加重平均の最低賃金1000円では格差是正にはなりません‼

2021年6月8日、総理大臣官邸で第3回新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議が開催されました。同会議では新型コロナの影響が長引く中、飲食・宿泊などの特定の業種における非正規雇用労働者の働く場の減少、休業・シフト減による労働時間(収入)の減少への対応について意見交換が行われました。今日(6月9日)の日本経済新聞と朝日新聞朝刊に関係記事が掲載されています。

政府は追加対策としています。その内容は第1に職業訓練利用促進、第2には成長分野への人材の移動とリカレント教育の実施、そして、第3に、賃金格差是正のための最低賃金を引き上げ環境整備です。第1と第2は従前から取り組んでいるものの中々成果の出ないものです。これが、この土壇場の救済事業となるのかどうかの説明は全くありません。また、私たちが最も力を注ぐべきと主張している「最低賃金」を第3としていますが、これが本当に格差是正と地域最賃の引き上げになるかどうかは極めて不透明です。これまで、報じられている内容ではいち早く全国平均1000円を達成するよう目指すとされていますが、同会議で配布される資料には「全国加重平均で1000円」となるよう取り組むとされています。元々就業人口が多い東京都と神奈川県の地域最低賃金は1000円を超えています。加重平均で計算した場合、地方の「低最低賃金」が隠れていしまう可能性が大です。これでは格差是正等実現しません。やはり全国都道府県一律の観点から最低賃金は定めるべきです。1500円の全国一律最低賃金確立が国民・非正規労働者が求める政策です。

新型コロナに影響を受けた非正規雇用労働者等に対する緊急対策関係閣僚会議の資料はこちらからどうぞ

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最低賃金1500円は必要なのです!

日本商工会議所(三村明夫会頭)、全国商工会連合会(森義久会長)及び全国中小企業団体中央会(森洋会長)の中小企業3団体トップは6月4日に首相官邸で菅義偉首相と面会し、2021年度の最低賃金(最賃)について現状水準維持を要望しました。同要望で日商三村会頭は、現状での最低賃金の引上げは地域経済を支える中小企業・小規模事業者の経営を圧迫し、雇用の調整や廃業の増加につながりかねない、このタイミングでの引上げは政府による中小企業・小規模事業者の切り捨てのメッセージと受け止められることが懸念される、コロナの影響が今もなお深刻な今年は最低賃金を引上げずに「現行水準を維持」すべきことを強く主張しました。要望終了後、同会頭は「われわれの言ったことはよく理解していただいたと思う」と記者団に述べました。日本商工会議所は引き続き、中小企業団体・各地商工会議所と連携し、最低賃金に関して政府等へ要望するとしています。この経済団体は、景気が冷え込むと賃金抑制の声を大きくします、また好景気のときはグローバル化に備えてとか、持続可能な経営体質構築等と声高にぶち上げて、賃金上昇を抑えにかかります。その結果、平成バブルでも最賃は上がらず、むしろバブル崩壊後30年以上最賃は低迷し続けています。そして、今、給料も支払えないような会社が国の政策で生き延び低賃金労働者を生み出しています。私たちが自分たちの声で最低賃金1500円が正に最低の要求であることを主張していくことが必要です。全国の非正規労働者・低賃金労働者の皆さん、1500円の最低賃金実現に向け声を出しましょう。
最低賃金大幅引き上げキャンペーン用のチラシ・三つ折り状にしたものです。

札幌パートユニオンは最低賃金引き上げの取り組みの第一弾として学習会を開催します。組合員の皆さん、参加予約の報告の上、ご参加ください。予約の無い場合は入場できません。

 第37期 札幌パートユニオン組合員 定例学習会 第1回
    「最低賃金引き上げを考えよう」

  日 時 2021年7月10日(土)15時~
  内 容 
       基調講演 
          CUNN(コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク)
                      の最低賃金引き上げの取り組み
          CUNN(コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク) 
                       事務局長 岡 本  哲 文     様
         (質  疑)
       ま と め  
  参 加  事前申込制とします。7月5日(月)までにお申し込み下さい。
  報告先  札幌パートユニオン事務局長 山本 功まで 
       TEL011-210-1200 FAX011-206―4400

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育休取得改善に必要な労組の頑張り!?

