江戸川区で公契約条例制定 全国54例目      札幌市公契約条例成立ガンバロー!

東京都江戸川区で本年6月に公契約条例を制定しました。労務報酬下限額設定型の条例としては25例目になります。連合東京、東京土建江戸川支部等の労働団体の粘り強い活動が大きな力となっています。札幌市の取り組みも再チャレンジしましょう。江戸川区公契約条例制定経過はの取り組みはCUNNメール通信  N0.1975で配信されています。

◎  CUNNメール通信  ◎ N0.1975 2021年7月15日
1.(情報)〈江戸川区の公契約条例〉          210715連合通信・隔日版

◆〈江戸川区の公契約条例〉上/「公正な仕組みを」の声積み上げ/事業者や保守系
が賛同
 
 東京都江戸川区で6月、賃金の下限を定めるタイプでは全国25例目の公契約条例が
制定された。背景には受注のための低価格競争があり、持続可能で公正な入札の仕組
みを求める声が保守系会派にもあった。労組や議会関係者の積年の取り組みが後押し
し、2年前に就任した現区長が「SDGs(国連の持続可能な開発目標)にかなう制
度」として提案、全会一致での制定にこぎ着けた。

●保守系からも要望

 同区では2010年に公共調達基本条例を制定した。当時約70の小中学校の改築の
必要性が生じ、20年超にわたり2千億円を超える事業が想定されたことから、価格だ
けでなく、「社会的要請」に応える業者を入札で選ぶための「総合評価方式」を設け
た。
 それから11年。ある区議によると、学校の改築やそれに伴う電気工事、機械設備に
ついては、ダンピングは見られないが、解体などそのほかの工事は低価格競争が横行
していた。そのため、公契約条例制定を求める野党系だけでなく、保守系の区議の中
にも制定を求める声があったという。
 賃金や報酬の下限を定めることで発注額も底上げする。公契約条例を定めること
は、事業者のためにもなるという認識が、野党系会派や労組の粘り強い訴えもあっ
て、一定程度浸透していたとみられる。
 江戸川区は、千葉県と接する東京の東端に位置し、中小業者が99%を占める。産業
衰退への懸念や、災害時インフラ整備の担い手確保、コロナ後の復興需要など、持続
可能な地域づくりが課題になっていた。
 斉藤猛区長は昨年9月、自民、公明両区議の質問に答える形で、条例制定の意向を
表明。「事業者にとっては優秀な人材を確保でき、職場定着の促進につながる」「公
契約条例の理念はSDGsの理念にもかなう」と説明した。
 国連が定めるSDGsは17のゴールと169の政策目標を掲げる。目先の利益を追
求し続けていては平和な社会の維持も、地球環境の保全も危ういとの認識から、持続
可能な世界の実現を追求する取り組み。経団連も推進する運動課題だ。
 斉藤区長は、12番目のゴールの中にある「持続的な公共調達を促進する」という政
策目標を挙げ、「まさにどんぴしゃだ」と理解を求めていた。

●小さく生み大きく育てる

 その後、昨年12月には条例案骨子ができ、6月22日の区議会では全会一致で成立
した。
 条例は、地元業者の受注機会確保に努めるべきとし、労働環境や雇用安定への配慮、
性別・性的指向・性自認・国籍・障害など多様性への配慮も掲げる。
 賃金・報酬の下限の対象となるのは、労働者や一人親方、下請けの従業員、派遣労
働者。違反に対する元請け業者の連帯責任や、労働者の申し出権、不利益扱いの禁
止、区による立ち入り調査、契約解除などの是正措置を定め、実効性確保のポイント
を押さえた。
 下限の基準は、国の公共工事設計労務単価や、区の会計年度任用職員給与を参考
に、今後審議会で決める。当然法定の最低賃金を上回る水準となる。
 問題は、対象範囲の狭さだ。工事の予定価格が1億8千万円以上で、業務委託は同
4千万円以上。同じ都内でも目黒区の5千万円以上・同1千万円以上と比べると狭
い。区によると、19年実績で、件数ベースで対象となる工事が全体の7%で、委託が
12%と少ない。
 委託先が変わった場合にそこで働く労働者の雇用確保の規定も入らなかった。
 条例はいわば「最大公約数」の水準。「小さく生んで大きく育てる」ことを関係者
らは一様に話している。

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◆210715・〈江戸川区の公契約条例〉下/労組の取り組み、後押し/重層的な働きか
けが結実

 江戸川区の公契約条例制定の陰には、長年の地元労働組合の取り組みがあった。現
場で働く人の実態調査や、区長との政策協定、政策要請、議員を集めた情報交換な
ど、重層的な働きかけが結実したといえる。

