「クビハラ」に悩む会計年度任用職員

CUNNは11月10日、メール通信NO.2391を配信し、連合通信隔日版が報じた「非正規公務員のハラスメントの実態」を紹介しました。10月29日に大阪市内で開催された「なくそう!官製ワーキングプア大阪集会」では全国から500人を超える回答が寄せられた会計年度任用職員(非正規公務員)の ハラスメントアンケートが公開されました。アンケートの自由記述を分析したところ、「クビハラ スメント」に悩む記載が目立ったとしています。細は以下の通りです。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.2391 2023年11月10日
1.(情報)「クビハラ」など生々しい告発/ジャーナリスト 東海林智
                           231111連合通信・隔日版

〈働く現場から〉
 全国から500人を超える回答が寄せられた会計年度任用職員(非正規公務員)の
ハラスメントアンケート。約7割の人がハラスメントを経験しているという結果も驚
きだが、自由記述欄に記された意見は、ハラスメントの現場を生々しく告発するもの
だった。大阪市内で10月29日に開かれた「なくそう!官製ワーキングプア大阪集会」
で、公表された自由記述を分析した結果から見えてきたハラスメントの特徴を報告す
る。
 アンケートの自由記述を分析、報告したのは、「非正規公務員voices(ヴォ
イセズ)」のメンバーで、自治体で婦人相談員を務めていた藍野美佳さん(56)と、
関東地方で働く非正規公務員の女性の2人。2人は全回答を読み込んで、その特徴ご
とに12の項目に分類した(表)。
 非正規公務員のハラスメントの大きな特徴として上がったのが、(1)「クビハラ
スメント」だ。これは、1年更新である不安定な立場であることにつけ込んだハラス
メント。仕事で意見を述べると「うるさい。クビにするぞ」「(雇用契約の)更新は
ないかもな」などと言われた例があった。実際は、契約途中での一方的な雇い止めは
法に反するが、「クビ」とどう喝することで、非正規は自由に物を言えない雰囲気が
作られているものとみられる。
 (2)では、ハラスメントを受けると、「職場の親睦会に呼ばれない」「上司のハ
ラスメントなので見て見ぬふりをされる」などの孤立を強いられる事例が多数あっ
た。(3)では、非正規は雇用期間が短い(1年更新)ことを理由に、何がハラスメ
ントにあたるのかなどを学ぶ研修会に参加できなかった例が多かった。また、研修内
容が安易でハラスメントを理解しない正職員が多いなど研修体制の不備を指摘する声
もあった。
 (4)のハラスメントの相談体制については「相談を受ける職員がハラスメントを
している張本人」「正職員を守るため非正規の相談はもみ消される」「雇い止めが怖
くて相談できない」などの記述が目立った。そうした状況のため(5)のようにハラ
スメントが原因で退職に至るケースが多く、「がまんするか退職かの二択」「相談が
もみ消され黙って退職するしかなかった」などの悲痛な記述があった。研修体制同
様、相談体制にも不備があることが分かった。

●人を雑に扱う制度

 市民サービスへの影響(6)との指摘もある。「専門性のある仕事を非正規に担当
させているから、非正規が退職すると、その穴は専門性のない正職員では埋められな
い」「黙っていれば業務に支障が出るような問題でも、指摘すると怒鳴られる」など
の声も。
 その他にも記述からは(7)~(12)の傾向が見られた。特に(9)は、「非正規
は外部の人扱い。ハラスメントを訴えても守られるのは正規」「体調を問うアンケー
トに『メンタル不調』と書いたら消すように言われた。その際、『消さないと更新で
きない』とも言われた。正規ならそんなことはないのに」など、正規と非正規の身分
差別とも言える状況が浮かんでいる。
 藍野さんは「非正規公務員へのハラスメントの背景を分析していくと制度の矛盾が
吹き出してくる」と感想を述べた。報告に同席したジャーナリストの竹信三恵子さん
は「会計年度任用制を導入したことで1年間の短期雇用が合法化され、使い捨てしや
すくなり、研修や相談などで人が雑に扱われているように見える。非正規公務員が物
を言えないような状況を打破していかないといけない」と話している。

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