地方最低賃金審議会に勇気ある苦言 ~エビデンスに基づく審議会形成と知る権利に対する誠実対応が必要~ 山口県の話です 

山口県地方最低賃金審議会公益委員を今年春に退任された松田弘子弁護士が在任中の体験から審議会改善の必要性を、連合通信のインタビューの中で訴えました。オールアウエイーの中でのご奮闘に拍手を送るのと同時に私共の活動の非力さを改めて反省しました。諦めずに意見を言い続けることの大切は痛感しました。連合通信のインタビューの内容は以下のとおりです。

◎ CUNNメール通信 ◎ N0.1578 2019年7月29日

1.(情報)インタビュー/エビデンスに基づく審議を(上)/
                            山口最賃審の前公益委員 松田弘子弁護士
                                          190727連合通信・隔日版

 最低賃金の改定審議の改善を訴えている前公益委員がいる。山口地方最低賃金審議
会で委員を今年春まで7年間務めた松田弘子弁護士だ。「改定審議は形骸化してい
る。エビデンス(根拠)に基づく審議が必要」と主張。審議が非公開とされている現
状についても「知る権利の侵害だ」と是正を訴える。

 ――任期を振り返っての感想は?
 松田 委員就任は、任期途中に辞められた前任の弁護士に頼まれて引き受けたのが
       きっかけ。審議に関わっているうちに最低賃金の大切さを実感した。
       でもその割に審議は形式的で、意見を言う人は煙たがられる。何も言わずに
       帰る人が好まれる席なのだということが分かった。
      どの回も労働局が作成したシナリオがあり、公益委員と事前の打ち合わせを
      していた。そこに書かれていた「異議なし」の記載通り、実際の審議でも「異
      議なし」との発声があり、事前に事細かに決めていたようである。
      最初はこれが最賃の改定審議なのかと大変驚いた。
     さらに驚いたのが、引き上げの根拠となる資料がないことだ。
     「生活保護を上回っている」というが、比較方法に関する説明はない。
      経済情勢など、立派な資料はたくさん用意されるが、最低限必要な生計費の指
     標が全くない。あるべき水準が議論されないまま、第2次安倍政権発足後の20
   14年以降は毎年目安通りに決まっている。こだわっていたのはせいぜい、
   同じCランクの岡山に追いつきたいということぐらい。
   それもかなわないでいるのだが。

 ――地方最賃審は必要?
   今のあり方だと地域別最低賃金については必要ないと思う。
   中賃がしっかり決めるか、全国一律にすればいい。特定最賃をどう扱うかによる。
   最賃が「労働者の生活の安定」「労働力の質的向上」の要請を満たすためには、
   非正規労働者などの実情を調査する必要がある。山口の実情をつかむために1
   年間かけて県内をくまなく回り、調査・研究を行ったり、健康で文化的な生活を
   送れる最低限の生計費を積算したりするならば話は別だ。
   厚生労働省と山口労働局がそういう作業をきちんと行うのであれば必要だろう。
   山口での最低生計費がどのぐらいの水準であるべきか、中小零細企業の状況は
   どうか、引き上げる時と引き上げた後、この二つの影響調査が必要だ。使用者
   側は「経営が厳しい」と根拠もなく相場観のような話ばかりしている。
   そんな審議ならば意味はない。
   昨年の審議では、最賃近くで働く人が多い県内かまぼこ製造工場への視察を労
   働局が提案した。だが、対象になった会社は、低賃金という印象を与えるのを
   嫌い拒んだという。そりゃそうでしょう。そんな付け焼き刃ではなく、国の責
   任で大規模な調査をするべきだと思う。
 
――委員の日当は?
   出席謝金という名目で、1回につき税込み1万7700円。
   形骸化したセレモニーのためにこれだけの支出が必要か、今となって考えると
   悩ましい。

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インタビュー/非公開は知る権利の侵害(下)/
                    山口最賃審の前公益委員 松田弘子弁護士