6月3日成立した改正育児・介護休業法の推進に不安要素の指摘が寄せられています。「現在、冠婚葬祭の有休休暇も取得できないところに、育児休業取得は叶うのだろうか」、「有給休暇は年5日の取得義務が課せられ、正社員・長期契約社員優先の感があり、短時間パート非正規は後回し」、「仕事の選択の幅を制限しなくてはならずキャリア形成には遠回り感」等々が相談窓口に寄せられる声です。今日6月7日の日本経済新聞朝刊には民間調査会社の分析を掲載しています。男性(おそらく正社員と思います)育休取得には上司・同僚との友好的関係構築が不可欠な感がしました。参照して下さい。

2022年(来年)4月以降、同改正法に基づき、雇用期間1年未満の非正規雇用労働者にも適用が開始となります。「正社員男性社員が取得を我慢しているのに取得するのか!?」という雰囲気が目に浮かびます。取得推進には、外から推進呼び掛けと内からの環境形成の両方が必要です。労組の役割は大きくなります。労組の頑張り、取り組みを定期的に公表して欲しいものです。

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男性育休・非正規雇用労働者の育休 取得向上は周知次第!

6月3日改正育児・介護休業法が成立しました。中々使い勝手が悪く、特に非正規雇用従業員や男性従業員からの評判は良くありません。主な改正点は4つです。➀男性産休「出生時育児休業」の新設 ➁企業の働き掛け義務化 ➂分割取得2回まで(夫婦それぞれ) ➃大企業(従業員千人以上)に対しての公表義務化 です。年次有給休暇の取得率が極めて悪く、政府肝入りの年休取得5日の義務化が2019年4月からスタートしました。しかし、制度の内容が良く理解されず、既存の福利厚生制度である休暇制度の差替えが結構相談として寄せられています。今回の育児・介護休業法改正も今までの使い勝手が悪かった分、制度周知が十分ではありません。改正法の内容について十分な周知が必要です。内閣府が6月4日公表した育休取得予定状況では約4割が取得せずとし理由としては「職場に迷惑かける」ためとしています。この状況を打開していくには覚悟を持って制度周知に取り組んでほしいものです。2021年6月5日の日本経済新聞朝刊には男性育休取得に関する意識調査の記事が掲載されています。

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「ワクチン休暇制度」道内事業所編

新型コロナウィルス対策のワクチン接種に関する休暇制度について本州事業所の先例をご紹介してきました。道内の事業所でも5月頃より「ワクチン休暇制度」が導入されつつあります。北海道新聞の6月5日朝刊に数例紹介されています。以下の記事をご参照ください。

2021年6月5日付北海道新聞朝刊に紹介された道内の「ワクチン休暇」制度です。

2021年6月5日付北海道新聞朝刊に紹介された道内の「ワクチン休暇」制度のPDFです。

感染のペースが鈍くなったとはいえ、北海道・特に札幌市市内の感染状況は大阪・東京の数倍悪化しています。連休中の人の異動が大きく影響していることは確かです。ここから先、私たち一人一人が自らを律することがベスト「ワクチン」です。頑張りましょう。

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非正規労働者には高嶺の花の組合加入 改善されて38.2%

厚生労働省は6月2日に2020年「労使間の交渉等に関する実態調査」結果を公表しました。労働者の種類別(雇用形態別)に「組合加入資格がある」をみると、「パートタイム労働者」38.2%(2018年調査35.6%)、「有期契約労働者」41.4%(同39.9%)と非正規労働者の組合加入に高いハードルの存在を感じさせる結果がでています。これでも2年前に比べると、正社員以外の組合加入資格がある労働組合の割合は上昇している、とのことです。労働政策研究・研修機構(JILPT)が6月4日配信のメールマガジン労働情報/第1688号で報じています。定年退職者再雇用がほぼ義務化されたことによる元正社員・非正規労働者の加入促進というか、非脱退扱いの影響ではないでしょうか。

厚労省のホームページに掲載された「令和2年 労使間の交渉等に関する実態調査 結果の概況」はこちらです。

令和2年「労使間の交渉等に関する実態調査」の結果を公表するプレスリリースの内容

今回の調査の対象は、民営事業所における労働組合員30人以上の労働組合です。「令和2年6月30日現在の状況等について調査を行い」とされ、一定の方法により抽出した5,161労働組合のうち3,335労働組合から有効回答を得ました。6月2日に連合本部が公表した2021春闘中間まとめでは今回要求提出組合を5,361組合、妥結組合は3,111組合としています。連合加盟の規模大きめの組合の回答が大半なのではないかと感じます。組合加入は規約の作り方次第で誰でも加入が可能です。正社員の減少傾向が顕著になって半世紀になろうとしているのに、正社員だけを組合員とすることにこだわる理由は何なのか、理解に苦しみます。パート・アルバイト・契約社員等の正社員以外の雇用形態で働く皆さん、社内組合に加入できなくとも、皆さんだけで組合は成立します。組合員として活動できます。是非、札幌地区ユニオンにご相談下さい。

