政府の引き続きの賃上げ議論はいつ、どこで始まる?

北海道労働局は8月8日のホームページで、北海道地方最低賃金審議会が令和5年度北海道最低賃金額の改正を北海道労働局長へ答申したことを公表しました。改正時間給は960円(対前年比40円・4.35%引上げ)です。8月23日の審議会で改正内容への異議申し立てが審議されなければ10月1日発効となります。この答申を受け、北海道労働局は、最低賃金や賃金の引上げを行い生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の支援を引き続き強めていくとしています。詳細は以下の通りです。

8月8日、北海道労働局が公表した「令和5年度北海道最低賃金額の改正答申」はこちらです。

答申内容には、格差拡大による地方の懸念が指摘されていませんし、使用者側からも人材流出の強い懸念は主張されていません。物価上昇率に追いつかない最賃引上げ、進む地域格差の拡大について政府の策は如何にあるべきかをもう少し強く・切実性をもって訴えてほしいものでした。それにしても、首相が最賃引上げが確実となったその時から間髪を入れず引き上げ議論を開始すると言った割には、今後の取り組みへの声が聞こえません。いつ、どこでどのように始まるのだろうか。

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これからの議論はあるのか? 気になる答申内容

8月7日の北海道地方最低賃金審議会の結審・答申(40円引上げ・時間給960円)に対して連合北海道は「2023 北海道最賃情報第4号」及び「事務局長談話」を発表しました。連合北海道は過去最大の引上げとはいえ、昨年10月から今年5月の消費者物価が平均4.6%を上回ることに注視すべきとし、目安通りの引上げは最低賃金がセーフティネットとしての役割を果たせないことを審議会専門員会が認めることになるとし、目安以上の引上げを主張しました。これ以降労使の意見の調整はつかず、8月7日に公益委員見解のとおり結審・答申となりました。詳細は「2023 北海道最賃情報第4号」及び「事務局長談話」をご参照下さい。「過去最大の引上げ」「全国平均で1002円」という結果を支えた今回の北海道地方最低賃金(40円引上げ・時間給960円・10月1日発効)は委員意見を検証すれば評価したのは公益委員のみとなります。答申内容に労使それぞれの意見をどう表現され、今後どのような対応が国・審議会が必要とするのか、ここが今回の議論の肝となるのではと感じました。これだけ強い反対を撥ねつける根拠は何なのか、ひょっとする政府(岸田首相)見解、結審後も引き続き引上げ議論を継続する、との意向に後を託すということなのか、とすれば私たち市井の労働者もまだまだ声と知恵を出す覚悟が必要、と思えなくもありません。それだけに、答申内容を拝見したいものです。まずは、各委員の皆様ご苦労様でした。

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違法長時間労働・残業未払長時間労働阻止の特効薬  会社に不払い分を支払わせること

8月3日、厚生労働省は2022(令和4)年度に長時間労働が疑われる事業場に対して各地の労働基準監督署が実施した、監督指導の結果を取りまとめま監督指導事例等と共に公表しました。この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としていて、対象となった33,218事業場のうち、14,147事業場(42.6%)で違法な時間外労働が確認され是正・改善指導を行ったとしています。詳細は以下の厚労省ホームページをご覧ください。

長時間労働が疑われる事業場に対する令和4年度の監督指導結果を公表します

実際に1か月当たり80時間を超える時間外・休日労働が認められた事業場は、5,247事業場(違法な時間外労働があったもののうち37.1%)です。厚生労働省は、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に実施し、11月には「過重労働解消キャンペーン」期間中に重点的な監督指導を行うとしています。しかし、根本的には人手不足だし、企業間格差や不公正取引を撲滅しない限り違法長時間労働は続きます。違法長時間労働・残業未払長時間労働阻止の特効薬的対処は会社に不払い分を支払わせることです。残業手当請求時効を5年とし、絶対に支払わなくてはならないこと、支払い責任は荷主・発注元にも負わせるという姿勢・行動が必要です。ガンバロー!

