9月11日の北海道新聞朝刊の「生活・くらし」欄に北海道地域最低賃金に関する記事が掲載されました。28円引き上げか決まり10月1日から889円としてスタートするにあたり、北海道地域最低賃金審議会の労・使各委員がコメントを付しています。ご覧ください。
2021年9月11日の北海道新聞朝刊に掲載された記事のPDFです。
最低賃金の根拠法の第一は日本国憲法ですが、その日本国憲法の下で最低賃金の目的・決定等について定めているのが「最低賃金法」で、1959年にあの岸信介首相時代に経済政策の一つとして制定されたものです。この最低賃金法の第9条には次の内容が定めてあります。
第九条 賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低 賃金(一定の地域ごとの最低賃金をいう。以下同じ。)は、あまねく全国各地 域について決定されなければならない。 2 地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業 の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。 3 前項の労働者の生計費を考慮するに当たつては、労働者が健康で文化的な最低 限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮する ものとする。
記事の中の使用者側委員(桑原さん)は第2項に基づいた意見を述べています。そして労働者側委員(山田さん)は第3項に拠る意見を述べています。それでは第1項に基づく意見は誰が述べているのか、これは謎です。「賃金の低廉な労働者について」賃金の最低額を保障するため地域別に決定すると定めているものの、「賃金の低廉な労働者」とは誰なのか、この労働者の生活実態はどのように把握していて、当人の意見はどうなのか、これがわからないと審議会は成立しないと思います。当事者の意見が分からない議題とは果たして成立するのか、労使の委員の主張を読んで、これが当事者の意見を代弁していると思う人がいるだろうか。誰の意見を参考にして議論しているのか明らかではない審議会で決まる最低賃金とは一体何だろう!? ある求人誌では道内求人広告の掲載される募集賃金の平均は900円を超えて久しいと言っています。これも最低賃金。