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6/1 最低賃金引き上げへ 連合動く

連合が田村厚労大臣との会談の中で最低賃金引き上げを直接要請しました。6月1日、連合神津里季生会長は田村憲久厚生労働大臣とのオンライン会談の中で、労働の対価としてふさわしい水準への改善を目指した目安額が決定されるよう強い指導を求めました。政府は既に骨太方針に、より早期に全国平均1000円達成を目指すと書き込むこを決めています。大筋では政労一致の状況ですが、商工団体等事業者側が最賃据え置きを強く要望しています。ここから先は、地域でどれだけの声が沸き上がるかによります。地域の労働者一体となった運動は労働組合の本文です。頑張りましょう!6月2日の日本経済新聞と朝日新聞の朝刊には連合の取り組みが掲載されました。

札幌パートユニオン組合員の皆さんへご連絡です。7月10日に最低賃金に関する学習会を開催します。東京のCUNN本部より岡本事務局長をお招きして、CUNNの方針や厚労省対策・政党対策等についてお話いただきます。日程や場所についてはご案内文書を送付します。完全予約制です。参加される方は必ず事前の申し込みをお願いします。詳細は本日発送の案内文書をご覧ください。

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新型コロナワクチン接種時の特別休暇制度/三井物産 モスフードサービス

労働政策研究・研修機構(JILPT)はメールマガジン労働情報/第1686号と第1687号で三井物産とモスフードサービスの新型コロナウィルス対策のワクチン接種特別休暇制度を照会しました。以下のとおりです。

【三井物産、ワクチン接種時は勤務扱い 国内全社員対象、コロナ対策】

三井物産は21日、国内の全社員を対象に、新型コロナウイルスのワクチン接種を
就業時間内に受けることを認め、接種時も出勤扱いにすると発表した。付き添いが
必要な家族が接種する場合についても、その時間を勤務扱いとする。(時事通信)

三井物産によるワクチン接種時の勤務扱いの内容はこちらです。


【全社員にワクチン接種のための特別有給休暇を付与/モスフードサービス】

株式会社モスフードサービスは5月31日新型コロナウイルス感染症の早期収束のため、
全社員にワクチン接種のための特別有給休暇を付与すると発表した。社員または介助が
必要な家族がワクチンを接種する場合、「ワクチン休暇」を1日、特別有給休暇として
付与する。グループ直営店舗キャスト(パート・アルバイト)がワクチンを接種する場合
は、就業したとみなす手当を1日につき3,000円円支給する。
対象期間は5月31日から2022年2月末まで。

株式会社モスフードサービスのワクチン接種のための特別休暇の取り扱いはこちらです。

札幌パートユニオン組合員の皆さんへご連絡です。最低賃金に関する学習会を開催します。東京のCUNN本部より岡本事務局長をお招きして、CUNNの方針や厚労省対策・政党対策等についてお話いただきます。日程や場所についてはご案内文書を送付します。完全予約制です。参加される方は必ず事前の申し込みをお願いします。詳細は案内文書をご覧ください。

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最低賃金「平均千円」で単独生計維持可能!?

6月早々に政府は「骨太方針」の素案をまめます。予定では、最低賃金をより早期に平均千円に引き上げる、という趣旨が入ります。果たして、これで生活格差が埋まるか、より高い賃金を求めての労働者移動・流入に歯止めがかかるか疑問です。全労連は「最低賃金一律1500円」を生活諸経費の統計的試算から算出しています。札幌地区ユニオンは1月30日の2021春闘学習会で非正規労働者の賃金要求の金額を月例給と時間給共に到達目標形式で提案しました。20歳178,089円/月 1027円/時から55歳の326588円/月 1883円/時までの提起に加え、60歳・65歳も試算しました。試算方法は加盟組合員の実賃金から集計しました。やはり千円では生計維持は難しいのではないかという結論です。現状の最賃金額が生計維持困難なものであることは明らかです。それぞれ、発表の場を作り今から主張していきましょう。