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2022年度の賃金不払に対する監督指導結果公表!   不当利得は没収すべき‼

7月28日、労働政策研究・研修機構(JILPT)はメールマガジン労働情報第1888号を配信し 、厚労省が7月27日に公表した2022年(1月~12月)に賃金不払が疑われる事業場に対する 労働基準監督署の監督指導の結果を紹介しました。賃金不払い金額の総額は121億2,316万円、対象労働者数17万9,643人で、監督署の指導で解決したものは17万5,893人,(98.0%)、79億4,597万円(65.5%)としています。詳細は以下の通りです

●2022年度の賃金不払に対する監督指導結果/厚労省

 厚生労働省は27日、2022年(1月~12月)に賃金不払が疑われる事業場に対する
労働基準監督署の監督指導の結果を公表した。賃金不払事案の件数は2万531件、
対象労働者数17万9,643人、金額121億2,316万円。そのうち監督署の指導により
使用者が賃金を支払い、解決されたのは、1万9,708件(96.0%)、17万5,893人
(98.0%)、79億4,597万円(65.5%)。従来、支払額が1企業当たり100万円
以上の割増賃金不払事案のみを集計していたが、今回から、それ以外の事案を含め
賃金不払事案全体を集計している。

厚労省7月27日発表「賃金不払が疑われる事業場に対する監督指導結果(令和4年)を公表します」

別紙・監督指導結果等

以前から思っているのですが、賃金未払という労基法違反をしながらも営業を続けた事業者の稼いだ売り上げは「不当利得」とすべきではないでしょうか。賃金未払に限らず、労基法、労働安全衛生法、最賃法、労働組合法及び派遣法等の労働関係法違反の下で稼いだ売り上げは事業者から没収すべきではないでしょうか。

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7/31 消費者物価に負けない最賃引上げを!

7月30日CUNNはメール通信NO.2358を配信し、厚労省が7月28日(金)付けで公表した2023年度最低賃金に関する中央最賃審議会答申内容を紹介しました。以下の通りです。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.2358 2023年7月30日
1.(情報)中央最賃審議会答申
                                令和5年7月28日(金) 厚生労働省リリースより
                  【照会先】
                   労働基準局賃金課
                   課長   岡 英範
                   課長補佐 青野 恵里子
                   (代表)03-5253-1111(内線5596)
                   (直通電話)03-3502-6757

報道関係者 各位

        令和5年度地域別最低賃金額改定の目安について
      ~ 目安はAランク41円、Bランク40円、Cランク39円~

 本日開催された第67回中央最低賃金審議会(会長:藤村博之 独立行政法人労働政
策研究・研修機構理事長)で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が
取りまとめられましたので、公表いたします。

【答申のポイント】
(ランク注ごとの目安)各都道府県の引上げ額の目安については、Aランク41円、
Bランク40円、Cランク39円。

注.都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCの3ランクに分けて、引上げ額
の目安を提示している。現在、Aランクで6都府県、Bランクで28道府県、Cランク
で13県となっている。(参考参照) 

 (参考)各都道府県に適用される目安のランク

A 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪

B 北海道、宮城、福島、茨城、栃木、群馬、新潟、富山、石川、福井、山梨、
  長野、岐阜、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、島根、岡山、
   広島、山口、徳島、香川、愛媛、福岡、

C 青森、岩手、秋田、山形、鳥取、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、
   沖縄

 この答申は、今年の6月30日に開催された第66回中央最低賃金審議会で、厚生労働
大臣から今年度の目安についての諮問を受け、同日に「中央最低賃金審議会目安に関
する小委員会」を設置し、5回にわたる審議を重ねて取りまとめた「目安に関する公
益委員見解」等を、地方最低賃金審議会にお示しするものです。
  今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態
調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地
域別最低賃金額を決定することとなります。
  仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,002円と
なります。この場合、全国加重平均の上昇額は41円(昨年度は31円)となり、昭和53年
度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると4.3%(昨
年度は3.3%)となります。