 ●実態調査が制定後押し/東京土建江戸川支部

 東京土建江戸川支部は昨年、コロナ禍の下でどのぐらい収入が減ったかを組合員に聞
くアンケート調査を行った。6月に行った最初の調査が、議会でも話題になった。条例
制定後も現場の把握・調査が必要だと担当者は話す。新型コロナの市中感染が深刻化し
た昨年3~5月。この頃の収入について、江戸川支部は同6月、アンケート調査を行い、
552人の組合員から回答を得た。
回答者の平均年齢は55・9歳、平均経験年数は31年。収入が「減った」と答えた割
合は過半数の57%にに上った。そのうち280人の回答では、収入25%減は41%
、50%減が39%、75%減も20%あった。
8月に行った調査では、単価の変化についても聞いている。 
 528人が答え、単価が「ほぼ変わらない」が67%と最も多かったが、「減った」
も31%あった。この結果は、区議会でも話題になり、全会一致での条例制定を後押し
したという。 区長による条例制定の意向表明は昨年9月、自民、公明の区議の質問に
応える形で行 われた。
 公明党区議は「江戸川区は職住接近の町。建設産業で働く人たちの組合などから、
賃金や下請け単価の切り下げを防ぎ適正な賃金を確保する公契約条例の制定を求める声
をいただいてきた。労働者の賃金を守ることは区民生活を守ることに直結する」と、建
設労組の名を挙げて制定を求めた。
 江戸川支部は長年公契約条例の制定を区に求めてきたが、前区長の壁は厚く、変化の
兆しが見え始めたのは、現区長が就任して1年近くが過ぎた頃。区との懇談で担当者の
対応が変わったのを感じたという。
 同支部の組合員は8千人を超える。池田創書記次長は「公契約条例の内容を機関紙で
広く知らせていく。区の担当者が全ての現場を見られるわけではない。労働組合が現場
の実態をつかみ、チェックの目となって、現場をよくしていきたい」と語る。
 そして、「区内に仕事とお金が循環し、地域経済を活性化させることが重要。
 より多くの工事が条例の対象になるよう、地域で運動を強めていく」と話す。

●「三方良し」を強調/連合東京

 全国25ある公契約条例のうち、首都圏に18自治体が集中し、中でも東京は11自
治体と最も多い。組合員数で121万人を擁し、多数の専従オルグを確保する連合東京
の役割も大きい。議員と連携するとともに、首長との政策協定、事業者へのオルグなど
機運の醸成に力を発揮している。
 連合東京は都内53自治体(島しょ部を除く)のうち50自治体の首長と政策協定を
結んでいる。10の重点政策の中に「公契約条例の制定」を位置付ける。大ぐくりの政
策が 多い中で、唯一ピンポイントで明示する力の入れようだ。江戸川区長とも締結し
ている。取り組みの特徴は「政労使」による合意形成だ。
 その際に強調するのは(1)行政サービ スの品質確保(2)地域経済の活性化(3)労働者の
賃金確保――で、業者と住民と働く者が「win・win・win」になる仕組みだとい
うこと。吉岡敦士副事務局長はこう説明し「地域の事業者へのオルグもかける」と話す。
 都内各ブロックに公契約条例推進委員会を設置し、与野党の地方議員を招いて条例の
意義を説明し、行政の実務者ネットワークとも連携する。江戸川区がある連合東京東部
ブロック地域協議会では毎年、区長への政策要請で公契約条例の制定を求めてい た。
 全国でも東京での制定が進んでいるのは、自治体同士が互いの動向を見合い情報交換
する「相互参照」の効果も大きい。近隣で条例ができると、後に続きやすい。東京のほ
かでも見られる好循環の現象だ。
 東京東部地域では足立区が条例制定で先行した。上本俊之政治・政策局社会政策局循
環しない。コロナ後の景気回復のためにも公契約条例が必要だ」と話す。 
 
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 十数年越しの公契約条例は、関係者らによる長年の努力の蓄積が、一部の保守系議員
に浸透し、新区長の誕生やコロナ禍を機に結実した。ある区議は「SDGsを掲げるこ
とで、自民、公明が受け入れやすいよう工夫した」と評価する。都内では後続の動きも
強まっているという。江戸川区で投じられた一石が今後どのような波紋を広げるか、注
目されるところだ。
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メール通信を見る限りですが、江戸川区で公明党区議がキーマンとして活躍しています。札幌市議会の否決過程での公明党市議団とは大きな違いです。 江戸川区と札幌市、抱える課題は似ています。方や、成立に向けて地域住民・組合と精力的に意見交換に動く、方や他党との調整に精力し全員で反対に回る。この違いは何だろうか?以前、懇意にしている信者に尋ねたところ「アチラで聞いてくれ」と言われました。わかりません。とはいえ、公契約条例による「格差是正」と「適正配分」は確実になります。ガンバロー!

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