2021年6月1日の朝日新聞朝刊記事に掲載された最低賃金1500円必要とする記事

2021年6月1日の朝日新聞朝刊記事に掲載された最低賃金1500円必要とする記事のPDFです。

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地域運動と政策の連携が要 最低賃金引上げ

CUNNはメール通信NO.1950で、連合通信隔日版が報じたバイデン政権の最低賃金引上げ施策のインタビュー記事を配信しました。やはり生活者・労働者の暮らしを汲んだ政策、これを生かす地域運動そして、これ等を支える労働運動が一体となった取り組みを根気よく続ける必要があます。以下、配信記事の内容です。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.1950 2021年5月30日
1.(情報)インタビュー〈米国の最賃15ドル法案〉
                                            210529連合通信・隔日版

上/
 富裕層優遇からの転換/オバマ政権からの宿題/
                     萩原伸次郎横浜国立大学名誉教授

 米国では今春、全ての州に適用される連邦最低賃金を現行の時給7・25ドル(約7
81円)から、2025年までに段階的に15ドルへ(約1617円)と引き上げる法
案を、民主党が追加経済対策法案に盛り込み提出した。結果的には取り下げたが、バ
イデン政権は引き続き重要政策と位置付けているとされる。日本でも時給1500円
を求める動きが支持を広げ始めている。米国の動きをどう見るか。萩原伸次郎横浜国
立大学名誉教授(西洋経済史)に話を聞いた。

 ――バイデン政権の最賃引き上げ政策をどう見ていますか?――

 (萩原) 最賃引き上げはオバマ政権が残した宿題といえる。当時、連邦最賃を7・25
ドルから10・10ドルに引き上げる法案が民主党から出されたが、日の目を見なかっ
た。   
 その後、最賃15ドルへの引き上げを求める運動が起き、ニューヨークやカリフォル
ニアなど、最賃15ドルへの段階的な引き上げを決める都市や州が次々に現れた。バイ
デン政権の15ドル法案は決して唐突に出てきたものではないし、非現実的でもない。
 全国一律でないと、企業が最賃の低い地方に逃げていく。一部の都市や州だけでな
く連邦最賃を15ドルにすべきという主張は、特に左派のバーニー・サンダースやエリ
ザベス・ウォーレン(ともに民主党上院議員)など、貧富の格差の解消を目指す「進
歩派」の人たちが訴えている。
 15ドル法案は、民主党が多数の下院では通ったが、上院の議席は50対50。共和
党は全員反対で、民主党からも反対者が出た。企業側のロビー活動に屈したのだろう。
結局、コロナ対策の追加経済対策法案を通すため法案を取り下げた。進歩派が議席を増
やさないと難しいということだろう。
 先にも触れたが、連邦最賃の引き上げは、オバマ政権の時に失敗している。08年11
月の大統領選挙で勝利し、10年11月までは上下両院で民主党が多数だった。しかし、
「ティーパーティー(茶会)」という、極端な「小さな政府」を志向するグループが
台頭し下院は共和党が多数を占めた。最賃引き上げが議会を通る状況ではなくなった。
 その時、オバマは連邦政府が契約する企業の最低賃金を10・10ドルに引き上げた。
バイデンもこれにならい、政府関連の仕事について、最低15ドルを保障する大統領令
に署名している。

 ●大きな政策転換

 バイデン政権誕生で政策が大きく転換した。特に税制。トランプ前政権が35%から
21%に引き下げた法人税を、バイデンは逆に28%に引き上げると表明した。注目すべ
きは、多国籍企業への最低課税の創設を提唱していること。世界中のどこでビジネス
をしてもこれだけは払わなければならないというルールだ。法人税引き下げ競争に歯
止めをかける狙いがある。
 富裕層に対するキャピタルゲイン(配当などの金融所得)の増税も進める。どんな
にもうけても同じ税率という制度を改め、累進課税をかける。
 こうした大きな政策転換の中に連邦最賃15ドルへの引き上げが位置付けられている。

 ――反対論は根強い?――

 よく「企業が倒産する」といわれるが、オバマ政権時の元政府職員たちが、実際に
最賃を引き上げた地域を調査し、労働者が定着するようになったと報告している。低
賃金だとすぐに離職するが、賃金が上がると落ち着いてその仕事をするようになる。
地域の購買力は上がり、企業にも利点があるとしている。
  とはいえ、払えない企業もある。そういう企業にどう手当てするか。例えば、大企
業への研究費助成は日本と同じく手厚い。これまで富裕層優遇だった財政を、最賃引
き上げで困る企業に回すことが検討されている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
下/
 トリクルダウンより底上げ/来年の中間選挙がカギ/
                                          萩原伸次郎横浜国立大学名誉教授