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公益委員見解に対して労使ともに反対しました。労働側は23春闘で頑張り物価上昇を吸収する程度まで組合員の賃金を引き上げた、最低賃金がこれに並ぶかそれ以上の引上げを実現することが景気回復・監査是正には必要と主張しています。一方、経営側は賃金引上げ必要であることは理解するが、10月1日発効に拘ることなく慎重な議論と中小事業者への配慮を求めるとしています。賃上げに応える環境にない事業者側が多いので政策的配慮が欲しいとのことでしょうか。この答申の下、7月31日は北海道地域最低賃金第3回審議会が開催されます。中央答申に拘り過ぎず実態に即した引上げ額を期待します。秋に主要食品の再値上げが予定され、燃料費・灯油の高値も続きます。北海道の消費者物価に抗するための賃上げが必要です。31日の昼休み集会でその主張を確認しましょう。

連合北海道 2023年度北海道最低賃金の取り組み
 7/31昼休み集会

 日時 2023年7月31日(月) 12時15分~
 場所 第一合同庁舎 南側玄関前(JR札幌駅 北口側)
 内容 経過報告/決意表明/団結ガンバロー 他

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速報!2023最賃 中央審議会 加重平均41円-1002円(4・3%)の引き上げ目安で調整

厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は7月28日、最低賃金を全国加重平均で41円(4・3%)引き上げて1002円とする目安をまとめたました。47都道府県・A~Cのランク毎の金額は41~39円と設定される予定です。詳細は朝日デジタルニュースに掲載されています。

北海道は7月31日(月)に第3回審議会が開催されます。10月1日発効とする場合8月第1週中の合意が必要で、7月31日を中心に相当に集中した議論が交わされる見込みです。尚、7月31日は12時15分より昼休み集会が予定されています。札幌地区ユニオンの皆さん、積極的参加をお願いします。

連合北海道 2023年度北海道最低賃金の取り組み
 7/31昼休み集会

 日時 2023年7月31日(月) 12時15分~
 場所 第一合同庁舎 南側玄関前(JR札幌駅 北口側)
 内容 経過報告/決意表明/団結ガンバロー 他

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あの時の春闘をまたやろう!

7月26日、労働政策研究・研修機構(JILPT)はメールマガジン労働情報第1887号を配信し 、連合の2023春季生活闘争まとめを紹介しました。2014年以降で最も高い水準の賃上げであり「労使が中長期的視点 を持って粘り強くかつ真摯に交渉した結果であり、未来につながる転換点となり得る ものと受け止める」と評価しています。詳細は以下の通りです

●「未来につながる転換点となり得る」と総括/連合の2023春季生活闘争まとめ

 連合(芳野友子会長)は21日、2023春季生活闘争まとめを確認した。まとめは、
今次闘争の最終集計(7月3日時点)で、賃上げの平均回答額(加重平均で1万560円)、
率(同3.58%)ともに、賃上げが復活した2014年以降で最も高い水準となるとともに、
賃上げ率は1993闘争以来の高い水準を記録したことをうけ、「労使が中長期的視点
を持って粘り強くかつ真摯に交渉した結果であり、未来につながる転換点となり得る
ものと受け止める」と評価した。ただ、中小組合による格差是正の取り組みについて
は、「全体的に健闘」と総括したものの、回答の分散度合いが昨年より大きくなった
ことから、引き続き、適正な価格転嫁の取り組みなど継続的に賃上げができる環境を
つくっていくことの必要性を訴えた。(JILPT調査部)

連合HP 2023春季生活闘争ページ

「2023春季生活闘争まとめ ~評価と課題~」(PDF)

最近の春闘の取り組みに数点の違和感を持っています。まず、大手といわる産業別労組に秘匿性が進行している。要求内容から回答内容まで「不開示」とするところが増えている。直雇用の契約社員・パートの妥結内容に最高水準・正社員以上との評価があるものの女性や契約社員・パートの賃金水準は低位のままとの声が多い。組合員数が減る中、大手の不開示・労働弱者といわれる女性非正規への過小配分が続けば、「春闘」は全く影響力の無い行事となります。同一業種・同一地域で働く労働者の生活改善実現が春闘と教わった古手組合員は今こそ立ち上がるべきではないだろうか。老害・遺物と言われようが労働者の分断に目をつぶることはできないと思いませんか。