 ――改定審議が非公開にされています

 松田 山口地方最賃審は自由闊達な意見表明を保障するとの理由で審議を非公開に
    している。でもそれはおかしな話で、公開することによって発言が拡散し、
    発言に対する責任を問われるのが嫌ならば、委員の就任を辞退すべきだと思う。
    労使委員は選出された団体の利益代表者ではない。委員に就任した以上、
    公開の場であれ非公開であれ、労働者、使用者の全体の代表としての責任ある
    発言をすべきだ。非公開にすることが、最賃の影響をじかに受ける人たちの
   「知る権利」を著しく侵害している。審議の議事録を入手するために情報開示
    請求をしなければならない事態は異常だ。
    非公開にしても一言も発しない委員がいる。任期途中に転勤で山口を離れ、
    その後一度も出席しなかった人もいた。
    それならば、委員に立候補している非連合の労組に席を譲るべきだ。
    少なくともナショナルセンターの組織規模に応じて委員を配分するのが
    公正ではないか。
 
――山口県弁護士会が2017年に初めて最賃について声明を出しました
 
    声明では、最賃の影響を受ける非正規労働者や、生活困窮者の就労支援を行ってい
    る人、社会保障の専門家を委員に加えるべきだと訴えた。
    声明を山口労働局に手交した当日、公益委員だけの会合があった。
    会長声明に対し「社会学者ではだめなのか」など随分慌てていた感じだった。
    しかし結局、何も結論は出なかった。
    外から意見を言われることがないのでしょう。声明はインパクトがあった。
    地方議会での意見書採択も効果があると思う。
    最低賃金審議会や労働局にどんどん意見を言っていくべきだ。

●審議会の外で会議

 ――いつ頃から疑問を?
    15年に意見陳述を認めるかどうかについて議論した時、別の公益委員と私が
    条文で定められているのだからやるべきだと主張した。
    それに対し「意見書が出ているので必要ない」と後ろ向きの意見が出た。
    結局「他県もやっているから」という理由で初めて認められた。
    横並び意識の強さを感じた。
    特定最賃の審議でも理解に苦しむ運営があった。
    金額改定については3回で決めるのが、山口ルール。毎年初回は労働側が、
    2回は使用者側が主張し、そのあと審議会の外での会合をはさんで第3回で
    決める。私は「特定最賃の問題を審議会の外で話し合うのはおかしい。
    審議会内で話し合うべき」と訴えたが、「労使のイニシアチブで決めるから」
    と押し切られた。
    経営が厳しいので最賃を上げられないと主張する使用者側に対し、
    エビデンス(根拠)を示すよう求めると、その委員は「裁判ではないので
    立証責任はない」と述べていた。
    はなから立証を放棄する発言が認められている。改定審議が機能している
    とはいえない。
 
    絶対に闘わなければならないと思ったのが、
    気機械の特定最賃(当時815円)の見直しだった。
    軽作業を適用除外にし対象範囲を狭くする案件で、私が委員に就任する以
    前に公益側が「そういうことを労働側が言い出すのはおかしい」と反対し、
    沙汰止みになった、と聞いていた。
 
    それが17年に亡霊のように出てきた。しかもまた労働側からである。
    私は「適用除外業務の見直しにより賃金の切り下げなどの不利益を生じさ
    る申し出を行うのは、労働者代表委員としての職責を放棄しているとの
    誹(そし)りを免れない」「適用除外の見直しの必要性、許容性がない」
    として反対した。

    その時、審議会でも専門部会でもない「公労使意見交換会」なる非公式の
    会合が開かれた。これは全会一致の議決に至るよう努力するとの運用方針
    があることから、反対する私を説得するための会議。
    終了予定時刻も示されず、1人で14人を相手に闘う形となった。
    のすごい同調圧力だったが、主張を曲げず、対象範囲を狭めさせなかった。

 ――4月で任期満了で委員を退任されました
    公益委員の任期は1期2年で、本来10年は務めるものと聞いていたが、
    今年4月、任期7年で満了となった。異論を言う人間が目障りだったのだろう。
   委員の任期を終え、今後は公正な審議を行うよう訴えていきたい。
 

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人材育成の大切さを痛感しました ~労働委 企業も駆け込む~ という記事

