裁量労働制は所定労働時間に捉われない自由度の高い働き方が可能なもの、自分流に仕事をこなし、効率的に高い生産性を確保できる、労働者のキャリア・能力向上に資するもの、として安倍政権時に経済活性の切り札として適用範囲拡大に執着したものです(下記ホームページ参照)。
当然、労働組合や労働弁護団等は過労死前提の働き方として大反対しました。また、労働実態がデーターとして正確に把握できず国会答弁もままならない状況で、功罪定まらず適用範囲は現行のままとなっています。最近また、この裁量労働制の適用拡大が「必要」ではないかと着目されています。手続き・管理の煩雑さ等が改めてはっきりとした今、経営側は及び腰で議論は進んでいないように見えます。しかし、ここで、何を理由に「裁量労働制適用拡大」を政府こぞって進めようとしているのか考えてみました。予てより、労基法第41条2号には「管理監督者」について定めています。この管理監督者の指定を受けた労働者は、それこそ勤務時間の制約を受けず、出退勤時間の制約もなく働くことになります。業種の指定もありません。裁量労働制よりも導入は遥かに簡単です。ただ、ネックは「労務管理について経営者と一体的な立場にあり、地位と権限にふさわしい賃金上の処遇を与えられていること」が定められていることです。管理監督者にしてしまえば金はかかる、裁量労働制該当労働者とすれば自己啓発・能力向上・キャリアアップが可能、加えて生産性も上がり会社貢献にもなる、これが裁量労働制適用拡大の本音でしょうか。それだらセコイ!