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7/26 北海道地域最低賃金審議会第1回専門部会  参考人意見聴取 

7月26日13時より北海道地域最低賃金審議会は第1回専門部会を開催します。主たる議事は労働者側・使用者側から選任された参考人による意見聴取です。最低賃金について自由に意見を述べた後に委員質疑がなされます。中央では同日、第3回目安議論が厚労省内で交わされます。明日が中央・北海道の最賃議論の山場となりそうです。札幌地区ユニオン加盟組合は最賃引き上げのためのFAX要請行動及び7月31日の昼休み集会への参加宜しくお願いします。

【審議会のヤマ場に向けたFAX行動】
札幌地区ユニオン加盟単組・組合員から下記宛先へのFAX送付をお願いします。

1.送付先  北海道地方最低賃金審議会 会長 亀野 淳 様
       FAX 011-756-0056
2.送付期間  7月7日(金)~ 7月28日(金)
3.例 文   例文はこちらです。アレンジOKです。
連合北海道 2023年度北海道最低賃金の取り組み
 7/31昼休み集会

 日時 2023年7月31日(月) 12時15分~
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ジョブ型「職務給」を検証しよう

CUNNは7月22日メール通信No.2355を配信しジョブ型「職務給」などの問題点を指摘する連合通信隔日版の記事を紹介しました。岸田首相は本人肝いりの「構造的な賃上げ」実現手段としてジョブ型「職務給」導入を豪語しています。詳細は以下の通りです。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.2355 2023年7月22日
1.(情報)〈労働時評〉ジョブ型「職務給」の狙い/リストラに労組弱体化…
                         230722連合通信・隔日版

 岸田首相が「構造的な賃上げ」を提唱している。鳴り物入りだが、内容は雇用・賃
金制度の改変である。ジョブ型「職務給」などの問題に焦点を当てた。

●三つの方針文書

 「構造的な賃上げ」は「三位一体の労働市場改革」と連動している。内容は(1)リ
スキリング(技術再教育)(2)ジョブ型人事(職務給)の導入(3)労働移動の円滑化―
―である。
 総合的な政策内容は「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太方針)で
「新しい資本主義―未来への投資拡大と構造的な賃上げ」をタイトルに、「分厚い中
間層の形成」などを打ち出している。
 具体的な内容は「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2023改訂
版」でジョブ型(職務給)や労働移動の推進策などを掲げている。
 さらに厚労省労働政策基本部会の「変化する時代の多様な働き方」報告書では、
「解雇無効時の金銭解決」や労使一体化をめざす「エンゲージメント」の向上など、
労働組合の弱体化まで踏み込んでいる。

●過去に導入を断念

 賃金制度では、ジョブ型人事として「職務給」の導入を提起しているのが最大の特
徴である。
 職務給とは、職務分析と職務評価によって、各職務の知識、熟練などを要素として
賃金を決める制度である。勤続年数が長くなっても、上級職務に昇進しない限り、昇
給も原則としてありえない。
 日本では1962年に鉄鋼大手で導入されたが、古い事業所から新鋭製鉄所への配
転で賃金低下の問題もあり断念した。各産業でも技術革新による職務内容の変化や多
能工化、配転増加などから制度導入をあきらめている。
 賃金制度はその後、労働者の職務遂行能力を基準とする「職能給」となり、「職能
資格給」から、仕事・役割・貢献度の「役割成果給」へと変転した。

●リストラの新たな道具

 今回の「職務給」はジョブ型人事として提起されている。導入理由は「日本の年功
賃金制は転職しにくい」「諸外国との賃金格差の拡大(日本は低位)で、人材獲得競
争でも劣後」などをあげている。
 しかし、日本の賃金が諸外国より低くなったのは、財界が96年から20数年にわた
り、ベア0%台(20年0・17%など)を強行した結果であり、賃金制度の問題ではな
い。さらに従業員給料への「成果配分の目詰まり」を指摘しながら、513兆円にも
増大した内部留保の還元に触れないのは問題だろう。
 ジョブ型人事が導入されている職場の問題も指摘されている。日立では、一つの職
務のスキルレベルだけで「責任」「職務知識」「期待行動」「資格」など約30項目を
設定。人事評価による賃下げも表記されている。NTTでは基準内賃金の引き下げ
や、扶養手当もなくなり、職場の不満が高まっているという。日本IBMでは「パ
フォーマンス改善計画」(PIP)の過剰ノルマで退職・解雇強要も告発されてい
る。
 日本のジョブ型人事は、欧米の職種別熟練度別の横断賃金とは異なる。各企業で職
務と賃金などの労働条件が労働者ごとに決定され、集団的労使関係の弱体化と賃金・
雇用の個別リストラも懸念されている。

