北海道地方最低賃金審議会は8月8日に開催された第4回北海道地方最低賃金審議会において、北海道労働局長に令和4年度北海道最低賃金の改正金額を答申しました。内容は北海道最低賃金額を31円引上げ、920円(対前年引上率3.49%)への改定が適当というものです。今後、北海道労働局長は、道民意見(異議)をつのり、審議の上10月2日をめどに発効としています。詳細は以下のとおりです。
8月10日付北海道労働局Pressrelease「令和4年度北海道最低賃金額の改正を答申」はこちらです。
資料1にあるとおり、今回の答申決定に際し公労使の意見は一致しませんでした。そのため中央の審議会同様に公益委員見解を以て答申としています。同見解では、道内の生活実態を最低賃金法第9条(地域別最低賃金の原則)の第2項の定めにそって検証しています。「賃金」については労組の賃上げ状況と厚労省資料「賃金改定状況調査結果 第4表③」の検証、「労働者の生計費」は北海道の消費者物価と全国消費者物価との比較、「通常の事業の賃金支払い能力」は財務省と日銀短観の資料分析から北海道の景気は全国から劣り、コロナ禍とウクライナ関連の政情不安に起因する原材料高騰も価格転嫁できないことを示しています。結果として生産性向上に必要な労働力維持のため政府方針を是とした賃金引き上げが必要としつつ、31円引上げが妥当としています。札幌地区ユニオンは最低賃金決定に際して最も大切なのは当事者である労働者・事業者の実態を可能な限り正確に把握することとしています。その上で憲法に保障される生活を確保し生産性向上のための労働力を維持するには全国一律時間給1500円が必要と主張しています。労働力定着のためにも必要です。3項目の公益委員見解を見る限り、北海道内労働者の労働と生活、事業者の経営実態の把握を可能としたかは疑問としか言えません。労働者と経営者の実態を把握するには何れも成功と失敗、成就と未達の両面からの比較検証が求めらます。期間と審議内容そして審議委員の身分保全も含め議論環境を整備し短期集中議論ではなく腰を据えた議論が必要ではないでしようか。毎度の審議会で主張される労使双方の内容を見る度にその思いは強くなります。世界の先進国中最下位の水準、政府方針で示された「1000円」への道筋不案内、中小・小規模の原資確保の困難さ披瀝、支払い能力を超える最賃引き上げの酷さは審議委員としての意見として感情に寄り過ぎてはいないかということです。労働者は生活の中のあらゆる格差の酷さ、経営側は事業間格差を前提とした不公正取引まん延放置による被害等、それぞれの主張のバックデーターを分かり易く実例を以て主張することが必要な時期にきていると感じます。そのためには当事者たる私たちユニオンに集う労働者が声をあげることが必要です。ガンバロー!