労働委員会のあっせん制度を利用する企業の増加が今日7月29日の日本経済新聞朝刊で報じられました。労組との交渉経験が乏しい中小企業が活用するケースが増えているとのことです。労働組合による活用は争議の減少と景気回復等によりめっきり減っているとしています。何故中小企業による活用が増えたのかというと、労働法に疎い中小企業が1人加盟可能な合同労組からの要求に対応できないためとしています。これはあまり的を得ていないのではないかと感じます。人員の不足と社内部署のアウトソーシングにより人事総務部門のプロパー社員が減少し社内の労務政策術が伝承されず人材も育っていない、これが労働相談を受けている立場からの企業実感です。一方、労働組合も同様で内部の人材育成ができていないところは労働委員会の存在を知らない、ストライキの「打ち方」を退職した組合OBに聞いて回る等、労働組合機能を理解していないところも出ています。組織の重要な取り組みをきちんと伝えきれていないところは衰退・消滅していかざるを得ないのではないか、そのような感に囚われました。労働委員会制度は調整案件(あっせん)であれ審査事件であれ機動性に優れ労働者にとって大変有意義な機関です。導き出される結果は公益性があり、ある意味では労使双方にとっての「お墨付き」です。費用も無料ですし、本来であれば、万来の賑わいであるはずです。本日の記事を読む限りでは、人材枯渇と万事休すから止む無くといったところではないでしょうか。人材育成は大切であることを痛感しわが組織の戒めとしたところでありました。

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正社員・契約社員問わず 就業規則改悪の不利益強要の酷さ・ひどさ・ヒドサ ・・・ ひどいなァ~

7月27日、連合石狩地協2019春闘実行委員会は恵庭地区の労働相談を実施しました。雨と日差しが激しく入れ替わる中、相談電話は正社員による最賃違反相談を1件受けました。直接来館相談は2件(3名)受け、正社員・契約社員(長期勤続・反復更新)からの相談でした。何れも就業規則改悪による不利益変更強要を内容とするもので、雇用の早期打ち切り・賃金切り下げ・賞与支給水準の切り下げを強いられるものでした。本人対応では困難なとこもあることから、弁護士対応や労働組合対応を事例をもとに説明しました。当日は恵庭地区連合のスタッフも含め4名が対応しました。連合石狩地協では石狩管内8地区に各地区組織配置し地区の相談に対応しています。まずは011-210-4195へお電話ください。是非ご活用ください。

就業規則不利益変更と定年年齢切り上げ・賃下げの相談!熱心な対応の恵庭地区連合スタッフ!

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著書による組合批判は労組法7条第3号に該当する不当労働行為 7月23日命令交付 東京都労委

著書による労働組合批判が会社の支配介入であり労組法第7条第3号違反にあたるとの判断が東京都労委から出されました。東京都労委公表の青林堂(団体交渉)事件命令書交付について及び命令書詳細は以下を参照してください。

2019年7月23日 東京都労委 青林堂(団体交渉)事件命令書交付について はこちらです。

2019年7月26日 青林堂団体交渉事件 命令書詳細はこちらです。

また、CUNNは7月25日付メール通信NO.1577で本内容を全国に発信しています。こちらも以下にご紹介しますので参照してください。

CUNNメール通信 N0.1577 2019年7月25日
1.(報告)青林堂『中小企業がユニオンに潰される日』出版は不当労働行為/
      東京都労働委員会
 東京管理職ユニオンの闘いの速報です。
 東京都労働委員会事務局 (@tocho_roui) | Twitterより

令和元年7月23日 東京都労働委員会事務局 

青林堂(団体交渉)事件命令書交付について

当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたので
お知らせします。
命令書の概要は、以下のとおりです。
(詳細は別紙 http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/07/23/11_01.html)

1 当事者 
  申立人  東京管理職ユニオン(東京都渋谷区)
  被申立人  株式会社青林堂(東京都渋谷区)

2 争 点
⑴ 組合の平成28年9月30日付団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない
  団体交渉拒否に当たるか否か(争点1)。
⑵ 会社が、平成28年9月10日付けでA著『中小企業がユニオンに潰される日』
 (本件書籍)を出版したことは、組合運営に対する支配介入に当たるか否か(争点2)。

