、個人のレベルで対抗できるものではありません。是非、労働組合の取り組みとして考えてみませんか。一度相談電話をご利用ください。

札幌パートユニオン 011-210-1200

札幌地区ユニオン  011-210-4195