●労働移動とセット

 「構造的な賃上げ」では、リスキリングと成長産業への転職など労働移動がセット
で提起されている。
 リスキリングの推進も「個人支援」など自助努力を重視する。ドイツではAI(人
工知能)など第4次産業革命に対応してフォルクスワーゲンをはじめ、業種と地域の
26センターで対応。研修費用や研修中の賃金助成を行っており、日本の施策は遅れて
いる。
 問題は転職による賃金など処遇の変化である。厚労省「報告書」でも「転職に当
たっては、失業の長期化や賃金低下の懸念もある」と指摘。転職で3年後に年収が1
00万円以上あがる確率はわずか6%、50万円以上は4%に過ぎない。
 転職希望率も22年で正規従業員の14・7%。13年の9・4%から微増にとどまって
いる。転職促進による賃上げは、針小棒大な提起といえよう。

●退職金課税強化で増税に

 「労働移動の円滑化」も重視する。雇用の流動化・不安定化を進める方針だ。
 「実行計画」改定版では、退職所得課税制度の見直しなどを提起。転職促進へ向
け、長く勤務した労働者の退職金課税を強化する方針であり、働く人からも批判が上
がる。
 「多様な働き方」も推進し、副業・兼業の奨励やフリーランス拡大も提起。職務限
定・勤務地限定・時間限定社員など、正社員の一層の多様化を狙っている。
 厚労省の基本部会「報告書」では、労働者に選択権のある「解雇無効時の金銭解
決」も言及。解雇自由化社会となる、違法解雇の金銭解決合法化は、労働界を挙げて
断固阻止すべき重要課題である。

●一層の労組弱体化を狙う

 「骨太の方針」は「分厚い中間層の形成」を掲げ、「資産所得倍増プラン」を提
起。「雇用者の資産形成の強化」として、従業員の賃上げでなく、経営側と一体の従
業員株主化を打ち出している。
 厚労省「報告書」も人事制度では、会社の目標達成と働く人の主体的貢献など労使
一体化をめざす「エンゲージメント」の向上まで踏み込んでいる。
 岸田政権の雇用・賃金改変と労組弱体化を狙う労働政策。制度導入阻止と併わせ、
働くルールの対抗軸確立と集団的労使関係の強化が求められる。
               
                      (ジャーナリスト・鹿田勝一)

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令和5年の死亡労働災害による被災者は23人 6月末現在

北海道労働局( 友藤智朗 局長)は、北海道内の令和5年の労働災害発生状況(令和5年6月末現在速報値)取りまとめ結果を公表しました。令和5年6月末時点の労働災害・死亡者数は23人に達し「深刻な増加ペース」(対前月比+4、対前年同期+6人)としました。同局は各種災害防止に向け、安全確保対策の徹底を図るとしています。

7月14日北海道労働局公表「令和5年の労働災害発生状況(令和5年6 月末現在速報値)」

コロナ禍の業務中感染や2024年問題に対応できない・しない事業者が増えそうです。公労使一体となった、監督・推進・保護の取り組みが必要です。そこで、かえすがえすも残念なのが「労災防止指導員制度」の廃止です。労働者と監督官がペア・複数で職場を抜き打ち視察するという制度で、その場で文書を交付することもありました。旧民主党政権下の「事業仕分け」で廃止となってしまいました。北海道だけでも良いので、増え続ける労災事故防止・根絶のため従前の労災防止指導員制度を復活・拡充すべきです。人材確保の前に人材保護です。

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