3 命令の概要 <一部救済>
⑴ 争点1 <棄却>
これまで団体交渉は会社会議室にて開催されていたところ、開催場所を組合会議室へ変更
することを求めるにあたっての組合の説明は不十分なものであり、開催場所について合意
に至らなかったことの原因が会社側の対応のみにあったとはいえない。 
⑵ 争点2 <救済>
本件書籍の出版時における労使関係は極めて緊迫しており、また、会社は、X1に対して
組合を誹謗中傷する発言を繰り返し、X1に直接、組合の頭越しに和解交渉を働き掛けて
いることなども踏まえると、会社が、組合とX1の組合活動に支障や萎縮を招く記述のあ
る本件書籍を出版したことは、組合運営に対する支配介入に当たる。

会社は、組合に対して文書交付(要旨:本件書籍の出版が不当労働行為であると認定され
たこと。今後繰り返さないように留意すること。)をすること。

<参考>
 命令に不服がある場合、当事者は次のいずれかの手続をとることができる。
・中央労働委員会に再審査申立て(申立人及び被申立人15日以内)
・東京地方裁判所に取消訴訟を提起(被申立人30日以内、申立人6か月以内)
問合せ先 
労働委員会事務局審査調整課
電話 03-5320-6986
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私たちも労働委員会は頻繁に活用させていただいております。団体交渉拒否(労組法第7条第2号)を中心に申立を組み立てることが多いのが実態です。本音としては、不利益取扱い(労組法第7条第1号)を中心に申立を主張したいところですが、ハードルが高いとうか「組合員であるが故」という要件の適用が非常に限定的解釈とされ、難儀をしています。「組合員であるが故」という適用要件の拡大を目下検討中です。労働委員会は労働組合の主張を堂々と発信できる最適の場です。良く学び・良く活動し、最良の結果を得るよう頑張りましょう!東京管理職ユニオンの皆さんおめでとうございます!

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注目の労働契約法20条違反の高松高裁判断 今一つ! 最高裁の前進判断に期待しよう!

賞与・各種手当の支給に対する正社員と契約社員への差別的取り扱いに合理性の判断を求めた裁判の判決が7月8日(月)に高松高裁から出ました。内容は井関農機関連2社に対して元契約社員5人へ、正社員に限定されていた家族手当・住宅手当を支払えというものです。業務内容の同一性を注視した判断です。ただ、賞与についての元契約社員への不支給は妥当とされました。会社の裁量を大きく認めたものです。元契約社員の代理人弁護士は最高裁で賞与支給の妥当性を認めてもらうとしています。報道された内容をCUNNメール通信N0.1573が報じています。以下を参照してください。

◎ CUNNメール通信 ◎ N0.1573 2019年7月10日

1.(報告)イセキ20条裁判・高裁判決/えひめユニオン 
 
■正社員と格差、契約社員は手当なし 高裁、不合理と認定
 7/8(月) 19:08配信 朝日新聞デジタル
 正社員と仕事が同じなのに手当や賞与が払われない格差があるのは労働契約法に違
反するとして、農業機械大手「井関農機」の子会社2社(松山市)に、元契約社員5
人(現在は正社員)が計約1750万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が8日、
高松高裁であった。増田隆久裁判長は、2社に手当の支払いを命じた一審・松山地裁
判決を支持し、原告と被告の双方の控訴を棄却した。

 原告は井関松山製造所の3人と井関松山ファクトリーの2人。高裁判決は一審判決
を踏襲し、5人の業務が正社員と同様だったと認定。正社員がもらえる住宅手当や家
族手当を会社が払わないのは「不合理」と判断した。一方、5人が求めた賞与分の支
払いについては、正社員と契約社員で職務責任の範囲に差があり、契約社員には賞与
に代わる寸志を一律に支給していることなどから、支給しないのは違法ではないとし
た。(木下広大)