 トランプ前政権は企業優遇の政策を行い、企業利益は増大し株価は上昇したが、
「労働者への還元」は乏しかった。バイデン政権は連邦最賃を15ドルにすることで、
貧困を解消し、底上げによる経済効果を目指している。その行方は来年の中間選挙に
かかっている。

 ――オバマ政権は「中間層重視の政策」を打ち出していました――

 (萩原) バイデンはオバマ政権の政策を引き継いでいる。当時との決定的な違いは、
貧富の格差解消を目指す「進歩派」が力をつけてきたことだ。2010年の中間選挙
で「ティーパーティー」が推す共和党に負けた時、民主党で存在感を示していたのは
サンダースぐらいだった。12年の大統領選前には、1%の富裕層に富が集中する経済
の変革を訴えた「ウォール街を占拠せよ」の運動が起き、それに推される形でオバマ
が再選。サンダースに共鳴する人々が議会に出始めた。

 ――中間層から貧困層にもターゲットを広げている印象を受けます――

 トランプの法人税減税により、企業の利益は上がり株価も上がった。企業の利益が
庶民にも行き渡る「トリクルダウン」を期待させたが、実際はそう効果はなかった。
 トランプ政権下で、コロナ禍の前までは、失業率は史上最も低い3・5%だった。
しかし、失業率が低いからといって単純には喜べない。なぜなら低賃金の仕事ばかり
だからだ。貧困層の人々は暮らしていけないので、低賃金の仕事を二つも三つも掛け
持ちし、朝から晩まで働いている。働いても働いても貧困から抜け出せない現実があ
る。この仕組みを変えようとしている。

 ――今後もぶれない?――

 今後も追求していくだろう。米国は今、インフレ傾向にある。最賃を上げないと、
労働者は困る状況にある。現行の7・25ドルは長年据え置かれ、実質的な価値は半世
紀以上前の水準に落ち込んでいる。最賃15ドルの政策には、国民の支持も高い。生活
保障にかかる歳出の削減につながり、労働者の尊厳が守られる。
 問題は議会の構成だ。2022年の中間選挙で、上下両院の民主党、進歩派の議席
を増やせるかどうかがカギとなる。
 ただ、米国も一筋縄ではいかない。共和党は今「トランプ党」と化している。リ
ズ・チェイニー下院議員が先日、下院の共和党指導部を解任された。ブッシュ政権時
の副大統領の娘で、保守派だが、トランプ批判の急先鋒だった。共和党はまともな保
守を排除している。民主主義が今、問われている。中間選挙で民主党が負ければ、15
ドルは厳しくなるだろう。

 ●労組の力が大事

 ――日本が教訓にできることはありますか?――

 米国ではファストフード労働者を中心に、さまざまな労働者が「最賃を上げないと
生活できない」と声を上げ、実際に州や都市の議会に反映させてきた。
 労組の力を強めることも大事だ。米国も組織率が低下する中、最近、アマゾンなど
情報産業の新興企業で労組をつくる動きが起きている。経営者はつぶそうとしている
が、バイデン政権は組合つぶしにブレーキをかけている。
 労組の力が弱いと賃上げは進まない。かつて高度成長期は労働分配率が高かった
が、今は資本の力の方が強い。
 19世紀末から20世紀にかけての新興産業は自動車産業だった。それまで違法とされ
ていた労組を、ルーズベルト大統領(1933~45年)が合法化し、多くの労組がで
きていった。これがその後の高成長の礎となった。
 バイデン政権の政策転換を発展させていけば、米国社会、経済の状況はかなり変わ
るだろう。日本が学ぶべきところは大いにある。

……………………………………………………………………………………………………………………………………

コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク 
       (発行責任者:岡本)
136-0071江東区亀戸7-8-9松甚ビル2F下町ユニオン内
TEL:03-3638-3369 FAX:03-5626-2423
https://cunn.online E-mail:shtmch@ybb.ne.jp 

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ここ数年、最低賃金引きあげの地域運動ができていません。今年こそ、自らの組合の方針を掲げた地域運動に取り組みたいと準備しています。審議会へ誰のどのような意見が反映されるかが肝と思いつつ、気が付いたときには審議会最終日を迎えているという年が続いています。まず、今年からです。頑張りましょう!

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