■契約社員賞与請求2審棄却
 07月08日 18時54分 (NHK)
 大手農機具メーカーのグループ会社で働く契約社員が正社員と同じ仕事をしている
のに待遇に格差があるのは不当だとして正社員と同じ待遇で賞与や手当てを支払うこ
となどを求めていた裁判で、2審の高松高等裁判所は1審判決に続いて手当てに相当
する金額の賠償を会社側に命じる一方、賞与ついては訴えを退けました。
 大手農機具メーカー、「井関農機」のグループ会社で、松山市にある「井関松山製
造所」と「井関松山ファクトリー」で働く契約社員5人は正社員と同じ仕事をしてい
るにも関わらず待遇に格差があるのは労働契約法に違反するとして、正社員と同じ待
遇で賞与や手当てを支払うことなどを求めていました。1審の松山地方裁判所は同じ
待遇に基づく賞与の支払いの請求を退けた一方、家族手当などの手当てについては、
「契約社員に支払わないのは不合理だ」と指摘して2社に賠償を命じました。
 これに対して双方が控訴していましたが高松高等裁判所の増田隆久裁判長は、「正
社員に対し賞与を手厚くすることで人材の獲得、定着を図るという会社の人事施策上
の目的に合理性が認められる」などとして1審判決に続いて賞与の請求を退けまし
た。一方で、手当てについては「職務の内容の差に基づくとは言えず支給しないこと
は労働契約法に違反する」として2社に対しあわせておよそ300万円の賠償を命じ
ました。
 2審判決について原告の1人、丹生谷安基さんは「賞与について認められなかった
のは残念だ。賞与についても最高裁に求めていく」と話していました。
 また、三輪晃義弁護士は「賞与についても認められてしかるべきなのになぜ認めら
れないのか。最高裁もボーナスについて、真正面からまだ回答を出していない。最高
裁で争いしっかりと問いただしていきたい」と話していました。
 一方、「井関松山製造所」は「判決の詳細な内容を確認して今後対応したいと思う
ので、詳細についてはコメントを控えたい」とコメントしています。また、「井関松
山ファクトリー」は「会社に持ち帰り今後どのように進めていくか考えるため、コメ
ントについては控えたい」とコメントしています。


■契約社員の手当格差「不合理」…高裁が1審支持
 7/8(月) 16:27配信 (読売新聞)
 農機メーカー大手「井関農機」(松山市)の子会社2社に勤める愛媛県内の契約社
員5人が、同じ仕事内容の正社員と待遇に格差があるのは労働契約法違反だとして、
2社に各種手当などの差額分計約1751万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決が
あった。高松高裁は8日、格差を不合理とし、2社に計約232万円の支払いを命じ
た1審・松山地裁判決を支持し、原告、被告双方の控訴を棄却。1審後に生じた手当
の不払い計約67万円の支払いを2社に命じた。


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パートタイム・有期雇用労働法に緊急改善点あり!

2020年4月からパートタイム・有期雇用労働法が施行されます。このなかでは同一労働・同一賃金が明文化されます。今回の判決にある手当の考え方は例として取り入れられるでしょう。心配な面があります。このホームページで以前にも記載した、無期雇用転換者の労働条件です。パートタイム・有期雇用労働法が対象と(救済)する非正規労働者は期限のある労働者に限定されています。無期雇用に転換した非正規労働者は対象にされません。ここは、急ぎ改善しなくてはなりません。皆さん、今から厚労省に、労働審議会に声を届けましよう!

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労働組合が増えれば職場地域世の中が良くなる!

北海道地域最低賃金引上げに「ひと声」出そうじゃないか!!

最低賃金引上げの議論が本格化します。北海道の審議会はこれまでに2回開催され(6月3日と7月9日)、7月31日には参考人による意見聴取が行われます(非公開)。これは働く人と事業者から1名ずつ意見を求めるというものです。働く人は、これまで実際に時間給で働く人が自分の生活実感を述べています。事業者からは会社代表者や経営者団体の方が最賃引上げによる事業活動の影響等を切々と述べています。予定では、この7月31日に中央の最低賃金審議会で目安答申が行われるという事なので、翌8月1日には北海道でこの中央最低賃金審議会の目安額が伝達されます。この目安額伝達までにどれだけ多くの労働者が声出せるか、アピールするかがポイントになります。連合北海道は傘下の組合に北海道地方最低賃金審議会へ向けて引上げ要請のFAX送信行動(FAX番号011-756-0056)を呼び掛けました。わが札幌地区ユニオンも本日提出しました(以下を参照してください)。

札幌地区ユニオンの最賃引上げ要請書はこちら

札幌地区ユニオン加盟組合の皆さんも是非お願いします。また、興味のある方是非ご一報ください。北海道地域最低賃金の大幅引き上げに向けガンバロー!

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本質は人手不足解消策! 厚労省はどっちを見て仕事するのか!?

7月9日厚労省は有識者検討委員会に副業・兼業の労働時間算定に関する方針を示しました。既に上限規制で単月100時間未満とした残業時間を柔軟に適用するとのことです。それぞれの事業主が当該従業員の健康確保措置を講ずることが前提としています。労働者個々人の能力開発だとか多様な生き方を尊重するための「副業」とはいっても、所詮は人手が足りないところが「副業」でもOKとして人を集めることにります。そこが残業の上限規制が外れると桁外れの長時間労働が発生します。結局は人手不足の企業側だけを「利」する制度になりかねません。本格的議論の場は今秋の労政審です。労政審の良識ある議論に期待せざるを得ません。今日7月10日の日本経済新聞朝刊に概要が掲載されています。選挙で叫んでいる候補者はこういうことを少しは考えないのかね!

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今年の最賃審議会で生活維持は可能か否かの議論は出るか?

厚労省は7月4日中央最低賃金審議会を開きました。2019年度の最低賃金引き上げ議論が始まりました。非公開です。北海道は未だCランクながら、昨年は25円引上げとなり835円です。全国平均から39円、東京都からは150円下回ります。時間給835円で働く労働者は単独生計を営めるでしょうか。時間給1000円でも厳しいでしょう。最低賃金の役割は何なのかここから議論すべきでしょう。生活できない賃金を議論しても実生活にどれだけ影響が出てくるか判然としません。基準生計維持経費確保の議論が必要と強く感じます。7月4日の中央最低賃金審議会の内容は連合通信隔日版に掲載されCUNNメール通信NO.1570で配信されました。以下のとおりです。

◎ CUNNメール通信 ◎ N0.1570 2019年7月5日

1.(情報)課題山積の地域別最賃/目安審議がスタート/地域間格差や中小企業支援など
                             190704連合通信・隔日版

 2019年度の地域別最低賃金の改定審議が7月4日、中央最低賃金審議会で始ま
ります。低すぎる金額水準、過大な地域間格差、中小企業への支援など、課題が山
積。これらに言及した「骨太方針」を踏まえ、どのような検討が行われるかが、注目
されます。

●憲法がないがしろに
 課題の一つは低すぎる水準です。全国加重平均の時給874円は、年2千時間働い
ても174万円に過ぎません。しかもこの額を超えているのは大都市圏の1都2府4
県だけ。最低額は鹿児島の761円です。最低賃金法は、憲法25条(生存権)が定め
る「健康で文化的な最低限の生活」を具体化した法律の一つですが、その理念を満た
しているとはとても言えないでしょう。
 欧州先進国は1100円~1300円台の水準で、米国では15ドル(1665円)
を目指す州や都市が相次いでいます。韓国の835円(8350ウォン)は、日本の
34県の水準を追い越しています。
 低過ぎる上、さらに深刻なのが地域間格差の拡大です。最大224円の差は44万円
もの年収格差を生じさせます。最賃は地方の賃金相場に影響するため、特に大都市へ
の若者の流出が深刻で、人手不足に拍車をかけています。新幹線で2時間もしない地
域で時給が200円も低くなるのですから。
 中小企業への支援も焦眉の課題です。近年、大手による単価削減圧力の強まりが、
最賃上昇分を販売・納入価格に転嫁できない中小企業の経営を揺るがし始めていま
す。
 今年の「骨太方針」は、こうした課題に少なからず目配りせざるを得なくなってい
ます。「労務費上昇の取引対価への転嫁の円滑化」が初めて盛り込まれ、地域間格差
についても「配慮」の文言が入りました。現行最賃を「先進国の中で低い水準にとど
まる」と認めています。 
 中央最低賃金審議会ではこの方針に「配意」し、どのような審議が行われるかが注
目されます。

●政治課題に浮上
 折しも、参院選挙では、過去に「最賃撤廃」を掲げた「維新の会」を除き、与野党
が競うように目標を掲げています。自民党と公明党が全国平均1000円以上、立憲
民主が5年以内に1300円、国民民主は誰でも1000円以上、共産・社民が全国
一律1500円です。
 自民党内では2月、全国一律をめざす議員連盟が発足。立憲民主党もワーキング
チームを立ち上げ、最賃をボトムアップ政策の根幹に位置付けました。
 一方、日本商工会議所など中小企業団体は反発を強めています。実効ある支援策を
本気で検討することが求められます。
 さらに、最賃の改定審議が中央、地方ともにほとんど非公開とされている問題の是
正も求められます。労働法制に関する審議が広く公開されているのとは対照的です。
 民主主義の原則や最賃制度への理解と納得を得る上でも、問題があると言わざるを
得ません。今年の中央最賃審がどのような対応を取るのか、多くの人々が注視してい
ます。
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また、7月5日には日本経済新聞と朝日新聞が朝刊で報じています。連合通信では今回の参議院選挙で各政党が最賃に関わる公約を掲げているかに触れ、「日本維新の会」以外は1000円から1500円の範囲で目標数値を示しているとしました。ただ、生活できるかどうかの議論に踏み込めそうな記載は見当たりません。7月3日朝日新聞が朝刊で「参院選 主な政党の公約(要旨)」としてまとめ報じました。党別にまとめましたのでご覧ください。

7月3日朝日新聞朝刊より 「参院選 主な政党の公約(要旨)」はこちらです。

北海道地域最低賃金審議会も間もなく開催されます。7月9日(火)あたりではないでしょうか。可視化・公開とならんことを祈ります。

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労働組合が増えれば職場地域世の中が良くなる!

失業・労働条件切り下げに悩み心の病へ    6/29江別地区労働相談

6月29日連合石狩地協は江別地区連合会館で労働相談を実施しました。10時から19時までに電話2件、来訪者3名による相談を受け付けました。内容には税金から解雇・賞与等労働条件切り下げが多く、悩みの挙句に心の病に被災するという、複合型被害が目立っています。公正労働省では6月28日に仕事原因のうつ病等精神疾患について昨年の労災申請は1820件と公表し6年連続増加したとしています。雇用情勢改善が報道される中、職場内では精神を病む労働者は確実に増加しています。労働者にとって、失業は恐怖であり、労働条件切り下げは大変なストレスです。今日の相談ではそのような状況が今増えていることを実感せざるを得ませんでした。

失業は恐怖!賞与カット、降格、配転は大ストレス!眠れぬ日々が心の病へ・・・

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労働組合が増えれば職場地域世の中が良くなる!

組合員は減るが「ウチ」は組織拡大の必要性なし という気質はイケナイ!

6月27日厚生労働省は平成30年「労働組合活動等に関する実態調査」の結果を公表しました。民営事業所に組織される組合員30名以上の単組を対象としたもので、5093組合を抽出し3199組合から回答を得たとのことです。調査内容は労使関係の状態、組合員の増減、組織拡大への取り組み姿勢、組織化対象等となっています。回答組合の所属産別・ローカルセンターは明らかになっていません。驚くのは、組合員の減少を認識していながら、自社内の組織化は必要ないので、組織拡大は方針としていない、組織拡大対象を新卒・中途入社社員等在籍する組合未加入正社員とするところが65%を超えているということです。単組対象の調査とはいえ、あまりにも内向きな気質に何と言っていいのか・・・まずは「イケナイ!」ということでしょう。産別・ローカルセンターがこの調査結果を精査し、今一度組織拡大方針を見直す必要があるでしょう。公表内容は以下のとおりです。

厚生労働省 平成30年「労働組合活動等に関する実態調査」の結果 はこちらです。

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